話題を集めている韓国ドラマ、『アンナ』と『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』。対称的なジャンルながらも高い人気を誇る2作のドラマに出演しているのが、女優のペク・ジウォンだ。ここでの活躍でも分かる通り、彼女はあらゆるキャラクターを演じられる名バイプレーヤーであり、カメレオン女優としてドラマファンから愛されている。ペク・ジウォンならではの魅力とは。

新作が続々とスタートし、話題を振りまいている韓国ドラマ。

その中でも視聴者を魅了をしているのは、Coupang Play(ク―パンプレイ)シリーズ『アンナ』と、ENA(Netflix)ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の2作品だ。

対称的なジャンルながらも高い人気を誇る2つのドラマに出演したのが、名バイプレーヤーと呼ばれる女優のペク・ジウォン。

あらゆるキャラクターを演じられるカメレオン俳優のペク・ジウォン

女優のペク・ジウォンは、あらゆるキャラクターを演じられると称賛を浴びている(画像出典:IKKLEエンターテインメントInstagram)

まず『アンナ』では、ヒョンジュ(チョン・ウンチェ扮)の母親であり、マレギャラリーの理事として登場。品位あるビジュアルを持ちながら、その裏では自分が追求する価値と欲望を、一人娘であるヒョンジュの人生に投影させようとする役柄を演じた。

一方、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』では『アンナ』で見せた姿とは対比される、法務法人”ハンバダ”の代表弁護士ハン・ソンヨンに扮し、進取の気性に富んだ”正義”の姿を見せた。自閉スペクトラムを持つウ・ヨンウ(パク・ウンビン扮)に偏見を持つことなく、彼女の成長を優しく見守り、信頼し、支持するキャラクターだ。

真逆とも言えるキャラクターを見事なまでに演じ切ったペク・ジウォンは、自身の持つ特有の繊細さで、外柔内剛のカリスマを完成させている。

余談であるが、これ以前、ペク・ジウォンは偶然にも、『ブラームスは好きですか?(邦題/2020)』で、パク・ウンビン扮するチェ・ソンアに親切に接するバイオリン教授(音楽学部長)役を演じている。

ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』にペク・ジウォンが出演中

ペク・ジウォンが出演中のドラマ、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(画像出典:ASTORY 公式Twitter)

この2作品だけでもペク・ジウォンの卓越した演技力が分かる。

彼女は元々、演劇界で活躍を見せていた舞台女優だった。ここで演技力を増していった彼女は、映画界からラブコールを受け映像の世界に飛び込む。その後、ドラマ界へと進出し、舞台、映画、ドラマと縦横無尽に活躍。抜群の演技力から、絶大な信頼を得る女優となった。

いまやドラマ界になくてはならない存在である彼女だが、ペク・ジウォンがドラマに出演するようになったのは2012年のこと。JTBC『妻の資格』を通じてだった。

その後、SBS『被告人(2017)』で新人弁護士の優しい叔母、KBS2『サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~(邦題/2017)』では高校の先生役に、『ボーイフレンド(2018)』ではジニョク(パク・ボゴム扮)の母親役を演じ、深い母性愛を見せた。かと思えば、『熱血司祭(2019)』ではシスター役を担い、コミカルな演技を披露。

また、ペク・ジウォンは親しみやすいイメージを持っているだけでなく、孤高で優雅なキャラクターも演じ切ってしまう。『マッド・ドッグ~失われた愛を求めて~(邦題/2017)』では理性的で冷静な看護師として、KBS2『黄金の私の人生(2017)』では拉致犯として登場し、多彩な魅力を見せた。

特徴らしい特徴のない平凡なビジュアルを持つペク・ジウォンだからこそ、多様なキャラクターを演じ切れ、むしろそれが強みとなっている。例えるなら、ペク・ジウォンは真っ白なキャンバスだ。だからこそ鮮やかで多彩なカラーを強烈に印象付けることができるのだ。

映像の世界でも大活躍を見せる舞台女優だったペク・ジウォン

舞台女優だったペク・ジウォンは、映像の世界でも大活躍を見せる(画像出典:IKKLEエンターテインメントInstagram)

これほどまでにバラエティーに富んだキャラクターを演じ切り、カメレオン女優との称賛を浴びるペク・ジウォン。20数年もの俳優キャリアを誇りながらも、彼女自身は演技に対し、まだ満足していないという。

演劇ならではの”はっきりした発音”が自身には短所に映っているようで、力を抜かなければならない役柄を演じる際、その発音のためにキャラクターの特性が生かせないのではという気がしているそうだ。

演技に対してストイックな姿勢を見せるペク・ジウォンは、現在49歳(日本年齢)。この年まで輝かしいフィルモグラフィーを重ねてきた彼女であるが、実は40歳で演技をやめようと思っていたこともあるとか。

悩んでいたその気持ちが消えたのは、オファーが届くと楽しい気持ちで演じている自分に気づき、「演技をやめる」という話をしてはならないと決心したそうだ。

何よりも自身が楽しみながら演技をしているペク・ジウォン。彼女は「主人公への欲は全くない」と語っている。「私は自分自身をよく知っている。私が見せることができる器はまた違うから」と話す彼女だからこそ、類を見ないほどの多彩なキャラクターを演じられるのであろう。

(構成:星野沙)






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