今や世界的な女優に成長したソン・イェジン。彼女が持つ多彩な演技力はどこで培われたのだろうか。過去に自身が語っていたターニングポイントとなった作品を探ってみよう。
去る15日、韓国MBCで放送された”ソウル・ドラマ・アワーズ 2020″にて、韓流ドラマ女子演技者賞に輝いた女優のソン・イェジン。
いつまでも冷めぬ熱気に包まれたtvNドラマ『愛の不時着』で北朝鮮に不時着した韓国の財閥女性役を熱演し、豊かな演技力が高く評価され、国内外で多くの人気を得ている。
それに加え、ハリウッド映画に出演するとの報道もあった。映画関係者によると、出演する作品名は『クロス』で、メガホンを取るのは『トゥルーマン・ショー』(1998)でアカデミー賞脚本賞ノミネート、『ターミナル』(2004)、『ドローン・オブ・ウォー』(2014)などを手掛けたアンドリュー・ニコル監督だ。
(関連記事)「愛の不時着」効果!? ソン・イェジン、ハリウッド進出なるか
世界的な女優として歩み始めたソン・イェジンであるが、過去にインタビューを通じて自身のターニングポイントとなった3作品について語ったことがある。彼女の女優人生を彩った作品を紹介しよう。
『私の頭の中の消しゴム』(2004)
最初のターニングポイントとなった作品として挙げたのは、チョン・ウソンとともに主演を務めた『私の頭の中の消しゴム』。
日本のドラマ『Pure Soul~君が僕を忘れても~』(2001)を原作に、若くしてアルツハイマー病になった女性スジンと建築家チョルスの純愛を描いた作品だ。
建設現場で現場監督として働くチョルス(チョン・ウソン)と社長令嬢であるスジン(ソン・イェジン)は、ひょんなことから知り合い、互いに惹かれ合っていく。現場監督から建築家へと転身したチョルスは、晴れてスジンと夫婦となり、公私ともに幸せな日々を送っていた。
だが、スジンは若年性アルツハイマー病に侵されしまう。徐々に記憶障害が進行し、日々失われていくスジンの記憶。遂には夫であるチョルスのことも彼女の記憶から消されてしまう。悲しみと葛藤に暮れるチョルスであったが、チョルスは再びスジンと生きていこうと決意する。
若い女優として消化しにくい演技を完璧なまでに演じたソン・イェジンは、本作の演技が高い評価を得て”実力派の清純女優”、”メロクイーン”という呼び名を名を欲しいままにした。
『ナンパの定石』(2005)
ソン・イェジン曰く「反転の快感を感じさせてくれた作品」として、ターニングポイントを迎える一役を担った映画『ナンパの定石』。
ナンパの腕に並々ならぬ自信を持つ、投資マネージャーのジウォン(ソン・イェジン)とフリーの建築家ミンジュン(ソン・イルグク)。ある日、2人は運命的な出会いを果たすのだが、お互いに惹かれ合いながらも自分から想いを伝えることはプライドが許さない。そんな2人が自身のプライドを賭け、恋愛的ニックを競い合う。果たして恋愛バトルの結末はいかに?
ソン・イェジンは本作の成功を受け「これまで築いてきた清純なイメージから脱し、演技の幅を広げることが出来た」とし「(本作のおかげで)ひとつずつ方向が開き、現在まで演じて来れたような気がします」と語っている。これまでのイメージを覆すコミカルな演技で新境地を開拓し、多くの好評を得た。
『荊棘の秘密』(2016)
『ナンパの定石』後に迎えたターニング・ポイントは、国会入りを控えた政治家夫婦が選挙期間中、無惨な事件に巻き込まれる話を描いたスリラー劇である『荊棘の秘密』。
国会入りを狙う新鋭政治家ジョンチャン(キム・ジュヒョク)を献身的に支える妻のヨノン(ソン・イェジン)。
選挙を半月後に控えたある日、娘のミンジンが突然姿をくらましてしまう。
娘が行方不明になったにもかかわらず選挙のことしか頭にないジョンチャンと、事件をきちんと調査しない人々に憤りを感じたヨノンは、誰も信じられない状況の中、一人で娘の行方を追いかけ始める。だが、娘が残した手がかりを追ううちに衝撃的な事実が明らかになる。
これまでのソン・イェジンからは想像もできなかった新しい顔を見せたのと同時に、自分の限界を越え、勢いに乗った完璧な演技を披露している。その結果、釜山映画評論家協会賞主演女優賞、釜日映画賞主演女優賞、今年の女性映画人賞演技賞、韓国映画評論家協会賞主演女優賞、春史映画賞主演女優賞など数々の輝かしい賞を受賞した。
*****
重ねられたフィルモグラフィーと比例して多様なキャラクターに扮してきたソン・イェジンは、作品に出会う度に自身の演技力に磨きをかけ、大衆に演技変身を見せてきた。彼女の持つ驚くほど卓越した演技力はこれまでの努力の賜物と言えるだろう。
ソン・イェジンが世界で愛されている理由はここにあるのだと確信させてくれる作品ばかりだ。
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