HYBEの株価が、下落している。11月27日からアメリカ・ロサンゼルスで、BTS(防弾少年団)が約2年ぶりとなるオフライン公演を盛大に行う中、ワールドツアー再開への期待も大いに膨らんでいるが、なぜか株価は、ここ10日間で10%近くも下降線をたどっているのだ。
BTS(防弾少年団)のアメリカ公演が発表された去る9月、HYBEの株価は急激に上昇した。これは、ワールドツアー再開に対して、韓国国内の19万人ものHYBE投資家の期待感が反映された結果である。

約2年ぶりとなるオフライン公演『Permission to Dance On Stage-LA』を開催した、BTS。(画像出典:BTS公式Twitter)
そして現在、11月27日からアメリカ・ロサンゼルスで、約2年ぶりとなるオフライン公演『Permission to Dance On Stage-LA』が盛大に行われており、ワールドツアー再開への可能性は大いに示しているが、なぜか株価は、ここ10日間で10%近くも下落。
その間、『American Music Awards(AMA)』の大賞受賞の一報も伝えられ、投資家への好材料が増えている中、なぜその熱気が冷めだしているのだろうか。
11月27日、韓国の経済専門メディアである毎日経済(mk.co.kr)は、その理由を「国防部(日本でいう防衛省)が、BTSへの兵役優遇に対して反対の立場を表明したため」と報じる。
去る11月25日に開かれた、韓国国会の国防委員会では、BTSを含む大衆文化芸術人への優遇策を巡り「議論の合意点に達していない」と発表。
国防部の報道官は「(BTS兵役優遇は)慎重に議論していくべき事案だ」と述べ、兵役優遇は事実上消滅しただろうという見解が、投資家の間では優勢となったのである。
いまだに、優遇されてほしいと”希望”を語るファンも少なくないが、現状を冷静に分析し、今後の動きを見据える投資家たちは、「2022年になれば、恐らくBTSメンバーは相次いで入隊するだろう」と見ていると、毎日経済は分析する。
とは言え、そもそもBTS側が韓国政府に、兵役優遇を要求していたわけではない。
しかし、メンバーの入隊が及ぼす株価への影響を考えると、HYBE側も投資家たちも、兵役優遇がもたらす恩恵は期待していたはず。何しろ、米ビルボードチャート席巻に続き、外交官として国連での行事参加や由緒ある授賞式(AMA)での快挙など、兵役優遇に繋がる好条件は揃っていたのだから。
それだけに、今回難色を示した国防部には大きな失望感が示され、株価下落局面を招いたのである。
しかも来年3月には、今後の韓国国政が左右されることになる大統領選挙が行われるため、国防部による劇的な方針転換が見込めないのも事実。さらに次期大統領決定後は、政権交代期に見られる人事異動などにより、兵役に関する議論は放置される可能性が極めて高いのだ。

BTSの”兵役優遇”に関する議論が続いている。(画像出典:韓国国会)
現在の兵役関連法によると、1992~1997年生まれのBTSメンバーは、全員が入隊対象者である。果たして、多くの投資家が抱いている悲観論--順次入隊となってしまうのだろうか‥。
一方、去る10月から韓国政府による、”ウィズコロナ”がスタート。前月に比べて、15%の上昇を記録したHYBEの株価は*調整局面を迎え、一時的な下落であるとの見解もある。
*調整局面:株価の値上がりが続いた後、一時的に下落するような局面のこと
どちらにしろ、株価下落のニュースは、新規プラットホームやEC事業など、様々な画期的ビジネスに参入し、数々の有名アーティストを抱えているHYBEにとって、BTSという存在がどれほど大きいか、彼らの入隊がHYBEの命運を握っているという”現状”を示す出来事であるのだ。
BTS
BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。
HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。
デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。
ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。
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