韓国ドラマや韓国映画に出演する俳優の中で、デビューしてからなかなか知名度が上がらなかった俳優たちがいる。そんな苦労人たちのデビューやトップスターになるまでの道のりを出演作品とともに振り返ってみたい。
デビューから13年目にしてやっと人気と知名度を手に入れた、現在最も”ホットな”韓国俳優をご存知だろうか?
2020年3月に放送されたドラマ『夫婦の世界』で大躍進を遂げたパク・へジュン。
大学進学のため釜山から上京し、2007年舞台俳優としてデビュー、2012年から映画界に進出し、2014年には『ドクター異邦人』への出演をきっかけにドラマ界にも進出。名脇役、名悪役と言われるようになった。そして2020年に放送されたドラマ『夫婦の世界』で、映画監督であり、主人公の夫を演じて大ブレイク。
実は2014年には韓国で”ミセンシンドローム”と呼ばれる社会現象を巻き起こした大ヒットドラマ『未生-ミセン-』にも出演していた俳優だ。
パク・ヘジュンのように、遅咲き、苦労人の名俳優が韓国ドラマ・映画界にはたくさん存在する。これからその名俳優たちを紹介していこう。
韓流苦労人1.クァク・ドウォン
クァク・ドウォンは、高校卒業後すぐ演劇の世界に飛び込み、14年間舞台俳優として活動し、2003年にコメディ映画『オグ(英題/OGU : Hillarious Mourning)』でスクリーンデビューを果たした。 その後、短編映画や商業映画などこまめに活動していたが、後ろ姿のみ映されたり、編集されたりと様々な苦労を経験したと言う。
そんな中、映画『哀しき獣』で主人公グナム(ハ・ジョンウ)に襲われたキム教授役で存在感のある演技を披露し、本格的に注目を集め始める。
その後、クァク・ドウォンの名前をさらに知らしめた作品は、2012年に公開されチェ・ミンシクとハ・ジョンウがダブル主演した『悪いやつら』だ。 クァク・ドウォンは、暴力団よりも恐ろしい悪質検事チョ・ボムソクを演じ、観客から注目を浴びた。そして2013年公開のハ・ジョンウ主演『ベルリンファイル 』、同年公開のソン・ガンホ主演『弁護人 』に出演、2016年には、日本からベテラン俳優の國村隼も出演して話題になった異色サスペンス映画『哭声/コクソン 』で、主人公の冴えない警察官ジョングを熱演、またチョン・ウソンとダブル主演した2017年公開の『鋼鉄の雨 』などで、数多くの授賞式で主演男優候補にノミネートされたのはもちろん、第37回黄金撮影賞授賞式で演技大賞を受賞した。
韓流苦労人2.チョ・ジンウン
チョ・ジンウン は、大学時代から約10年間、釜山(プサン)で演劇の舞台に立ち、 映画デビューは2004年に公開された、日本でも人気の高いクォン・サンウ主演の『マルチュク青春通り』だ。ギャングの一人で、出演時間はほんのわずかだが、今見てもすぐに分かるほど変わっていない。数多くの映画に脇役として名を連ねたが、2011年から2012年にかけて2本の作品の出会い、成功を重ねた。
2011年放送のドラマ『根の深い木』と2012年公開の映画『悪いやつら』に出演、特に『根の深い木』の忠実な護衛武官を演じた後、様々な商業映画、ドラマの主演俳優として確実に定着し、キャラクター選択の幅も広がっていった。
2016年に放送され、日本ではリメイク版の主演を坂口健太郎が熱演したドラマ『シグナル』では、第1回Asia Artist Awardsドラマ部門とtvN10 Awards演技部門で大賞を受賞し、2018年に公開された映画で、俳優キム・ジュヒョクの遺作にもなった香港・中国合作映画『ドラッグ・ウォー 毒戦』のリメイク作品『毒戦 BELIEVER 』で主演を務め、PG15指定されながらも、同年上半期で韓国唯一の観客動員数500万人を突破した。
韓流苦労人3.チョ・ウジン
チョ・ウジンは、1999年に舞台俳優としてデビュー以降16年間もの長い無名生活を送り、ここ数年で人気急上昇。 始まりは、2015年に公開されたイ・ビョンホン主演の大ヒット映画『インサイダーズ/内部者たち 』だ。元々はミレ自動車常務の手下役でオーディションを受けたが、より不気味な効果を出すため、当時あまり名の知られていなかったチョ・ウジンをミレ自動車常務役に抜擢される。この時までは、チョ・ウジンという本名よりも“チョ常務”という役名の方が観客の記憶に残っている状況だった。
しかしその後、2016年に放送されたヒットドラマ『トッケビ〜君がくれた愛しい日々~』に出演し、落ち着いた声で可愛らしい魅力溢れるキム・ドヨン秘書役を演じ、役者としての存在感をアピール。『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』のおかげで様々な映画をはじめCMに出演。
また2018年に放送されたイ・ビョンホン主演の時代劇『ミスターサンシャイン 』でも良い演技を見せている。ところで、2011年に公開された映画『ママ』での暴力団の部下として登場した脇役時代の姿はどう見ても似合わない。
[nextpage title=”(次)キム・ナムギルの苦労人時代とは..?”]
