韓流ドラマブームの再来により、さらに熱い視線を集めている俳優ヒョンビン。幾度ものブレークを経て韓流スターとして不動の地位を築いた彼だが、ある映画への出演がヒョンビンの新たな魅力を開花させている。

韓流コンテンツと縁遠かった人たちさえも魅了した、ドラマ『愛の不時着』。
たくましいながらも素朴さを持ち合わせたリ・ジョンヒョク隊長と、財閥のバリキャリ女性、ユン・セリが恋に落ちていく様は、時にコミカルに、そして切なくしっとりと描かれ、多くの人々を魅了した。

本作をきっかけにヒョンビンへの注目も多く集まっている。

俳優ヒョンビン(画像出典:VASTエンターテインメント)

優れたビジュアルと演技力を持つ俳優は多く存在するが、その中でも特有のオーラを放っているヒョンビン。
スーツ姿がよく似合うたくましい体型や心地よい重低音の声、重厚ながらも憂愁に満ちた視線など外見的な魅力はもちろん、多様な役柄と無数の挑戦で築いたキャリア、それにふさわしい演技力まで兼ね備え、世界中から高い評価を受けている。
与えられた役柄を消化するだけでなく、努力を重ねながら完璧なキャラクターに昇華させ、観客はもちろん製作側にも大きな信頼感を与える俳優だ。

彼の最初のブレークは、2005年に放送されたドラマ『私の名前はキム・サムスン』。
ヒロインの相手役である青年実業家ジノン役を演じ、彫刻のような美しいビジュアルでありながら非常識というギャップのあるキャラクターで視聴者を一気に魅了した。ドラマの爆発的な人気を追い風にトップスターへと成長し、海外へも人気を広げた韓流スターとしても注目され始めた。

ドラマ『私の名前はキム・サムスン』(画像出典:mbc)

それから5年後の2010年、SBSドラマ『シークレット・ガーデン』でキム・ジュウォン役を演じ、2度目のブレークを迎えたヒョンビン。
「これが最善ですか?確実ですか?」「アメージングな女だ」などの流行語を生み出し、ジュウォン病やヒョンビン病と呼ばれるシンドロームを巻き起こしている。

ドラマ『シークレット・ガーデン』(画像出典:SBS)

このような全盛期に公開されたのが、映画『レイトオータム(原題:晩秋)』(2011)だ。

1966年に公開された往年の名作『晩秋』をキム・テヨン監督がリメイク。母親の葬儀に向かうため3日間だけ外出が許された囚人女性と、女性たちに”エスコートサービス”をしている韓国人男性が偶然乗り合わせたバスで出会い、短くも濃密な愛が描かれている。
舞台を原作とは異なるシアトルの地に移し、英語中心のセリフで撮影された本作は、これが功を奏し、シアトル特有の索漠とした雰囲気が2人の俳優の切ない演技をさらに輝かせたという評価を得ている。

映画『レイトオータム』 (©2011 CJE&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED)

7年間の服役中である囚人アンナは、母親の葬儀のため3日間の休暇が許可された。
実家へと向かうために乗ったシアトル行きのバスで、慌てて乗りこんできた韓国人男性フンにバス代を貸すことに。愛が必要な女性たちに”エスコートサービス”をする彼は、誰かから逃げているところだ。

シアトルに到着したアンナは、7年ぶりに再会した家族も街もすべてが変わってしまったようで居心地の悪さを感じ、元の場所へ帰るためにターミナルへと引き返す。

そこで運命のように再びフンと会ったアンナ。そして、いたずらのように始まった2人の1日。知っているふりをしてシアトルを案内するフンと共に過ごす中で、アンナは初めて安らぎを感じる。

名前すら知らなかったアンナとフン。
真剣で表情のないアンナの顔にかすかな笑みが浮かぶ頃、彼女が帰る時間も近づき、そこで2人は‥。

共に過ごすうちに心を開いていくアンナ(画像出典:©スポーツ韓国)

ヒョンビンとともに主演を務めたのは、中華圏で活躍する女優タン・ウェイ。
影のある囚人女性アンナ役に扮し、母親の死を軸に、何もかも変わってしまった風景、忘れてしまいたい暗い過去、向き合わなければならない相手との確執、もどかしさ‥と複雑な感情が絡まった姿を、飾らない容姿と少ないセリフで見事なまでに演じ切った。全ての感情を表情やしぐさで表現した演技力は、韓国のみならず世界で高い評価を受けている。

対するヒョンビンは、常に優しい笑顔を向け、女性たちに喜びを届ける”エスコートサービス”を生業にするフン役を演じた。何かに追われているフンはそれに怯えながらも、女性たちからの”依頼”に笑顔で応えている。依頼者の望みを受け入れ、寄り添いながらもフラットな感情を保つ淡白な男性だ。

この2人がバスで乗り合わせたことで出会い、しっとりとした濃密な時間を過ごしていく。
アンナの表情から読み取れる何かを察し、軽妙なトークで彼女の心を解放しようとするフン。
まるで優しいメロディーを奏でるかのようなフンの自然なエスコートにより、重く閉ざしていた口を次第に開いていくアンナ。そして明かされた、彼女にのしかかる暗くて重い出来事。

哀愁漂う映像と少ないセリフの中、物語はアンナを中心に描かれているのだが、ストーリーにさらに哀愁を添え、また希望のような光を差し込ませるスパイスのような役割をしているのが、ヒョンビン扮するフンなのだ。さりげない優しさと愛情が彼の淡白なまでの態度からあふれ出ている。

ドラマや映画を通じてこれまで披露してきた躍動感あるキャラクターとは一線を引く、”フン”という男。
キャスティングの際、「とてもハンサムだが、相手の負担にならず淡泊な雰囲気」を持ち「ふらふらという感じのしない」俳優を探していた監督は、推薦を受けて会ったヒョンビンがまさにそれだったという。

余白の美学を貫いた叙情的作品の中でヒョンビンが魅せた新しいキャラクターは、役者としての幅を広げる役も担っていたようだ。ヒョンビンの魅力である、ふとした時に見せる深く憂いある表情は、この役から出発したのではないだろうか。

ちなみに、映画の最後に2人が披露するキスシーンは、韓国映画史上最長時間記録を持っている。その時間何と2分27秒。短い出会い、短い愛ながらも互いへの愛を確かめる”儀式”だけは短くなかった。


『レイトオータム(原題:晩秋)』予告編(動画出典:Youtube)



ヒョンビン

韓国の人気俳優ヒョンビン(ハングル 현빈)。1982年9月25日生まれ。

2003年にKBSのテレビドラマ『ボディガード』(2003)でデビュー。

2005年にMBCドラマ『私の名前はキム・サムスン』(2005)で大ブレイク。韓流スターとして、韓国や日本、中国をはじめアジア全域で人気を博している。

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