新作韓国ドラマ『雪降花』の放送開始を控え、11月末から本格的なプロモーションが始まっているが、”歴史歪曲議論”が韓国ネットを中心に再燃している。主演のジス(BLACKPINK)に対しては、過去の発言まで取り上げ、中傷を煽るコメントが多く寄せられている。
今冬、最も話題の新作ドラマ『雪降花:snowdrop(以下、雪降花)』が、いよいよ12月18日に初放送を迎える。
ここ日本でも、昨今の韓国ドラマブームに相まって、本作への関心は高い。
『雪降花』は、次世代韓流スターとして”頭1つ抜けている”と評される俳優チョン・ヘインと、世界的な人気を誇る女性アイドルグループ、BLACKPINK(ブラックピンク)のメンバー、ジスがW主演を務めると知られ、企画段階から注目度の高さをうかがわせていた。
しかし、ドラマのプロットが公開されると、”歴史歪曲”という思いもよらない議論に巻き込まれてしまう。制作側は「時代に翻弄された、青春男女の切ないラブストーリーである」と、憶測と批判の火消しに乗り出すも、本作に対する世間の反応は、依然として冷ややかである。
ではなぜ、世論の憤りは収まらなかったのだろうか。まだドラマは封切りもしていないのに‥だ。
『雪降花』はなぜ批判されているのか
韓国ネットユーザーが、『雪降花』を歴史歪曲と主張し批判するその根拠(理由)の裏に、どのような歴史的背景があるのか、ぜひ知ってもらいたい。
本作で、チョン・ヘイン演じる名門大学生のイム・スホは、ドイツ出身という設定だ。そんな役どころが、1980年代に民主化運動を展開していたソウル大学の学生、イム・ジョンソクを連想させる。
1967年当時、韓国政府はドイツに留学していた学生や大学教授194名を、北朝鮮のスパイだとでっち上げた(東伯林事件)。しかしこれは後に、政権が不正選挙に対する国民の不満をそらすために行った、国による捏造だったことが判明した。
ネットを中心に広まる主演俳優への中傷
しかし『雪降花』はイム・スホを、北朝鮮のスパイとして描いている。
韓国のネットユーザーは、イム・ジョンソクや”東伯林事件”を都合よく利用しながら、韓国現代史に残る”傷跡”をフィクションという名目で、事実とは異なる描写をしていると怒っているのである。
ドラマの放送開始を控え、11月末から本格的なプロモーションが行われているが、残念ながらしばらく静まっていた議論が、韓国ネットを中心に再燃してしまった。
有名オンラインコミュニティーでは、制作側を批判しつつ、主演を務めるチョン・ヘインとジスに対しても「歴史認識が足りない」「議論を楽しんでいるのか?」「大嫌いになった」などの猛攻を浴びせている。一部のネットユーザーは、「金の亡者」「学生時代に勉強しなかったの?」「事務所(YG)が問題」と、中傷を煽るコメントも多数寄せられた。
そして火の粉は、ジスの過去の発言にまでに燃え移っている。
本日(12月1日)、韓国有名オンラインコミュニティー・theqoo(theqoo.net)では、過去にジスが「韓国史が大好き」と発言していたことが取り上げられ、当時の画像(スクリーンショット)を共有するスレッドが立ち、ジスへの辛辣な意見がコメント欄を埋め尽くしている。
その内容を見てみると「自分で歴史好きを公表したのに、そんなドラマに出演するの?」「歴史の教科書を小説だと思って読んだの?」「救いようがない‥」と、まさに”言いたい放題”。
YGにとっては、2度目の悪夢?
去る3月、第1話の放送内容について視聴者から批判が殺到し、”歴史歪曲”議論に包まれわずか2話で放送終了を余儀なくされた韓国ドラマ『朝鮮駆魔師』。偶然にも、本作を制作したのはYGエンターテインメント(以下、YG)傘下の企業だった。
(関連記事)第2話で終了? ‘朝鮮駆魔師’ 前代未聞の事態に「チャングムの誓いも歴史歪曲」
YGは『朝鮮駆魔師』の早期終了によって株価は下落し、約700億ウォン(約67億円)の損失を被っている。にもかかわらず、よりによってYGは”歴史歪曲”という悪材料に再び襲われている。
果たして『雪降花』は、ジスとYGにとって”黒歴史ドラマ”になってしまうのだろうか‥。
BLACKPINK
BLACKPINK(愛称 ブルピン / ハングル 블랙핑크)は、韓国のガールズグループ。2016年にYGエンターテインメントによって結成。
メンバーは韓国出身のジス、ジェニー、オーストラリア出身のロゼ、タイ出身のリサによる4名。公式ファンクラブ名は「BLINK(ブリンク)」。
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