• 世界を震撼させた映画『オールド・ボーイ』(2003)が公開されて今年で20年になる。
  • まだ韓国映画が海外で注目されていなかった時代、爆発的な支持を得た本作は、現在の世界的な韓流人気の起点となった作品。
  • 当時を振り返り『オールド・ボーイ』がもたらした影響と、多くの人を夢中にさせたストーリーをご紹介。
『オールド・ボーイ』は韓国の映画史に残る衝撃作

韓国の映画史に残る衝撃作『オールド・ボーイ』(画像出典:naver movie)

K-POP、韓国ドラマ、韓国映画と、世界を席巻している“韓流”。

一体その起源はいつ、どこだったのだろうか。

異見を恐れずに言わせていただくと、それは1996年の台湾と、2003年の日本だろう。

前者は、韓国のダンスミュージックデュオCLON(クローン)の活躍によるもの。本国での人気が台湾に伝わり、その後中華圏全体を巻き込んでいった。

後者は、『冬のソナタ』の爆発的大ヒットがきかっけ。開発途上国であった隣の国に無関心だったそれまでの態度とは一変、前のめりでドラマや音楽などを楽しむように。

しかし、両者ともに、“アジア”という、地域的な限界は超えられなかった。

今で言う、“グローバル韓流”の起源は、2003年に公開された映画『オールド・ボーイ』に違いない。

グローバル韓流の起点となった映画

1作の映画が、世界の人々の意識を変えた。

韓国の映画史に残る衝撃作『オールド・ボーイ』が公開されて、今年で20年。

その間、アジアで巻き起こった“韓流”は範囲を拡大し“グローバル韓流”へと成長を遂げた。映画やドラマ、音楽など、いまや韓国の大衆文化は世界中で愛される存在に。

しかし元々は、海外の人々の関心の対象ではなかった。それどころか、やや軽視されていた風潮も。

それを覆したのが『オールド・ボーイ』(2003)、“グローバル韓流”の起点となった作品だ。

当時を知る人は、本作がいかに凄まじい人気を誇ったか覚えているだろう。

映画界の鬼才パク・チャヌク監督の手掛けた驚愕の復讐サスペンスは、大きな反響を呼び国境を越えて愛された。

象徴するワンシーンのある『オールド・ボーイ』

『オールド・ボーイ』を象徴するワンシーン(© 2003 EGG FILMS Co., Ltd. all rights reserved.)

また、『第57回 カンヌ国際映画祭』で審査員特別賞に輝いたことも手伝いさらに熱い視線を浴びることに。フランスを中心に欧米で脚光を浴びたという。

同映画祭にマニアックな作品が多いことから、マニア層を生んだだけではないかとの見方もあるが、本作の世界的ヒットにより、韓国の手掛けた作品が一目置かれるようになった点から考えると、『オールド・ボーイ』は今の韓流の礎を築いたと言わざるを得ない。

しかも受賞は追い風となり、映画製作の現場はその勢いに乗ることに。物語のスケールが拡大するなど、より良質な作品を輩出したことでますます他国から注目を浴びるようになっていく。

原作は日本の漫画

そんな本作は、ある日突然何者かに拉致監禁され、理由が明かされないまま15年後に突如解放された主人公オ・デスの壮絶な復讐劇を描いた物語。

『復讐者に憐れみを』(2002)と『親切なクムじゃさん』(2005)を含む、パク・チャヌク監督の復讐3部作の1つだ。

予想を上回る衝撃のストーリー展開と、スタイリッシュで容赦ないバイオレンス描写が特徴で「一体誰が、なんのために・・」という疑問が見る者を作品へと没入させる。

監禁生活を経て復讐の怪物へと化すオ・デス役を、韓国が誇る名優チェ・ミンシクが、彼の前に現れる無表情な謎の男ウジン役を、演技力に定評のあるユ・ジテが。

ユ・ジテはウジン役

ウジン役のユ・ジテ(© 2003 EGG FILMS Co., Ltd. all rights reserved.)

そしてオ・デスと偶然知り合う女性ミド役を映画『トンマッコルへようこそ』(2005)などで活躍したカン・へジョンが演じ、以上の3名を中心に物語が展開される。

その他、チ・デハンやキム・ビョンオク、オ・ダルスなど、クセの強い役で毎作品強烈な印象を残す名脇役たちの姿も。

原作は、作:土屋ガロン(狩撫麻礼)、画:嶺岸信明による日本の漫画『ルーズ戦記 オールドボーイ』。

現在韓国では、日本の漫画を彷彿とさせる作品が多く、『イカゲーム』(Netflix/2021)が『賭博黙示禄カイジ』から、『地獄が呼んでいる』(Netflix/2021)が『20世紀少年』からインスピレーションを受けたのではないかと言われている。その元祖が『オールド・ボーイ』だった。

オ・デスの監禁されていた期間が原作では10年など、細かな設定は異なるが大筋はほぼ同じ。

大きく変更されたのは、“どうして監禁したのか”、“監禁されていた理由をどのようにして知ったのか”という点のみ。

これは、原作で描かれていた監禁の動機が一般的な感覚で理解することが難しく、2時間という短い上映時間の中で観客に納得させるのは困難だと、パク・チャヌク監督が判断したという。

それが功を奏したのか本作は大ヒット、その影響で『ルーズ戦記 オールドボーイ』まで注目されたと言われている。

『オールド・ボーイ』は現在、U-NEXTやRakuten TV、Huluなどの動画配信サービスから視聴可能だ。

韓国映画の底力を遺憾なく発揮した本作を、久しぶりに見返してみてはいかがだろうか。

西谷瀬里

韓国ドラマが大好きな西谷です。現在はK-POP関連の記事を主に投稿しておりますが、韓ドラの魅力や、俳優&女優さんの活躍も随時紹介していきたいと思います。あらゆる年代の読者の方に、楽しんでいただける記事が届けられたらなという思いです。

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