ヒョンビン、なぜ '年上女優' との共演作品が多いのか

Netflix(ネットフリックス)で配信中のドラマ『愛の不時着』が人気を呼び、さらに知名度を上げた俳優ヒョンビン。これまでヒョンビンと共演してきた女優たちの多くは、ヒョンビンよりも年上が多いことが再注目されている。ヒョンビンが年上女優との作品にキャスティングされる理由はどのような点なのだろうか？

韓国ドラマ『愛の不時着』で人気絶頂の俳優ヒョンビン。彼のフィルモグラフィーを振り返ってみると、『シークレット・ガーデン』(2010)のハ・ジウォンや、『私の名前はキム・サムスン』(2005)のキム・ソナなど、共演するヒロインに“年上女優”が多い点が目を引く。

劇中、年の差カップルに設定される場合もあるが、実際の年齢差とは関係なく、同じ年頃のように描写されてロマンスも繰り広げられる。

これまで多くの作品に出演し、演じるキャラクターを完璧に自分のカラーに染めることから、“信じて見る俳優”と呼ばれ、高いブランド力を証明しているヒョンビンだが、特に、年上女優との作品に多くキャスティングされる理由は一体何だろうか？

俳優ヒョンビン（画像出典：VASTエンターテインメント）

社会的雰囲気の反映

女性の社会進出によって、働き方の多様化が進んでいる中で晩婚化が顕著になり、年々結婚年齢が上がっている韓国。

恋愛・結婚・出産を放棄する“非婚主義”という傾向も韓国社会全体に広まっていることもあり、ドラマの題材として取り上げられる頻度が高くなっている。

このような風潮を取り入れたドラマとなると、年を重ねても美しく魅力的な女性‥つまりはアラフォー世代の女優のニーズが高まり、スポットが当てられる。

シングルライフを謳歌している男女が多く存在するこの世の中で、沢山の共感を呼ぶことがヒット作への近道であるゆえに、風潮にマッチした女優のセレクトと彼女たちに見合った俳優のキャスティングが重要になる。

ヒョンビンが抜擢される理由

世の女性を魅了するヒョンビン（画像出典：VASTエンターテインメント）

ハ・ジウォンやキム・ソナなど、大衆の視線を一気に惹きつけるほどのスター級女優の年齢層が30代後半～40代へ差し掛かっていることに反して、彼女たちと呼吸を合わせられる同年代の男性スターを探すことは、なかなか容易ではない。

高い年齢層の男性俳優は“甘く柔らかなメロー”を回避したり、作品の雰囲気と合わず、初めから製作スタッフがキャスティング段階で除外したりもする。また、若い男性俳優には既存の女優と合わせられるような、長い年月をかけて培った深みのある演技や、自然体でキャラクターを表現することがまだ難しい。

そのような時に、俳優として味が出てきた30代という年頃で、恋愛モノから斬新なテーマまで幅広くキャラクターの個性を表現できるヒョンビンに目が向けられるのだ。

ヒョンビンは、年齢より落ち着いた印象で、相手の女優との年齢差を感じさせることがなく、知性・余裕・清潔感など男性としての魅力や、若さや渋さも兼ね備えている。だからこそ年上の名女優との演技も違和感なく溶け込ませることが出来た。

年上の名女優との共演でヒョンビンは名声を得て、女優たちも生き生きしているヒョンビンに対して若い感覚を維持できるので、両者にとって良いこととも言える。

ヒョンビンが共演した年上女優

ヒョンビン(37歳)の“視聴者を夢中にさせる演技力”と、ジーンと胸に響くようなストーリーで高い人気を得たドラマの数々。年齢差が感じられないほど、完ぺきなケミ(相性)を見せて、多くの好評を受けた名女優たちを振り返ってみよう。
*()内は現在の年齢。

キム・ソナ(46歳)

『私の名前はキム・サムスン』で共演したキム・ソナ（画像出典：MBC）

MBCドラマ『私の名前はキム・サムスン』(2005)で共演。放映当時50%を越える最高視聴率を記録してシンドロームに陥らせた人気ドラマだ。キム・ソナは同作で30代の太ったオールドミス“キム・サムスン”を演じるために体重を増やし、女優魂を見せて話題となった。

イ・ナヨン(41歳)

『アイルランド』で共演したイ・ナヨン（画像出典：MBC）

MBCドラマ『アイルランド』(2004)で共演。芸能人の中でも圧倒的な魅惑のオーラを持つイ・ナヨンが主演ということで、放映前から期待を受けたドラマだ。芸能界の中でも特に小顔と言われている彼女。男女問わず多くのスターが隣に立つと屈辱を味うと言われるが、イ・ナヨンの隣でも違和感の無いヒョンビンは、どれほど小顔なのかと改めて実感させられた作品だ。

ソン・ユリ(39歳)

『雪の女王』で共演したソン・ユリ（画像出典：KBS）

KBSドラマ『雪の女王』(2006)で共演。4人組ガールズグループFin.K.L(ピンクル)の契約終了後に女優に転向したソン・ユリ。女優になってすぐの頃は演技力に対する指摘もあったが、切磋琢磨して演技に磨きをかけ、『雪の女王』で一層成熟した演技力を披露し人気を得た。

ハ・ジウォン(42歳)

『シークレット・ガーデン』で共演したハ・ジウォン（画像出典：SBS）

SBSドラマ『シークレット・ガーデン』(2010)で共演。同作が大ヒットとなり、ハ・ジウォンはSBS演技大賞で最優秀演技賞など4冠を獲得。演技力、興行性など全てを備えた最高の女優としての地位を築きあげた。

この他にも、映画『私は幸せです』(2009)で共演したイ・ボヨン(41歳)、映画『晩秋(邦題：レイトオータム)』(2010)で共演したタン・ウェイ(40歳)、映画『愛してる、愛してない』(2011)で共演したイム・スジョン(41歳)、『彼らが生きる世界』(2008)で共演したソン・ヘギョ(38歳)など、多くの年上女優と共演しているヒョンビンは、相手女優を引き立たせると同時に自身の魅力を存分に輝かせている。