- 『2022 杭州アジア大会』が閉幕し、韓国では出場選手たちの兵役特例に注目が寄せられている。
- 今回の大会ではサッカー、野球、eスポーツの選手が兵役特例を受けることに。世間ではK-POPアイドルを引き合いに出した公平性議論が巻き起こっている。
- そんな中、韓国政府はある3つのジレンマを抱えているという。

『2022 杭州アジア大会』で優勝した韓国のeスポーツ代表メンバーたち(画像出典:SBS 뉴스 YouTube キャプチャー)
10月8日、先月より中国で行われていたアジアのスポーツの祭典『2022 杭州アジア大会』(以下、杭州アジア大会)が閉幕した。
日本でも多くの選手たちが活躍を見せた本大会であるが、韓国では選手たちに対する兵役優遇に関心が集まっている。
今回の『杭州アジア大会』では、メダルを獲得した多くの代表選手たちが兵役特例を受けることとなった。
中でも注目は、サッカーと野球代表チームの選手たち。サッカー代表チームは20人、野球代表チームは19人が兵役特例の対象者となっている。
さらに今回大会では、eスポーツが初めて正式種目として登場し、『リーグ・オブ・レジェンド』種目で金メダルを獲得した、韓国代表選手6人の兵役特例も決まっているようだ。
韓国ではアジア大会でメダル獲得などの好成績を収めた場合には、”国威宣揚に寄与したスポーツ特技者”となり、該当選手に芸術・スポーツ要員としての代替服務が適用される。
現役兵として服務する代わりに、該当分野の発展に貢献することが求められる代替服務制度では、基礎軍事訓練3週間と、奉仕活動544時間の条件を満たせば、軍服務が終了とみなされるのだ。
再燃した兵役議論
しかし、大会開幕とともに世間では、代替服務に関する公平性議論に火がつき、さまざまな世論が飛び交った。
中にはBTS(防弾少年団)を引き合いに出し、「BTSも入隊しているのに、選手たちが兵役特例を受けるのは不公平」という意見も登場している。

兵役特例議論が巻き起こるたびに名が挙げられるBTS(写真提供:©TOPSTAR NEWS)
国際スポーツ大会のたびに再燃する兵役特例の議論ーー「アイドルはなぜダメなのか」。
国威宣揚への貢献度を考えると、世界の舞台で活躍するBTSなど、大衆芸能で活躍しているK-POPアイドルがスポーツ選手を上回るため「兵役特例を付与するべき」という理屈なのである。
だが、韓国政府にはアイドルたちに特例を与える上で、乗り越えなければいけないジレンマが3つあるという。
富と名誉を入れた人気アイドル
その1つ目が、兵役の優遇は韓国アイドルたちにとって、ボーナス的な要素が強いものであること。
韓国のアスリートに対する兵役特例制度は、スポーツを通して韓国の名を世界に広げる目的だけではなく、アマチュア選手活動を保証するものとして1973年に導入された。
スポーツ選手が活躍を続けるためには、自身の持つ競技の実力や技量を維持しながら、選手生活を送る必要がある。
そのため、選手たちが兵役のために約2年のブランク期間を過ごすことは、彼らの選手生命に大きな影響を与える可能性も高い。
その一方、グロバルで大活躍を魅せるK-POPアイドルの場合、すでに富と名誉を築き上げ、スターとして君臨しているケースが多い。
このことからも「すでに社会的地位と膨大な財産を持つアイドルに、さらなるボーナス(兵役特例)を与える必要がある?」と一部の人々からは、厳しい指摘が寄せられているのだ。

「大衆芸術家に対する兵役特例基準を定めるべき」という意見も登場している(画像出典:SBS 뉴스 YouTube キャプチャー)
曖昧な基準
また、2つ目のジレンマには大衆芸術家として活躍するK-POPアイドルを対象とした、兵役特例適用基準が曖昧になっている点が挙げられる。
現行兵役法によると現在、芸術・スポーツ要員として芸術家やスポーツ選手たちが、特例を受けることのできるコンテストは、計42大会あるという。
しかし、大衆文化の場合、国際大会が存在せず、国威宣揚にどれだけ寄与したかを公的に判断するのが難しい。
BTSを振り返ってみると、彼らは過去に世界的権威を持つ授賞式『アメリカン・ミュージック・アワード(AMA)』や、『ビルボード・ミュージック・アワード』で、複数の賞を獲得した。
世界的にも大きな話題となり、韓国の国威宣揚への貢献したBTSであるが、これらの受賞式は国際大会とは認められていない。そのため、国威宣揚の寄与度を測る指標にはなり得ないという。
これらを踏まえ、一部の人々からは「映画や音楽会などに従事する芸術家にも、兵役特例を付与できる法的基準が必要だ」「アメリカだけではなく、欧州や日本で上げた業績も基準にするべき」という声が上がっている。

特例制度により政治的イシューに巻き込まれる可能性も憂慮されている(画像出典:MBCNEWS YouTube キャプチャー)
K-POPアイドルが韓国政府の要員になる?
そして、最後のジレンマが、韓国政府の管理下での活動だ。
もし、韓国アイドルに対する兵役の特例制度が適用された場合、兵役を完全に免除する訳ではなく、代替服務を行うのが適切であると、一部の政治家たちは“代替服務案”を挙げている。
これらが実際に適用されれば、アイドルが国家の宣伝として利用され、外国とのデリケートな政治的イシューに巻き込まれる可能性が高まる。
代替服務を行う場合、韓国の要員として彼らが国家活動を行うことは必要不可欠であるが、海外人気が高いK-POPアイドルが政治的な思惑に関わるのは、イメージ悪化に繋がる恐れもある。
8月に韓国で開催された『世界スカウトジャンボリー(World Scout Jamboree)』にて、世界中から苦言の声が寄せられた際、有力政治家が「BTSをステージに上げてでも、この災難を収拾すべき」と発言し、物議を醸したのも記憶に新しい。
そのため、兵役特例に伴う政府管理下での活動は、アイドルのみならず、ファン側も*全体主義的な観点を踏まえ、強い難色を示している。
*全体主義:個人の自由や社会集団の自律性を認めず、個人の権利や利益を国家全体の利害と一致するように統制を行う思想または政治体制。例としては、ファシスト政権期のイタリア、ナチス・ドイツ、ソ連、毛沢東期の中国など。(出典:Wikipedia、アジア経済研究所)
(関連記事)BTSにもジャンボリー動員令?「戦時の強制徴用か」「全体主義」との批判も
韓国大衆文化の伝道師として、グローバルで大きな実績を残しているK-POPアイドル。今後、さらなる活躍が見込まれている中、明確な特例基準の欠如と、2つに分かれた国民の意見により、韓国政府はその“ご褒美”に頭を抱えているようだ。
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