11月19日に公開された、Netflixオリジナルシリーズ『地獄が呼んでいる(邦題)』。公開とともに、世界のNetflixランキングを席巻しているなど、すさまじい勢いを見せてる中、いくつかの日本コンテンツを連想させるシーンが登場した。
『イカゲーム』に続き、もう1作の韓国ドラマ(Netflxオリジナルシリーズ)が世界中で話題だ。
去る9月に公開され、世界のNetflix(ネットフリックス)ランキングで1位にのし上がった『イカゲーム』から、見事にバトンを引き継いだ『地獄が呼んでいる(邦題)』がそれだ。
日本でも高い知名度を誇る韓国俳優、ユ・アインが主演を務め、『新感染 ファイナル・エクスプレス』『新感染半島 ファイナル・ステージ』などで、ゾンビ・アポカリプスを手掛けたヨン・サンホ監督が演出を担当する本作は、公開とともに世界のNetflixランキングを席巻した。
本作は、公開後すぐに1位となったが、一時2位に下落。しかし昨日(11月23日)再び1位を奪還しており、世界中のファンからはすでに続編へのリクエストが殺到しているという。
Netflix『地獄‥』日本でも話題!
日本でも、その勢いはすさまじい。ここ数日『地獄が呼んでいる』は、日本のランキングでも1位をしっかりキープ。
日本のネットユーザーからは「完成度が高い」「一気見した」「深く考えさせられる」「ストーリーの見せ方が上手!」など、好評が相次いでいる。中には『イカゲーム』と比較しながら、持論を語る視聴者も少なくない。
一昨年前、人気俳優の称賛一辺倒だった韓国ドラマへのレビューが、監督の世界観や作品性、社会問題まで踏み込んで考察するという流れに変わっている。
一方、本国の韓国視聴者の反応はどうだろうか。
世界で見せている、本作の快進撃に対しては内心喜んでいる様子だが、「世界1位にはふさわしくない」「ヨン・サンホ監督の世界観は難しい」と、決して好評一色ではない。中には「日本の映画や漫画の影響を多大に受けたのでは」という声も。
確かに『地獄が呼んでいる』には、”真似”や”参考”ではない、日本コンテンツの”影響”というものが感じられる。
前出の『イカゲーム』が、*日本の”デスゲームジャンル”との類似性を指摘されると、「こじ付けだ」「妬みだ」と、韓国メディアをはじめとする韓国ネットはヒステリックに反応した。現時点で『地獄が呼んでいる』に関しては、その類似性は言及されていないが、全体の”*ミジャンセン”からは、日本コンテンツの”微かな息”が吹き込まれているように感じる。
*実際『イカゲーム』のファン・ドンヒョク監督自身、日本の漫画からインスピレーションを受けたという点は否定していない。
*ミジャンセン(mise en scène):フランス語で、舞台上の俳優の役割や位置、舞台装置や照明に関する総合的プランという意。現代では、映画やドラマの視覚的な演出や意図、独自の美学を意味する言葉として使われている。
*この記事にはネタバレが含まれています、ご注意ください。
『地獄‥』で見られた馴染みのあるシーンの数々
劇中で、地獄の使者から”地獄行き”を告知されると、それを受けた者は予告日に無残な死を遂げる。
告知を受ける者が、”反社会的な人物”というストーリー(後にそうではないと覆されるが‥)は、日本の人気漫画『デスノート』を連想させる。
また、地獄行きの告知を受けた者が不安に怯えるシーンや、人間の様々な思惑により、告知が決行されるシーンを生放送で中継するという構図は、邦画『着信アリ(2004)』と類似している。
もちろん、ストーリー全体における”1パーツ”に過ぎないかもしれない。しかし「どこかで見た覚えがあるんだけど‥」という問いの答えを出すのは、さほど難しくない。『デスノート』も、『着信アリ』も世界中で有名な日本コンテンツであるからだ。
『20世紀少年』を連想させる”新真理会”
そしてもう1つ。
反社会的な人物が、”地獄行き”のターゲットになるという教えを説破し、巨大な宗教団体となる”新真理会”の描写が、人気漫画『20世紀少年』に登場するカルト宗教団体と非常に似ている。
アポカリプスが蔓延した人類の”救世主”を買って出る設定や、たかが宗教団体が、国家権力に匹敵する莫大な影響力を持つというストーリーは、『20世紀少年』で既に目にしたシーンだ。
また、宗教団体の人々が作業着のような服装だったり、教理に反する者を追跡し始末するというディテールまで似ている。
偶然の一致かもしれないが、新真理会の首長(2代目議長)のルックスは、『20世紀少年』に登場する万丈目 胤舟(まんじょうめ いんしゅん)に驚くほど激似だ。
『20世紀少年』に登場のカルト宗教と激似?(画像出典:韓国Netflix)
***
再三にわたり言うが、上で紹介したシーンはドラマのごく一部に過ぎず、本作が日本コンテンツを”真似”もしくは”参考”にしたと、主張したいわけではない。
K-POPも然り、世界の人々を魅力している韓国コンテンツに「独自性はあるか」という問い自体が”愚問”なのかもしれない。
しかし、その土台には、少なからず日本コンテンツの”影響”は存在したはずだ。『デスノート』は韓国で大ヒットを記録、ミュージカルも制作されるほどの人気ぶりを見せている。『着信アリ』は、2004年に韓国で上映され、全国で23万人の観客を動員し、後に作られる韓国ホラーにも大きな影響を与えたと評されている。
『20世紀少年』に至っては、作者の浦沢直樹(うらさわ なおき)が”漫画界の巨匠”と仰がれているほどだ。
『地獄が呼んでいる』を演出したヨン・サンホ監督は、かつて日本のアニメーション監督、今敏(こん さとし)を尊敬しており、彼から大きな影響を受けたと告白している。彼の優れたクリエイティブ能力と、世界観の片隅に、日本コンテンツの”息吹”が根付いていることは、想像に難くない。
『地獄が呼んでいる』予告ティザー(動画出典:Youtube Netflic Korea)
ユ・アイン
韓国の人気俳優ユ・アイン。本名はオム・ホンシク。1986年10月6日生まれ。
2003年、ドラマ『四捨五入』でAra(コ・アラ)の恋人アインを演じ一躍注目を浴びる。
2006年『俺たちに明日はない』でスクリーンデビュー。
映画『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』(2008)では、チュ・ジフンやキム・ジェウクとともに主役に抜擢され、元ボクシング選手でパティシエ見習いという役柄を演じた。
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