韓流苦労人4.キム・ナムギル
演劇に出演する傍ら志願したMBCの公開採用タレント31期生に首席で合格。2005年に放送されたドラマ『がんばれ!クムスン』、同年に放送され、ヒョンビンの名を世に知らしめた大ヒットドラマ『私の名前はキム・サムスン』、2006年放送のドラマ『グッバイ・ソロ』などで大小の役を演じる。この時まではイ・ハンという芸名で活動していたが、2008年に公開された映画『カン・チョルジュン 公共の敵1-1』から本名のキム・ナムギル名義になった。
2008年公開の『モダンボーイ』、『美人図』に主演していい演技を見せたが、残念ながら俳優として名を知らしめることはできなかった。
そしてついに、時代劇『善徳女王』の中盤から登場したキャラクター、ピダム役に抜擢され、初登場シーンから話題を呼ぶ。ドラマは最高視聴率43.6%を記録して2009年の演技大賞の各賞を総なめにする。これまでドラマでは見ることのできなかったキャラクターで、後半に進めば進むほど野心に満ちた悪役の演技が必要な重要な役柄だった。これを見事演じきり、MBC大賞優秀賞、ベストカップル賞、第46回 百想芸術大賞TV部門の男子新人演技賞を受賞した。
キム・ナムギルはピダム役以降、確実に主演級クラスの俳優へと急成長し、2010年には日韓合作ドラマ『赤と黒』で主演を果たす。現在もスクリーンとブラウン管を行き来しながら活躍し続けている。
韓流苦労人5.リュ・スンリョン
現在はトップスターのリュ・スンリョンも、無名時代の過去を持つ俳優だ。元々”NANTA(ナンタ)”の初代メンバーだったリュ・スンリョンは、5年間公演をしながら”セリフのある”役を切望してきたという。そして思い切ってNANTAを離れ、無名俳優としての道を歩み始める。長い時間を経て、チャン・ジン監督と出会い2004年、映画『小さな恋のステップ 』で強盗役としてスクリーンデビューを果たす。以降2005年に映画『拍手する時に去れ』、2006年は映画『偉大なる系譜』、2006年放送のドラマ『ファン・ジニ』などに出演したが、名を広めることは容易ではなかった。
そんな中、彼の名前が知られるようになったのは、2012年公開の映画『神弓-KAMIYUMI- 』で無慈悲な清の名将ジュシンタを演じてからだ。この作品以降、個性的なキャラクターを演じ始める。
2012年公開の映画『僕の妻のすべて』、同年公開『王になった男』では韓国で歴代8位の記録となった1,281万人以上の観客動員を記録。また、大鐘賞では主演男優賞をはじめ4部門で栄冠を手にする。百想芸術大賞では、大賞を受賞した『新感染 ファイナル・エクスプレス』の前日譚を描いたアニメ映画『ソウル・ステーション/パンデミック 』の声優、麻薬捜査班の班長を演じ、2019年公開の映画『エクストリーム・ジョブ 』まで興行作品を次々と披露し、トップスターとして位置づけられるようになった。
このように、最初は名の知れない脇役俳優が苦労を重ね、トップスターの地位を築いていった俳優たちが大勢いる。これから韓国ドラマや韓国映画を見るときは、是非脇役にも注目してみてほしい。そこに未来のトップスターがいるかもしれない。
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