韓国の政界から、BTS(防弾少年団)の国連行事参加が「文大統領の政治ショー」だとして、批判の声が上がっている。世界の政治指導者や若者に、素晴らしいメッセージを伝えたBTSに一体何が起きたのか‥。

去る9月4日、韓国大統領特使に任命された世界的人気アイドルグループBTS(防弾少年団)。

9月20日には、アメリカのニューヨークで開かれた国際連合(以下、国連)総会で演説を行うなど、様々な国連行事に参加している。

国連総会に出席したBTS(画像出典:BTS公式Twitter)

特に、国連総会場で撮影された7月発売のヒット曲『Permission to Dance』のパフォーマンス映像は、世界のARMY(アーミー:BTSファンの総称)だけでなく、韓国国内でも「BTSの人気と影響力を十二分に生かした」と好評を得ている。

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しかし、この動きに”待った”をかけた人たちがいる。

その人たちとは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の政敵である、野党の”国民の力党”だ。

国民の力党は22日、文大統領の国連演説について「北朝鮮と関連周辺国に終戦宣言を迫った。BTSまで動員した政治ショーは直ちに中止するべき」と論評。

周知の通り、韓国と北朝鮮は1950年に勃発した朝鮮戦争(韓国戦争)を1953年に休戦し、それ以降対峙局面が続いている。

文大統領は、大統領の任期が終了する来年の5月より前に、自身の公約でもあった”終戦”を成し遂げるため、国連総会を通して国際社会に訴えたのだと、国民の力党は主張しているのだ。

国民の力党は「(国連総会の)開催国であるアメリカは、防疫問題で渡米の自粛を要請したにもかかわらず、”政治ショー”を実現させるためにBTSまで連れて渡米を強行した」とし「”政治ショー”の目的は、北朝鮮への”求愛”だ。文大統領は、北朝鮮から終戦宣言を引き出すために、過去の北朝鮮の武力挑発にも目をつぶってきた」などと強い口調で批判する。

また「アメリカ側は、自粛要請を無視して渡米した文大統領を相手にもしていない。外交惨事だ」と嘆く。

ムン・ジェイン大統領とBTS

文在寅大統領とBTS(画像出典:大韓民国青瓦台 公式Twitter)

国民の力党は、日米韓軍事同盟を重視する保守的な政治色が強く、北朝鮮や中国に対しては強硬路線に固執している。一方、文大統領と与党の”共に民主党”は、北朝鮮に対する宥和政策を展開している。

文大統領の”終戦宣言”提案に、北朝鮮側はすぐさま「(終戦宣言は)時期尚早」とコメント。韓国国内でも「BTSを国連に連れて行って冷や飯を食わせた」「BTSがせっかく素晴らしい活動をしたのに後味が悪い」というネガティブな反応が上がっている。




BTS

BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。

HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。

デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。

ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。

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