ドラマ『梨泰院クラス』の主人公、パク・セロイの父であるパク・ソンヨル。

妻を亡くしてから1人で子どもを育ててきた彼は、足りない愛はあるだろうかと常に息子に最善を尽くしてきた。息子が世の中で安心して所信を持って生きることを望み、「所信を持って生きよう」という家訓もつけた。
息子が退学となり、さらに自身が20年間も勤めた職場をあっさりと解雇された日も、彼は息子の所信を応援してくれた良き父親だった。

セロイを情熱あふれる熱き青年に育てたソンヨルは、心優しく、穏やかながらもしっかりとした芯を持ち、真っ直ぐに生きている尊敬すべき人物だ。息子のセロイが友情に恵まれ、成功へと到達できたのはそんな父親の姿を見ていたからであろう。

ドラマ『梨泰院クラス』(画像出典：JTBC)

このような人徳者であるパク・ヨンソルを演じたのは、個性派俳優と呼ばれるソン・ヒョンジュだ。

『梨泰院クラス』では切ない親子を演じ、多くの人を涙させたパク・ソジュンとソン・ヒョンジュ、実は2015年に公開された映画『悪のクロニクル』でも呼吸を合わせている。警察署を舞台に、自ら犯した殺人事件の真相を隠蔽したことがきっかけで深い罠にはめられていくクライム・サスペンス劇で、緊張感あふれる”因縁の仲”を披露した。

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そんな温かな親子の姿からシリアスなサスペンスまで、あらゆる役柄を演じているソン・ヒョンジュが主演を務めるJTBC月火ドラマ『模範刑事』がじわじわと人気を集めている。

ソン・ヒョンジュ＆チャン・スンジョ主演の『模範刑事』(画像出典：JTBC)

ドラマ『模範刑事』は、平凡な刑事が事件に隠された真実を追う追跡劇だ。

5年前、女子大生と刑事を殺害した犯人を少しの疑いもなく逮捕したベテラン刑事。
終わったと思っていた事件だったが、エリート刑事が同じチームに配属されたことにより、忘れられていた真実に対する証拠が明らかになり始める。この事件を巡って、真実に近づこうとする者と隠蔽しようとする者との火花の散る対決が幕を開けた――。

名コンビの刑事が真実に近づく！(画像出典：JTBC)

ソン・ヒョンジュが扮するのは、仁川西部警察署強力2チームに所属し、優れた推理能力はないが、汗と足を信じるタフさと義理で武装した18年目のベテラン刑事、カン・ドチャンだ。

そんな彼は、罪のない人を死刑囚にしてしまったことがある。

5年の時を経て、自分が死刑囚にしてしまったイ・デチョルが真犯人ではないということを、彼を阻む上司とマスコミらの怪しい動きを通じて確信するようになるカン・ドチャン。

そんなある日、強力2チームに配属されたパートナーのオ・ジヒョク(チャン・スンジョ)は、真実から目をそむけようとするカン・ドチャンに真犯人が別にいるという証拠を次々と持ってくる。カン・ドチャンは少しずつ心の揺るぎを呼び起こし、仁川西部警察署で皆が隠そうとするこの事件を強力2チームで暴くことを決意する。

これまでになかった斬新な切り口でストーリーを展開させる『模範刑事』(画像出典：JTBC)

『模範刑事』の話が面白くなるのは、まさにこの真実を追跡しようとする強力2チームと、真実を隠そうとする署長をはじめとした強力1チームの対決構図だ。

さらに、少しずつ明らかになる真実の中で、オ・ジヒョクも自分の従兄であるオ・ジョンテ(オ・ジョンセ)が有力な容疑者として浮上すると、ますますこの事件に深い関心を持つようになる。
そしてマスコミに身を置く記者も、自分をジョンハン日報社会部記者に引き入れた部長がオ・ジョンテと何らかの関係があることを知ってから、事件の真実をさらに暴き始める。

つまり『模範刑事』は、過去の事件や自分とは関係のない事件だと思っていた”イ・デチョル事件”が、実は現在進行形で自分とも関連がある事件だということを知り、次第にその真実に近づいていく人物を扱っている。

最近のドラマでよく見られる、スリラーたちが執着する反転の要素は少ないが、その代わりに対決構図が与える駆け引きの楽しさが視聴者の心を完全に満たしてくれる。

その対決構図も、不正を犯して金と権力を得た犯罪者たちが法の網までくぐり抜け豊かに暮らしている人物と、濡れ衣を着せられて死ぬ日を待ちながら、家族が苦しむ姿を見なければならないイ・デチョルのような人物の対比とあって、視聴者たちの心を揺さぶってくるのも人気の秘密だろう。

スペシャルな能力を持つスーパーヒーロー的な刑事が登場する話ではないが、ミステリースリラーと胸を打つストーリーを入念に描いたシナリオと人物の心理を掘り下げる緻密な演出は、毎回予想を越える展開と鳥肌が立つエンディングを誕生させた、視聴者を”虜にさせる”ドラマである。

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