【韓流20周年企画-ドラマ『オールイン 運命の愛』編】2022年は、日韓同時開催が話題となったFIFAサッカーワールドカップから20年を迎える年となる。振り返ると日本の韓流ブームの歩みも、同じようなタイミングだったのではないだろうか。そこで今回は、そんな時代にヒットしたSBSドラマ『オールイン 運命の愛(2003)』に出演し、イ・ビョンホンの子役を演じたチン・グを紹介する。

SBSドラマ『オールイン 運命の愛(2003/以下、オールイン)』は、俳優のイ・ビョンホンが主演を務め話題になった作品だ。

SBS『オールイン 運命の愛(2003)』は、イ・ビョンホンが主演を務め話題となったドラマ。

イ・ビョンホンが主演を務め話題となった、SBSドラマ『オールイン 運命の愛(2003)』(画像出典:SBS)

韓国で最高視聴率47.7%を記録し、日本でもNHK衛星第2テレビジョンなどで放送され、多くの人に愛された。

そんなヒット作で、イ・ビョンホン扮するキム・インハの子ども時代を演じた、俳優チン・グを覚えているだろうか。

俳優のチン・グは、『オールイン』でイ・ビョンホン扮するキム・インハの子ども時代を演じた。

『オールイン』でイ・ビョンホン扮するキム・インハの子ども時代を演じた、俳優のチン・グ。(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)

チン・グは同作で俳優デビューをしたのだが、なんとこのオーディションは2000倍もの競争率だった。それを見事、勝ち取った人物なのである。

どれだけ印象的な演技を披露して選ばれたのかと想像させるが、実は驚きのエピソードがあった。

2021年、チン・グはあるバラエティー番組で、当時の秘話を語っている。それによると、彼にとってはこれが初めてのオーディションだったという。

作品についてはおろか、2000人の応募者がいることも知らずに会場に行き、その日のオーディション参加者が自身を含めて3人だったことから「小規模のドラマだと思ってた」「この程度なら、やってみる価値があるかも」と感じたそうだ。

そして演技審査が始まるのだが、緊張してセリフが覚えられず正直にそれを伝えたところ、あるスタッフが「あいつ酒でも飲んでるのか」と、やや悪意的な言葉を放ち、それがタメ口であったことにチン・グは腹が立ったという。

しかも、台本は投げて渡され「15分あげるから急いで覚えて。待ってられないから早く」と、やはりタメ口で指示され、礼儀のない態度に気分を害したそうだ。

当時まだ若く、血気盛んなチン・グは度重なる相手の失礼な言葉遣いに憤慨し「どいつもこいつもみんなタメ口だな」と独り言を口にする。目の前にあるマイクが、まさかその声を拾うとは思っていなかったのだ。

想像しただけでも背筋の凍る体験だが、この出来事が彼の運命を変えることに。

「絶対に落ちた」と、意気消沈して帰ろうとしたところ、監督に「80年代の高校生がしていた髪型にしてこい」と言われ、間接的に合格したことを告げられたという。

スタッフの対応に腹を立てたチン・グの気持ちは理解できるが、彼の発言は決して褒められたものではない。にもかかわらず、予想外の“合格”となったのはなぜだろうか。

どうやらその鍵は、彼が演じた役柄にあったようだ。

『オールイン』に登場するキム・インハは、すぐに興奮するタイプだが、後腐れのない義理堅い男だった。それは、オ-ディション時のチン・グの様子とリンクする部分がある。

おそらく監督は、彼のそんな姿に心を掴まれたのだろう。

チン・グは、キム・インハ役を演じた。

キム・インハ役を演じたチン・グ。(画像出典:KBS2『クイズバラエティー~屋根部屋の問題児たち』映像キャプチャー)

ちなみに『オールイン』以降、CMや作品への出演オファーがたくさん舞い込んできたのだとか。

人は、得てして体裁よく振る舞おうとしがちだが、時には正直に感情をストレートに表現することで、好転することがあるようだ。

まさに“瓢箪から駒”な出来事を体現した、チン・グなのであった。

(構成:西谷瀬里)






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