5月の金曜夜、お茶の間に一波乱起きそうだ。現在だけでもバラエティーやドラマまで話題作が目白押しであるのに加えて、強敵’三食ごはん’新シリーズが表れたのだ。
“最強体”と言われていたドラマ”ザ・キング 永遠の君主”(以下、ザ・キング)の視聴率が奮わぬ中、ナ・ヨンソクプロデューサーの大ヒットシリーズ”三食ごはん”新シリーズが、本日1日よりスタートする。果たして週末の視聴率帝王は、誰になるだろうか。
4月17日、上半期最高の期待作と言われた”ザ・キング”がベールを脱いだ。本作は次元の門を閉めようとする理系型の大韓帝国の皇帝イ・ゴン(イ・ミンホ)と、誰かの命、人、愛を守ろうとする文系型の刑事チョン・テウル(キム・ゴウン)が、両世界を行き来しながら描く異次元ファンタジーロマンスだ。
作品的ラインアップだけを見ると、心配など無用のように感じる。まず、”紳士の品格””シークレットガーデン””相続者たち””太陽の末裔””トッケビ””ミスター・サンシャイン”など、高い評価を受けている作家のキム・ウンスク作品である上に、俳優のイ・ミンホが除隊後の復帰作として話題を振りまいた。そして、”チーズ・イン・ザ・トラップ””トッケビ”などで好感度の高い俳優となったキム・ゴウンが女性主人公を引き受け、大衆への期待も十分。この要素に万波息笛(マンパシクジョク)説話、並行世界など、よく知られながらも不慣れな素材がどのように調和されるのか、より一層の注目を集めた。
しかし‥これらの期待が大き過ぎた。”怖いものなし”と思われた組み合わせで発進したはずの”ザ・キング”の視聴率は、期待以下だった。第1話の視聴率が11.4%(以下、ニールセンコリア全国基準)という数字で始まり、翌日放送された第2話が11.6%、翌週の第3話が9.0%、第4話は9.7%という、作家のキム・ウンスクのドラマというには、少々情けない成績である。散漫な展開、型にはまったキャラクター、時代遅れなセリフ、一部の俳優たちの演技力不足などが、主な敗因と思われる。もちろん、Netflix同時放映版権、PPL(間接広告)など収益面での打撃はないが、スター作家とトップ俳優のプライドには深刻な傷がついたのではないだろうか。
期待の壁を超えるのは容易ではない。ましてや連続ヒットを打ち続ける4番バッターなら、なおさらだ。打席に立てばきっと何とかしてくれる、裏切るはずがないというプラス要素ありきでファンは応援する。だからこそ空振り三振をすれば怒る。見逃し三振などもってのほか。でもそう声をあげて叱咤激励してくれるのは、まだ応援してくれている証拠でもある。期待も怒りも感じなくなったファンは、何も言わずに居なくなるものだ。
(関連記事)‘ザ・キング 永遠の君主’を観てキム・ウンスク時代の終焉が囁かれる理由
作家のキム・ウンスクがファンタジーを題材にするには、まだ少し時期が早かったのでは、と”ザ・キング”を観て思う。なぜなら、”トッケビ”の余韻が、あまりにも大衆に残りすぎている。時空が止まる、カエデが映る、ヒロインが同じキャスティング、チキン屋さんが同じ店(これは大人の事情もあるだろうが)‥となれば、好むと好まないとにかかわらず”トッケビ”を思い出すのは自然なことのように感じる。
そうこうしているうちに、金曜日のお茶の間には、再び地殻変動が訪れることになる。tvN最高のヒット作”三食ごはん”がスタートを切るからだ。しかも2015年”三食ごはん 漁村編”シーズン1、2、2016年”三食ごはん コチャン編”に出演したチャ・スンウォン、ユ・ヘジン、ソン・ホジュンが再集結しての放送だ。
“三食ごはん”は2014年に農村編から始まり、シーズン8まで続けてきたナ・ヨンソクPDの代表作の1つだ。フォーマット自体に新しさはないし、特段エピソードや事件もない。しかし、”三食ごはん”は、性別や世代関係なく虜にさせる力がある。出演陣は自然の中でゆっくりとした時間を送り、田舎料理の材料を活用して食卓をドレスアップする。その過程を見せる”三食ご飯”特有のリラックスした気さくな魅力は、毎回伝わってくる。
三食ごはん 漁村編5(動画出典:YouTube tvN)
さらに、今回のメンバーはこれまで最も愛された”チャジュンマ(チャ・スウォン+アジュンマ(おばちゃん)=チャおばちゃん)”のチャ・スウォン、”チャムバダ(ユ・ヘジンの名前の漢字[海真]の別読み)”のユ・ヘジン、そしてソン・ホジュンの別名”ソニチャユ”の3人。きっとまた最高の姿を見せてくれることは間違いないだけに、”ザ・キング”の致命傷となる可能性は高い。もちろん、ジャンルも時間帯も違うのだが、”三食ごはん”が金曜夜9時10分、”ザ・キング”が夜10時に放送が開始されるので、事実上の対決となることは否めない。
しかも同日の夜10時50分には、今や独走状態となっている人気ドラマ”夫婦の世界”がクライマックスに向けて加速し始めており、視聴率・話題共にうなぎのぼり状態となっている。先日放送された第10話は全国基準22.9%、首都圏基準25.9%を記録、”SKYキャッスル(首都圏24.6%)”を抜いて歴代JTBCドラマ視聴率1位に躍り出た。非地上波ドラマの中でも、歴代最高視聴率で、テレビの話題性分析機関であるグッドデータコーポレーションが発表した話題性指数(20~26日)では地上波、総合編成、ケーブルを合計したドラマ部門で5週連続1位を維持している。”ザ・キング”と時間帯が違うため、直接対決は免れたが、話題性ではすでに押されてしまっている。
“ザ・キング”にとっては、厳しい道のりが続くことになってしまった。早くも「”三食ごはん”を観た後は”夫婦の世界”に進みたい」という声がちらほら聞こえてきている。それだけに、視聴者を逃さずにいるのは容易ではなさそうだ。しかし、キム・ウンスクは決して時代の読めない作家ではないはず。5話以降のストーリー次第では、まだまだ巻き返しは可能だろう。大幅な進路変更をして迷走するくらいなら、信じた道を貫いてほしいところではあるが、視聴者の思う、作家に期待する声も決して無視してはならない。
5月からの激しい週末テレビ劇場の勝者はどの番組になるのか、しばし注目したい。
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