新型コロナウイルスの影響で劇場での公開を断念したソン・ジュンギ主演の映画『スペース・スウィーパーズ』が、2月5日Netflixを通じてついに公開された。莫大な制作費をかけ、”韓国映画初の宇宙SF超大作”と公開前から注目を集めていた本作は、期待を越えることができたのだろうか‥。

2月5日、Netflix(ネットフリックス)にて世界同時公開された映画『スペース・スウィーパーズ(原題:勝利号)』。

ソン・ジュンギ主演の映画『スペース・スウィーパーズ』が2月5日に公開された

2月5日、Netflixを通じて公開されたソン・ジュンギ主演の映画『スペース・スウィーパーズ』(写真提供:©スポーツ韓国、画像出典:Netflix)

アジアで高い人気を誇る韓流スター、ソン・ジュンギが主演を務めている同作品には、彼のネームバリュー以上に強調されたワードがある。

そのワードとは、”韓国映画初の宇宙SF超大作”だ。

もちろん、宇宙を描いた韓国映画は存在するため、”初”ではないのだが、”超大作”が付けられるほどの製作費(200憶ウォン)が投下され、ある程度のクオリティーが保証された韓国映画としては、確かに”初”である。

この、”韓国映画初の宇宙SF超大作”に対する世界的な関心は、数字として表れている。

5日、『スペース・スウィーパーズ』は、Netflixのワールドワイドランキングで公開と同時に1位となった。公開初日に韓国作品が1位を記録したのは初めての事だという。

韓国SF映画の跳躍

『スペース・スウィーパーズ』への反応

“超大作”が付けられるほどの製作費が投下された本作への反応は‥?(画像出典:movie.naver)

上述の通り、”莫大な製作費=高いクオリティー”という公式は、『スペース・スウィーパーズ』でも証明された。

韓国ポータルサイト『Daum』の映画セクションで付けられた評点は、10点満点中8.3点。

レビューを見ると「韓国でこんな映画が作られるなんて、驚いた!」「映画館で観られないのが残念」というコメントが後を絶たない。

辛口で有名な映画専門メディア『シネ21』を見ても、一部の評論家を除けば、「Netflixでは、この映画のヒューマニズムとスケールがもったいないほど」「これは本当に映画館で観るべき」「韓国映画の成功的な宇宙開拓」「勝利号に乗船して彼らと一緒にいたようだ」「韓国映画の偉大なる一歩」と、概ね好評だ。

観客のレビューと評論家たちの感想には、大きな1つの共通分母がある。「韓国映画の発展への賛辞」がそれだ。

確かに、映画のビジュアルだけを評価すると、韓国映画では類を見ないスケールの宇宙アクション映画である。

しかし、低評価にした観客と評論家たちは、どうやら見た目の”ビジュアル”ではなく、中身の構成やストーリーに不満があるようだ。

スターウォーズで見た! 60年代の感性を踏襲?

ストーリーや中身の構成に不満の声が上がっているが俳優陣の演技は高得点を得ている

俳優陣の演技は高得点を得ているが、ストーリーや中身の構成に不満の声が上がっている(画像出典:movie.naver)

不満のトリガーとなったのは、個性のないストーリーとありふれたコンセプト。

1960年~70年代、映画『スターウォーズ』を筆頭に巻き起こった、世界的な宇宙SF映画の表現を踏襲しているとの評価だ。

近年『ゼロ・グラビティ(2013)』や『インターステラー(2014)』、『オデッセイ(2015)』のように、科学的なセオリーとリアリズムに基づき、観客の知的好奇心を刺激する映画が世界的にヒットしている。

それらの映画に比べると、『スペース・スウィーパーズ』には、知性より子供の感性に訴求する”幼稚な映画”だと、評する声も。

しかし、そのような評価に対し「観客に馴染みのあるコンセプトや展開を踏襲し、その上で韓国的なコードを加える戦略が一番無難」という反論もある。

宇宙というジャンルに初挑戦する韓国映画人にとって、『ゼロ・グラビティ』や『インターステラー』はハードルが高すぎるのも事実だ。

出演した俳優陣の演技は高得点を得ている。

『スペース・スウィーパーズ』のような映画--CGやアクションなど、見どころ満載な映画がしばしば直面する批判がまさに”演技力”である。が、同作品に出演している4人の演技には無駄がない。

***

数回に渡り、さらには年をまたいでの公開延期となり、辛うじてNetflixが差し伸べた救いの手によりお披露目の日を迎えた『スペース・スウィーパーズ』。

賛辞とともに悪評が続く原因の一つは、韓国映画に対する高くなった期待値もあるだろう。

そしてもう1つ、映画館で公開されていたら、作品への評価はどう変わっていたのだろうか‥色々な意味で『スペース・スウィーパーズ』は名残惜しい映画である。



ソン・ジュンギ

HISTORY D&C所属の俳優ソン・ジュンギ(ハングル 송중기)。1985年9月19日生まれ。

2008年ドラマ『霜花店 運命、その愛』でデビュー。

2010年に出演したドラマ『トキメキ 成均館スキャンダル』で一躍名を広め大ブレイクしたソン・ジュンギは以降、映画『私のオオカミ少年』、ドラマ『太陽の末裔』などに出演し人気を博した。

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