今月8日に閉幕した『東京2020オリンピック競技大会』。ここでメダルを獲得した韓国代表選手が兵役優遇の対象となった。しかし韓国では、競技種目によってメダル獲得のパーセンテージが違うため、不公平が生じているといった意見も見られている。今回の議論を受け、その矛先がK-POPアイドルへの兵役問題に向けられてしまった。
17日間に渡る熱き戦いが幕を閉じた『東京2020オリンピック競技大会』。
コロナ禍での開催とあって、世界からはアスリートの活躍と共に、感染対策や無観客開催など、異例の事態への対応にも目を向けられていた。
韓国ではこれに加え、”選手たちの兵役優遇”についても注目されている。
今回のオリンピックでライジングスターに浮上した、陸上の男子走り高跳び韓国代表ウ・サンヒョク選手。
2021月3月に国軍体育部隊に入隊し、現在兵役中であるにもかかわらず、韓国代表の仲間入りを果たしている。
11人組ボーイズグループTHE BOYZ(ザボーイズ)のケビンに似ていることでも話題を集めた彼は、惜しくもメダルに手が届かなかったものの、男子走り高跳びで韓国記録を塗り替えるという快挙(4位)を成し遂げた。
もし、軍人である彼がメダルを獲得していれば、残りの兵役期間は優遇される予定だったという。
(関連記事)K-POPアイドルが韓国代表のオリンピック選手に?THE BOYZ メンバーと激似
メダル獲得者は兵役が優遇される
韓国では、兵役法施行令第68条により、オリンピックでは3位以上、アジア大会では1位に入賞すれば”スポーツ要員”として代替服務できるように規定されている。
対象者たちは基礎軍事訓練だけを3週間受けた後、服務期間と決まっている3~4カ月間、特技分野(種目)で選手生活を続けることができる。
該当期間に社会的弱者などを対象にした講習や公益キャンペーンなどに参加し、544時間のボランティア活動時間を満たせば軍服務と認められる。
兵務庁によると、7日現在、『東京2020オリンピック競技大会』のメダリストのうち、兵役特例適用対象者は、アーチェリーのキム・ジェドク選手、柔道のアン・チャンリム選手、テコンドーのチャン・ジュン選手の3人だ。
競技によって不公平が生じる?
しかし、韓国では”兵役”が敏感な問題であるため、大会ごとに論議が絶えない。
競技種目によって韓国選手のメダル獲得可能性が千差万別という点で、現在の基準が公平性に反しているという指摘も見られている。
たとえば、不毛地同然の水泳や陸上などで韓国選手が拍手を受ける結果を出しても、”成績”だけで一律に区分するのは不利だという見方だ。
今回のオリンピックでは6カ国だけが出場し、最初から銅メダル以上獲得の可能性が50%だった野球競技も、同じ脈絡で議論の中心に立っている。
つまり、参加国の少ない競技でメダル獲得を獲得し、兵役優遇となるのは公平性に欠けるといった指摘だ。
また、昨年に「団体競技種目の場合は、実際に出場した選手に限る」という条項が削除され、チームがメダルを獲得すればベンチにいる選手も同じ恩恵を受けることができるようになったことも一因であるよう。
これに加え、韓国代表チームはプロ野球選手によって構成されていることから、彼らが高い年俸であることも反感を買う理由のよう。高い報酬を得ているのに、兵役まで優遇となることに不満を感じている人もいる。
K-POPアイドルの兵役議論も同じ理由から
野球の韓国代表チームに向けられた厳しい意見は、K-POPアイドルに対しての議論と似ている。
オリンピックのメダル保持者が兵役優遇となったのは、「国威宣揚および文化発達に寄与した芸術・体育特技者に対し、軍服務の代わりに芸術・体育要員として服務させる」という趣旨から、1973年に導入された。
これを見ると、スポーツ選手だけでなく芸術面で特化した人物も同じような優遇を受けるようだ。
『東京2020オリンピック競技大会』にまつわる兵役優遇の議論を受け、その矛先はBTS(防弾少年団)をはじめとしたK-POPアイドルにも向けられている。
彼らが海外で各種音楽チャートのトップに輝き、栄誉ある賞を受賞したとしても、その功績と報酬は自身の懐に入る。国威宣揚の功績を収めたことは評価するが、莫大な富を得て、さらに兵役まで優遇となるのは少々不公平ではないかといった意見だ。
*****
ここ最近、韓国ではBTSをはじめとしたアイドルたちの兵役優遇について、様々な意見が飛び交っている。
東京オリンピックでの選手団に対する対応を見ている限り、アイドルの兵役優遇問題はそう簡単には解決しなさそうだ。
BTS
BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。
HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。
デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。
ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。
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