カン・ハヌルの、約3年振りとなる主演ドラマ『インサイダー(JTBC)』が、低空飛行のまま終わりを迎えた。第1話から、韓国の仏教団体から抗議を受けるというトラブルが生じ、その後巻き返しを図ることができなかったのだ。しかし、ドラマ終映後から約2週間後、現実では物語から遠からずな“まさか”の出来事が発生した。
英国の詩人、ジョージ・ゴードン・バイロンの言葉に“真実は小説より奇なり”とあるが、まさに似たような出来事が起きた。

該当シーンは、偽装潜入捜査を任されたキム・ヨハンの姿を見せる初めてのシーケンスで、重要な場面だったが‥。(画像出典:JTBC)
カン・ハヌルが主演を務めた、アクション・サスペンスドラマ『インサイダー』が、7月28日に韓国で最終回を迎えた。
“潜入捜査中に、奈落の底に落ちた司法研修生が、奪われた運命を取り戻すために凄絶な死闘を繰り広げる”と謳われたこのドラマで、カン・ハヌルはこれまでに見せたことのない姿を披露し、視聴者を驚かせた。
(関連記事)「同じ刑務所が出る韓ドラなのに」カン・ハヌルとイ・ジョンソクの評価が分かれた理由
しかし、ドラマは初回でまさかの出はなをくじかれてしまう。
あるシーンで、寺院の法堂で僧侶たちがギャンブルに興ずる姿が描かれ、「観世音菩薩!」と叫んだり、詐欺を主導するかのようなシーンが盛り込まれていた。
すると韓国の仏教団体が「悪意的であり、露骨に僧侶を蔑視している。仏教を嘲弄するような場面を流すのは、僧侶に対する明白な名誉毀損、毀損行為だ」と声明文を発表。JTBCと制作会社に対し、公開謝罪と映像削除、放送休止を要求した。

『インサイダー』制作発表会に登壇した主演のカン・ハヌル。(画像出典:JTBC)
第1話放送後、話題の中心はもちろんこの“仏教侮辱議論”となり、肝心なストーリーやカン・ハヌル演じるキム・ヨハンについてのレビューは、二の次となってしまった。
結局、JTBC側は総務院の僧侶たちと非公開で面談し、正式に謝罪したことを明らかにしている。
そしてこのトピックを拭い去ることができぬまま、ドラマが終了した形だ。
何だかこのような展開に、既視感を覚えはしないだろうか。
チョン・ヘインとBLACKPINK(ブラックピンク)ジスが、ダブル主演を務めたJTBCドラマ『スノードロップ』だ。
トップスター同士の共演とあり、放送前から話題を集めたのだが、あらすじがが公開されると一転、世間の顔色が変わってしまう。

物語以上に、歴史歪曲議論が大きくなってしまった『スノードロップ』。(画像出典:JTBC)
1987年のソウルを背景に描かれた本作で、チョン・ヘイン扮するスホが武装スパイである事、三角関係の一軸となるサブ男性主人公が、安全企画部の職員であるという点から、大衆は“民主化運動”という現代史歪曲への懸念を示したのだ。
これに対し、JTBC側は「民主化運動を卑下し、安企部を美化するドラマではない」と釈明したが、大きくなり過ぎた議論は収束することなく、ドラマそのものについて話題を集めるに至らなかったのである。
今回の件も、“仏教侮辱議論”が大きくなり過ぎたがために、ドラマがその陰に隠れてしまった印象を受ける。
しかし、ドラマが終了して約2週間、まさかの出来事が起きたのだ。
8月14日、ソウルの江南(カンナム)区で、僧侶たちがある労組員に暴行する事件が発生し、警察が出動したというのである。
地元の警察署によると、現行犯逮捕された僧侶A氏は、ジャスン前総務院長の縦断選挙介入疑惑に抗議する労組員に暴行、汚物をかけるなどしたという。
暴行当時、現場に駆け付けた警察官が制止しようとするも、僧侶2人は暴行を続けたそうだ。
今後、改めて取り調べを行う予定だという。
「僧侶を侮辱した」と、抗議した側が有らぬ事で三面記事の主役となり、『インサイダー』ドラマ制作側もこの事件には、(もちろん落ち度があったとしても)胸にモヤモヤしたものが残りそうである。
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