ネット上にテロ予告が上がった、aespa (写真提供：ⓒ TOPSTAR NEWS)

8月8日、aespa(エスパ)が、米国の音楽フェスティバルに参加するため、仁川国際空港に姿を現した。

空港には、十数人の警察が配置され、彼女たちは厳重警備の中で出国した。

この日、警護が強化された理由は、オンラインコミュニティーに上がった脅迫文のため。

投稿者は、特定のメンバーを名指しし、殺害を予告。これを受け、所属事務所のSMエンターテインメントは、安全に出国できるよう警護人員を増やしたのである。

韓国ではこの1カ月に、凶器による無差別殺傷事件が相次いで発生している。

また、インターネット上には、不特定多数を対象にした犯行予告も多発しており、社会的な不安が高まっている。

韓国メディアのtopstarnews(トップスターニュース)によると、警察庁国家捜査本部は、8月7日午後6時までに全国で194件の殺人予告を確認し、作成者65人を検挙、このうち3人を拘束した。検挙された被疑者のうち34人が10代だという。

過去には、EXOもテロ予告のターゲットに‥ (写真提供：ⓒ TOPSTAR NEWS)

aespaに対する悪質なテロ予告をきっかけに、アイドルをターゲットにした過去の事例が再び注目を集めている。

それは、aespaと同じ事務所のEXO(エクソ)を脅かした、2014年の「キム・ヨシン事件」である。

自称「キム・ヨシン」と名乗る女性は、自身のブログを通じて、過去にアイドルを狙ったテロを数回行ったと明かした。そして「EXOの公演会場を訪れ、塩酸を混ぜた飲み物をメンバーの1人に渡すだろう」と予告し、メンバーとファンに大きな不安を与えた。

目的は、東方神起の*サセンファンのせいで、自身の両親が交通事故で亡くなったため、その復讐としてアイドルにテロを行うというものだった。彼女はその復讐のターゲットに、EXOを名指ししたのである。

*サセンファン：韓国語で“사생(サセン)”と書き、芸能人の私生活(사생활/サセンファル)にまで追いかけるストーカーのような悪質ファンのこと

当時、EXOのファンは「誰かが飲み物を渡しても飲むな」というメッセージを伝えるため、多くの努力を繰り広げたという。そして、幸いなことに、被害者は出なかった。

世間を騒がせた当本人は「私は普通の中学生であり、偶然EXOのアンチ文を見て好奇心が生まれた。今後、人間らしく生きていく」と謝罪文を出した。

結局「キム・ヨシン」という名前は偽名で、彼女がこれまでに語っていたテロ経験、テロ予告、両親の交通事故の話も全て噓だったことが明らかにされた。

「キム・ヨシン事件」は、1人の女子中学生が好奇心で始めた“いたずら”だったのである。

過去にトラウマで苦しんだことを明かした、東方神起のユンホ (写真提供：ⓒ TOPSTAR NEWS)

しかし過去には、東方神起(TVXQ)のユンホのように、実際にアイドルが被害を受けてしまったケースもある。

ユンホは、2006年に音楽番組の収録の休憩中に、ファンからオレンジジュースを受け取った。

何も気にせず、そのジュースを飲んだユンホは嘔吐し、病院に運ばれる。実は、ジュースの中に接着剤が混入されていたのである。

彼は当時のことについて「ジュースを飲んだ後、血が混じった嘔吐をし、パニック障害までかかった」と振り返り、一時トラウマで苦しんでいたことを明かした。

TWICEのミナも、悪質なネットユーザーに攻撃された (写真提供：ⓒ TOPSTAR NEWS)

しかし、結果的にテロは起きなかったとしても、ターゲットにされた芸能人は、それだけで十分に被害者だ。

2017年には、韓国のオンラインコミュニティーに、TWICE(トゥワイス)のミナの殺害を匂わせる脅迫文が上がった。

所属事務所は「該当事案に対し、善処なく強硬対応する」と明らかにしたが、ネット上で攻撃されたミナは、2019年7月に極度の心理的緊張と不安を訴え、9カ月間ほど休養することになった。

該当文を書いた本人は「人気の書き込みに掲載されるために文章を書いた」ことを明かし、「当事者にどのような脅威と恐怖感を与えるのか、全く考慮していなかった」と自筆の謝罪文を掲載した。

常に人から注目されている芸能人は、日々緊張状態の中で過ごしている。応援してくれるファンの存在が大きな力になる一方で、悪質コメントやデマなどにも苦しめられている。

ハードスケジュールをこなし、気を休める時間もなかなか取れない状況で受ける心無い攻撃は、結果「愉快犯のいたずらだった」で終わったとしても、当人へ与えた心理的不安とその影響力は計り知れない。

今回、アイドルに対する攻撃予告が再び上がったことで、韓国芸能界ではさらに緊張が高まっている。

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