CJ ENMとBigHitエンターテインメントによる超大型プロジェクト『I-LAND』。制作費200億ウォン、3000坪の専用セットが作られるなど放送前から注目を浴びていたのだが、前半戦が終わった今、大衆の反応はあまり高くないようだ。その理由とは‥。

200億ウォンが注ぎこまれた。

Mnet『I-LAND』

200億ウォンが注ぎこまれた、CJ ENMとBigHitエンターテインメントによる超大型プロジェクト『I-LAND』(写真提供:©スポーツ韓国)

CJ ENM(以下CJ)とBigHitエンターテインメント(以下、BigHit)が野心を燃やしてスタートさせた『I-LAND』の前半戦が終わった。しかし野心の大きさの割に、大衆の関心は決して高くない。”0%台”の視聴率が、それを物語っている。

第2のBTSを夢見る練習生たち

RAIN、パン・シヒョク、ZICO

左からRAIN、パン・シヒョク、ZICO(写真提供:©スポーツ韓国)

第2のBTS(防弾少年団)、第2のTXTを夢見る練習生たちのサバイバルオーディション番組『I-LAND』は、K-POPのグローバル化の先陣にあると言われているCJとBigHitが、制作費200億ウォンを投入し、3000坪とも言われる専用セットが作られるなど、放送開始前から大きな注目を浴びていた。BTSの生みの親であり師匠のパン・シヒョクを筆頭に、かつてのワールドスター、RAIN(ピ)や現在一番ホットなヒップホップアーティストであるZICO(ジコ)がプロデューサーとして加わり、2020年を代表するオーディション番組として、好材料をすべて揃えているように見えた。

しかし、蓋を開けてみると、視聴率と話題性の二兎を追って一兎も得ずという状態のまま、前半が終了してしまった。
視聴率においては”0%台”という嘆かわしい数字の並び。韓国ポータルニュースでも滅多に取り上げられず、話題性においても惨敗だ。何故ここまで苦戦しているのか‥その原因を探ってみる。

馴染みのないオーディションコンセプト

近年、オーディション番組の代表格と言うと断然”プデュ”という愛称で親しまれているMnetのPRODUCEシリーズだ。
韓国の各所属事務所から”スター”を夢を見るアイドルの卵たちが出演し、それぞれの個性を発揮して歌やダンスを競い合う姿に、多くの人が熱狂し応援した。”国民的オーディション番組”という前置詞が付いて当然の出来栄えだった。しかし、I-LANDにはプデュのような個性の豊かさや、ダイバーシティが見当たらない。何故なら彼らは、元々BigHit所属の練習生たちであるからだ。

そして、もう一つ不振の理由を挙げるとすれば、”難しすぎるコンセプト”だろう。未知の空間である”アイランド”でデビューを目指し、サバイバルを繰り広げるというコンセプトは、初回からの熱血視聴者でなければ、その流れが中々キャッチできないと言われるほどだ。オーディション番組に限っての話ではないが、通常初回から最終回まで完走する視聴者よりも、途中合流する視聴者が多い。PRODUCE 101の場合、初回の視聴率は1.4%だったが、最終回は3.9%で終わっている。即ち難しいコンセプトが、『I-LAND』視聴者の拡大を阻んでいるという見解は、ある程度納得である。

BTSは救世主になれるのか!?

BTS

番組にBTSが登場するというが‥(写真提供:©スポーツ韓国)

そんな中、番組側が切り札を用意した。何とBigHitのエースであり、世界的な人気を誇るBTSが、14日に放送される”パート2″の初回(全体でみると7回)に登場することが決定。
まだ、どのようなポジションで同番組に加わるのかはベールに包まれているが、0%台の視聴率に苦戦しているパン・シヒョクには心強い支援軍になるとみられる。

ただ一つ残念なのは、第2のBTSを夢見る練習生たちではなく、彼らのロールモデルである”本物”のBTSが主役になってしまうという点だ。BTSの人気と名声は、視聴率低迷から脱出できる切り札にはなりえても、国民的な関心を浴びながら”第2のBTS”を誕生させるという同番組の趣旨は遮られるかも知れない。

どれだけ大好きなBTSが「応援してほしい」とお願いしても、魅力的な練習生、好みの練習生がいなければ、彼らの登場回のみの視聴で終わってしまう。いっそ彼らが、プロのプロデューサーに加わるくらいの飛び道具的話題があっても良さそうだ。



BTS

BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。

HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。

デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。

ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。

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