【Danmee編集長コラム】世界の音楽シーンにおいて、凄まじい勢いで発展を遂げると思われるK-POP。ダンスとボーカルレッスンへの莫大な投資、優れたプロデュース戦略が、発展の理由として挙げられているが、”日本のファン”という貢献者の存在も忘れてはならない。
世界の音楽シーンにおいて、近年飛躍的な成長を遂げている音楽ジャンルと言えば、断然K-POPだ。まさに空前のK-POPブームと言わざるを得ない。
K-POPを定義すると、広くは”韓国大衆音楽(Korean Popular music)”であるが、世界の音楽ファンの間では、
- ユーロビートとアメリカンヒップホップ、エレクトロニックサウンドを基盤に、韓国特有の音楽スタイルが加わって誕生したジャンル
- ダンスとボーカルを徹底して訓練されたアイドルグループによる音楽
- 若年層から熱い支持を受けるティーンポップ(Teen Pop)が主流
というイメージが強い。
“K-POP”というワードが初めて登場したのは、1990年代の後半。由来については諸説あるが、その1つに、先に登場した日本の”J-POP”を真似て命名されたという説がある。
アジアの人気ジャンルから世界の主流ジャンルへ
1990年代後半から、中国や台湾で火が付いた人気は、アジア全域に拡散され、2000年代半ば以降は、韓流ドラマブームと相まって日本でも浸透し始める。今や、有名アイドルが日本のオリコンチャートで1位になることは、当たり前過ぎてニュースにもならないほどだ。
そして2010年代半頃から、SNSやYoutube(ユーチューブ)の波及に後押しされ、アジアの枠を超えて世界のファンを魅了。2018年よりBTS(防弾少年団)が、アメリカの名だたる授賞式とチャートで次々と快挙を達成し、世界の音楽ファンを驚かせている。
BTSの登場はK-POPを、アジア系の人気ジャンルから世界の主流ジャンルにステータスを上げるきっかけとなった。
何故、K-POPの快進撃はこんなにも続いているのだろうか。
ダンスとボーカルへの莫大な投資、優れたプロデュース戦略だけでは、説明しきれない要素がきっとある。
(関連記事) BTS 独走! 世界の人気ボーイズバンドはどこに消えたのか?
日本のファンという後ろ盾
K-POPアイドルが、世界へ羽ばたくようになった理由・・グループそれぞれにあるだろうが、”日本”という存在なくしては話にならない。
直線距離で、韓国と最も近い国が日本である。K-POPはすでに、世界第2位の音楽市場を持つ日本で、しっかり根を下ろしたメジャージャンルになっており、とてつもない量のK-POPコンテンツが日本で消費されている。
彼・彼女たちがデビューに至るまでの、長きに渡るレッスンやトレーニングにより生じた投資分の費用対効果を得るためには、韓国国内の市場だけでは、とてもじゃないが賄えない。そこで、日本へと活動範囲を広げれば、(繰り返すが)世界2位の音楽市場を持つ日本で得た収益で、練習生にかけた投資金が相殺できる、いや、それを上回る収益化が期待できるのだ。
現在、韓国で育成されているアイドルの”青写真”には、日本活動はオプションではなくマスト案件であり、だからこそより積極的に投資され、実力あるアイドルが続々と世に送り出されるという好循環が生まれているのだ。
しかも日本は、政治や外交問題に翻弄される(?)という不安要素が全くない。韓国にとってもう1つの隣国である中国では、外交問題が生じるたびに、当局が”限韓令”を発令し、これに泣かされた韓国芸能人は山ほど存在する。
さらに、日本の成熟した公演文化とインフラも、K-POPアイドルにとっては大きなメリットである。
日本は、数万人規模のコンサートが行えるドームが全国各地にあり、交通のインフラも世界1、2位を競う国。“その気になれば”の話だが、1日で全国プロモーションができてしまう。早朝に入国して各地方を回れば、最終便で帰国できる(もちろん、アーティストにとって体力的に無理だと思うが、あくまでも”インフラ”の観点では)。
数カ国を回らなければ、手に入れられないであろう公演及びコンテンツ収益が、短時間で得られてしまうのだ。
世界第2位の音楽市場と、成熟した公演文化とインフラを持つ日本が、K-POPの成長の大きな役割を果たしたことは、言うまでもない。
***
もちろん、日本と地理的に近い国々全てが、このような”メリット”を享受したわけではない。
そんな意味では、K-POPアイドルの能力は高く評価されるべきではある。が、仮に「韓国の隣国が日本ではなかったら、K-POPはここまで成長できただろうか?」という疑問が残る。
韓国ドラマ産業においても同じことが言えるのだが、日本での放送や配信、ソフトコンテンツ販売を前提とした投資が行われ、質の高いドラマが制作されているのも確かだ。
これからも、凄まじい勢いで発展すると思われるK-POPミュージック。それを支えている主役の1人が、まさに”日本のマーケット”であることは間違いない。
(投稿:Danmee編集長)
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