先月中旬に“梨泰院訪問”で論議を起こしたBTS(防弾少年団)のジョングク、ミックステープにキリスト系カルト集団のスピーチが挿入され論議となったSUGA。彼らの一連の行動でファンと大衆たちの意見が対立しているのだが、そこから見えたものとは..
BTS(防弾少年団)のSUGA(シュガ / 本名 ミン・ユンギ)とジョングク(本名 チョン・ジョングク)の名前が、ここ最近リアルタイム検索語の上位圏を占めている。
彼らの一連の行動で、ARMY(BTSのファン)と一部のネットユーザーたちの甲論乙駁が続いており、一角ではBTS全体を非難する声も聞かれている状況だ。

BTS ジョングク(左)・SUGA(右)(画像出典:BTS Twitter)
SUGAの論議
5月22日、SUGAがリリースしたミックステープ『D-2』の収録曲『What do you think?』に、アメリカのキリスト系カルト集団の教祖ジェームス・ウォーレン・ジム・ジョーンズ(以下:ジム・ジョーンズ)の音声が10秒ほど挿入された。
ジム・ジョーンズは、社会主義の信奉者であり、社会主義こそが神の意思に沿った社会規範であると信じていた。1978年に南米・ガイアナに移住した後、教団が開拓したジョーンズタウンで、信者共々集団自殺したことで知られている。
多くの犠牲者が発生した虐殺事件。カルト集団の宗教指向が濃い音声を挿入したことでSUGAに対する論議が大きくなったのだ。
これと関連して、所属事務所Big Hitエンターテインメントは「該当曲のトラックを作業したプロデューサーが、ジム・ジョーンズを知らず、特別な意図が無い状態で曲全体の雰囲気を考慮して選定した」とし「社会、文化、歴史的に問題になる内容は確認しているが、今回の場合は事前に認知できず、状況に対する理解も足りなかった」と、無知による失敗だと解明した。
(関連記事)BTS SUGAの’カルト宗教肉声’議論に、何故か熱い執念を見せた’Dispatch砲’
だが、SUGAと関連したイシューはこれで終わりではなかった。
5月29日にSUGA自身が直接進めたライブ放送で、新曲のプロモーションについて「コロナのせいではなく、コロナのおかげ。多分ツアーをしていたらミュージックビデオも撮影出来なかったことだろう」と表現。
新型コロナウイルスの事態の中、音楽活動が出来たことを“コロナが持ってきた幸運”と話したことが指摘されたが、一部ではコロナ関連の寄付も行ったSUGAの単純な失言を悪意的に報じているという擁護の声も聞かれている。
ジョングクの謝罪
“今後、いつどこでもその瞬間ごとに深く考えて行動するジョングクになる”
6月6日、ジョングクはSUGAのオーディオ番組『DJ SUGAの蜜FM 06.13』にゲストで出演し、このように言及した。先月中旬に論議を起こした“梨泰院訪問”に対する謝罪であった。
ジョングクは「最近、自身の行動によって多くの方々を傷つけてしまいました」とし「この状況でも辛苦の末に過ごされている方々、熱心に応援してくださる方々、そして常に傍にいてくれるメンバーたちにもすごく申し訳ないという気持ちが大きかった」とし「特に愛するARMY。僕自身によって、心苦しい時間を過ごしていたと思うと心がとても重く苦しかったです」とコメント。
続けて「近ごろ一人で多くのことを考えました。メンバーたちとも沢山話し合いをし、自身を振り返ってみて、感じることが多くありました」とし「このように、皆さんに直接ライブを通じて申し上げたかったです」と謝罪した。
(関連記事)「もしバレなかったら?」97LINEの‘梨泰院訪問’ 韓国で批判を呼んでいる理由
ネットユーザーの反応
ジョングクとSUGAの論議に、一部のネットユーザーたちからは、
「グループ内で騒がしい子たちだよね(嘲笑)」
「人前に立つ人間として圧倒的に共感能力が欠けている」
「ユニセフのスピーチにまで立ったグループが..問題ばかりで残念でならない」
という反応が寄せられた。
反面、一部のファンたちは、
「彼らの真心は、長く深く知っている人なら理解できること」
「緊張した声で心から謝罪をしてくれたジョングクありがとう」
「長い歳月をかけて制作してきた大切なミックステープ。一番傷付いたのはSUGAではないだろうか」
「非難している人たちは“イルベ(※)”じゃない?」
と、BTSを擁護するコメントも見受けられる。
※イルベ = 日本の“2チャンネル”に例えられるネット掲示板サイトで、アーティストに対する“侮辱”がよく見られる。日刊ベスト(일간베스트) = 略してイルベ(일베)などと表記される。
コロナの事態で社会的距離を置かなければならない時に繁華街に外出してしまったジョングク。ミックステープによるSUGAの騒動で、“人種差別反対宣言をしていたBTSと行動が矛盾している”と、過去に醸し出した物議や論議なども掘り下げられているBTS。
BTSは世界的なアーティストだ。世界が注目しているからこそ、繊細な部分でも気を遣わなければならなかったことは事実であり、彼らの誤った行動に対する指摘などは理解できる。
だが、嘲弄や人身攻撃をするような悪質なユーザーたちの行動は、それこそ“無意識に彼らを侮辱している差別”にはならないのだろうか..と、今回の論議を見て“差別”に対する多くのことを考えさせられる。
BTS
BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。
HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。
デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。
ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。
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