かつて当サイトでは、キム・ウンスクの時代の終焉について記述したことがある。しかし、それでも彼女の作り上げた確立された世界の中にある言葉たちは、うっかり人の心にするりと入り込み、涙を誘う。思わず胸に迫る名セリフを振り返ってみたい。
※この記事にはネタバレになる内容が含まれています、ご注意ください。
ドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』、『太陽の末裔 Love Under The Sun』、『シークレット・ガーデン』など多数のヒット作を誕生させた主人公、キム・ウンスク作家。
キム作家の作品は、韓国国内はもちろん日本など海外でも相当な人気を呼び、韓国ドラマの人気を牽引する役割を確実に果たしている。”スター作家”、”信じて見る作家”などの修飾語の他にも、執筆する作品ごとに、出演した俳優がトップスターに登板するという意味で”プリンスメーカー”という異名も誇り、彼女が書くセリフは流行語になるほど。
当記事のタイトルで”遺言”と記載しているが、これは、劇中”主人公の死が目前に迫っているシーンでのセリフ”を意味する。キム作家は、これまで数多くの名セリフと名シーンを残しており、その中でも特に視聴者たちの脳裏に深く焼き付いている”遺言”を振り返ってみる。
『シークレット・ガーデン』ヒョンビン
俳優ヒョンビン×女優ハ・ジウォン主演の『シークレット・ガーデン』は、2010年に韓国SBSで放送され、視聴率37.9%を記録。OSTの楽曲がK-POPチャートを独占するなど社会現象にもなった話題作だ。
劇中、不慮の事故がキル・ライム(ハ・ジウォン)を襲い、意識不明、脳死状態となる。半月が過ぎでもライムの意識が戻らない。キム・ジュウォン(ヒョンビン)は、ライムを助けるために、魂を入れ替えようと考える。その時のセリフがこれだ。
「どんな奴も愛さず、一生僕だけを想いながら一人で生きろ。チェ・ウヨン(オスカー / ユン・サンヒョン)とも仲良くなりすぎるな。それは近親相姦になるから。僕の人生で一番自分勝手な選択になるだろうけど、社会的リーダーの選択だから尊重してほしい。いつも素敵なキル・ライム。これからもずっと素敵でいてくれ。君にすごく逢いたい。愛してる。愛してる」
俳優ヒョンビン×女優ハ・ジウォン主演の『シークレット・ガーデン』(動画出典:SBS Catch)
『太陽の末裔』ソン・ジュンギ
俳優ソン・ジュンギ×女優ソン・ヘギョ主演の『太陽の末裔』は、2016年にKBS2で放送され、最高視聴率41.6%を記録。医師と軍人という異なる世界で生きる2人のラブストーリーで、ソン・ジュンギの甘いセリフの数々が、多くの女性たちのハートを射止めた。
劇中、ユ・シジン(ソン・ジュンギ)が作戦中に敵の銃撃を受け、戦死したと知らされた。彼が書いた遺書がカン・モヨン(ソン・ヘギョ)の元に届き、これを読んだカン・モヨンは嗚咽が止まらなかった。ユ・シジンの遺書の内容は‥
「作戦に出る前に僕たちは遺書を書きます。この手紙がカン先生に届かないことを願いますが、万が一、カン先生がこの遺書を読んでいるとしたら、僕は約束を守れなかったということになります。心配するなという約束、怪我はしないという約束、死なないという約束、戻ってくるという約束。僕は1つも守れませんでした。すみません」
「カン先生がいるところはいつも明るく輝いています。そんなあなたに出会えて、そんなあなたを愛して、そんなあなたと、このように別れるなんて、本当にすみません」
カン先生へ‥ユ・シジンからの遺言(動画出典:긔엽긔듸하듸)
『トッケビ』のコン・ユ
俳優コン・ユ×女優キム・ゴウン主演の『トッケビ』は、2016年にtvNで放送された作品。放送直後から大きな話題となった本作は、ケーブルテレビとして異例の高視聴率20.5%を記録。2017年度に百想芸術大賞のテレビ部門で各賞を多数受賞し、作品の素晴らしさが高く評価された。
第13話、キム・シン(コン・ユ)は気を失って倒れているウンタク(キム・ゴウン)に剣を掴ませて自ら胸の剣を抜き、最恐幽霊パク・チュンホン(キム・ビョンチョル)を切った。火の粉が舞うように消えてゆくキム・シン。嗚咽するウンタクに、キム・シンは涙ぐんだ目でかすかに笑いながらこう言う。
「君と過ごした日々は、ご褒美だった。雨となり、初雪となって会いに来るから。それだけはさせてもらえるよう神に頼んでみるから。私も愛している」
キム・シンの美しいセリフは、まるで一編の詩のようで、視聴者を惹きつけて涙を誘った。
キム・ゴウンの嗚咽、”無”になったコン・ユ(動画出典:tvN DRAMA)
『ミスター・サンシャイン』イ・ビョンホン
俳優イ・ビョンホン×女優キム・テリ主演の『ミスター・サンシャイン』は、2018年にtvNで放送された作品。軍艦に乗船してアメリカに渡った少年がアメリカ軍人として自分を捨てた祖国の朝鮮に戻って駐屯しながら起こる出来事を描いたドラマで、430億ウォン(約43億円)という制作費をかけて作られた超大作だ。
劇中、ユジン・チョイ(イ・ビョンホン)が、日本軍と戦うコ・エシン(キム・テリ)のために自身を犠牲にするシーンが描かれた。エシンが汽車で逮捕される危機に直面すると、ユジンは日本人男爵を人質にして汽車にいた日本軍を後尾車両に追い込んだ。自分のすぐ後ろに立っているエシンに向け、ユジンは最後の一言を口にする。
「泣かないでください。これは私のヒストリーであり、私のラブストーリーです。だから行くのです。あなたの勝利を祈って。あなたは前に進むのです。私は一歩退くので‥」
その後、汽車の連結部分を銃で撃ち、車両を分離させたユジン。エシンの目の前で銃に撃たれ、彼女の大声で泣き叫ぶ姿が視聴者たちを涙させた。
『ミスター・サンシャイン』23~24話、ユジン・チョイ(イ・ビョンホン)の名シーン(動画出典:minee)
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