ガールズグループ・BLACKPINKのメンバー・ジスが、JTBC新ドラマ『雪降花(邦題)』で初演技ながら主演を務める。同作は、1980年代の韓国を背景に、北朝鮮から韓国に派遣された男性スパイを、警察から匿った女子大生とのラブストーリーを描いたものだという。 (写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)
BLACKPINKジスが、女優として本格デビューを果たす。
JTBCの新ドラマ『雪降花』(脚本 ユ・ヒョンミ/演出 チョ・ヒョンタク/制作 ドラマハウススタジオ、JTBCスタジオ)は、87年のソウルを舞台に、ある日突然、女子寮に血まみれで飛び込んできた名門大学生スホ(チョン・ヘイン)と、厳しい監視下の中でも彼を匿って治療した大学生ヨンチョ(BLACKPINK ジス)の、切ない愛の物語だ。
(関連記事)BLACKPINK ジス、ドラマ’雪降花’主演に抜擢!女優として本格始動
![初演技で初主演に挑むBLACKPINKジス。](https://danmee.jp/wp-content/uploads/2021/01/tp-blackpink-jisoo-drama1.jpg)
ドラマ『雪降花』は初演技で初主演となるBLACKPINKジス。(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)
本作は『SKYキャッスル』の脚本を手掛けたユ・ヒョンミと、チョ・ヒョンタク監督が再タッグを組む。
北朝鮮の男性と韓国の女性が恋に落ちるという設定、いわゆる”南女北男(朝鮮半島の南にある韓国の女子と北朝鮮の男子)”というテーマは、大ヒット作のtvNドラマ『愛の不時着』のそれに類似している。それだけに、『愛の不時着』同様、一歩間違えれば政治的・法律的なバッシング(*)を受ける恐れのあるテーマでもある。
*2020年1月『愛の不時着』は、韓国の保守政治団体より国家保安法違反の疑いで韓国警察に通報されたことがある。
そんな危険性があるにも関わらず、なぜ韓国のドラマ制作者たちは、このテーマを採用したのだろうか。”南女北男”というテーマの魅力に迫りたい。
「新鮮さ」が「人気」につながるという魅力的なテーマ
人気のあるテーマは、その分新鮮さを失われる。逆に新鮮さを強調しすぎると、そのテーマが人気を得るかどうかが不確かである。しかしこの”南女北男”のテーマは、その面において絶妙なバランスを誇る。
![新鮮な設定で大ヒットとなった『愛の不時着』](https://danmee.jp/wp-content/uploads/2021/01/tp-blackpink-jisoo-drama2.jpg)
“南女北男”という新鮮な設定で大ヒットとなったドラマ『愛の不時着』(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)
韓国と北朝鮮は、双方の国民の往来が基本的には禁止。当然、恋愛もできるわけもない。だからこそ、韓国の人にとって”北朝鮮の人との恋愛”というものが、新鮮に感じられるのである。しかも、朝鮮半島には昔から”南男北女(現在の韓国地域には美男子が多く、北朝鮮地域には美人が多い)”という言葉があるほど、韓国側は男性、北朝鮮側は女性というイメージが強かったのだが、その設定を逆転させた”南女北男”という構図も、新鮮さを増す要因となった。
そしてこの新鮮さが人気につながるということを証明したのが、大ヒット作tvN『愛の不時着』だ。この”南女北男”のラブストーリーは、最高視聴率21.6%(ニールセンコリア全国基準)と、韓国で絶大な人気を得た。本作のような人気と新鮮さの二兎が追えるテーマであれば、ドラマ制作者が注目することは、ある意味当然と言えよう。
海外でも通じる”南女北男”の新鮮さ
“南女北男”のもう一つの魅力は、前述の人気と新鮮さが韓国にとどまらず、海外でも受け入れられたという事が証明されたことだ。『愛の不時着』は、Netflix(ネットフリックス)の人気順位において、日本をはじめとしたアジア諸国では圧倒的な1位を記録し、世界で最も視聴されたNetflixのTV・映画ランキングで6位を記録するなど、絶大な人気を誇っている。
しかし、このテーマの海外人気は、考えてみればさほどおかしな話ではない。北朝鮮の人と恋愛どころか、会うことさえ難しいという事情は、海外の人にとっても同じ事。つまり”会えない人”に対して感じる新鮮さは、韓国と海外でさほど差がなく、それが人気につながった可能性が十分にある。そして、韓流ブーム以降、海外の視聴者に配慮してきた韓国のドラマ制作者としては、このような海外の反応に、魅力を感じることも無理はない。
“南女北男”は新たなトレンドとなるか:『愛の不時着』のもう一つの成功要因
しかし、『愛の不時着』には、”南女北男”が与える新鮮さ以外に、もう一つ、看過できない人気の要素がある。それは、このドラマが”高位職、財閥、一家間の争い”という既存の韓国ドラマの定番テーマを、意外と忠実に踏襲しているという事である。
リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)は、北朝鮮の高位職の息子であり、ヒロインのユン・セリ(ソン・イェジン)は韓国の財閥一家の娘だ。実際、この2人の行動には、高位職や財閥でなければ説明ができないものも非常に多かったと記憶する。
![チョン・ヘインとジスがどんな恋模様を展開させるのかに注目。](https://danmee.jp/wp-content/uploads/2021/01/tp-blackpink-jisoo-drama3.jpg)
チョン・ヘインとジスがどんな恋模様を展開させるのか?(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)
つまり、『愛の不時着』の成功要因は、韓国の既存のドラマによく見る”高位職、財閥、一家間の争い”というテーマが追い風となり、出来上がったものだという分析が可能なのだ。言い換えれば、『愛の不時着』の人気は、”南女北男”の他に、何か検証された要素が加わる必要がある、ということを強く示しているわけである。
そのため、”南女北男”ドラマが新たなトレンドとして成立させるためには、”高位職、財閥、一家間の争い”以外のテーマとの組み合わせでも韓国内外で、人気が得られるという事を証明しなければならない。それがドラマ成功へと導く、新たなトレンドのカギかもしれない。
『雪降花』は”南女北男”トレンド化の先駆けとなり得るか?
『雪降花』は、まだ詳細なあらすじなどは明らかになっていないが、現在出ている情報を総合すれば、前述のトレンド化の条件のうち、”南女北男”、”スパイ”、”1980年代・学生運動”という要素を加えたものと考えられる。これらの要素は、韓国の映画やドラマにおいては馴染みのあるものであり、韓国国内では”定番テーマ”を組み合わせたものとして評価できる。
ただし、海外で人気が出たテーマであるとまでは言い難く、その点をドラマの制作者、作家がどのように補っていくかが見どころだろう。この『雪降花』が見せている組み合わせが国内外におけるトレンド化の先駆けとなるか。今後に注目したい。
BLACKPINK
BLACKPINK(愛称 ブルピン / ハングル 블랙핑크)は、韓国のガールズグループ。2016年にYGエンターテインメントによって結成。
メンバーは韓国出身のジス、ジェニー、オーストラリア出身のロゼ、タイ出身のリサによる4名。公式ファンクラブ名は「BLINK(ブリンク)」。
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