ナム・ジュヒョクとキム・テリという、フレッシュなコンビのダブル主演作、tvNドラマ『25歳、21歳』が2月12日より日本を含むNetflixで配信開始となる。本作は、1997年に韓国を襲ったアジア通貨危機に翻弄された男女2人の青春物語で、こうした作品の厳しい状況に立ち向かう若者たちの描写は多くの共感を呼んでいる。そこで今回は、現在の韓国社会をより理解するために、90年代が舞台の映画作品おススメ3作を紹介しよう。

ナム・ジュヒョクとキム・テリという、フレッシュなコンビのダブル主演作、tvNドラマ『25歳、21歳』が2月12日より日本を含むNetflix(ネットフリックス)で配信開始となる。

ナム・ジュヒョクとキム・テリ新ドラマ『25歳、21歳』

ナム・ジュヒョクとキム・テリという、フレッシュなコンビで90年代を描く新ドラマ『25歳、21歳』。(画像出典:tvN)

本作は、アジア通貨危機によって将来の希望を奪われてしまった若者が、もがきながらも恋をして成長していく姿を描いた青春ドラマだ。1997年に韓国を襲ったアジア通貨危機(*IMF)は、多くの失業者を生み、国民の価値観を揺るがす大きな出来事となった。

*IMF:International Monetary Fund/国際通貨基金。1997年、外貨の急速な流出に直面した韓国政府は、IMFに緊急融資を申請。これを機に企業の倒産が相次ぎ、多くの人々が路頭に迷うこととなった。”IMF危機”と言われることが多い。

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韓国映像作品には、苦境にさらされながらも、成功を夢見る者の奮闘を描いた作品が多く、さらに近年では女性の生きづらさをテーマにした、フェミニズム作品なども登場し始めている。

厳しい状況に立ち向かう若者たちの描写は、多くの共感を呼んでいる。そこで今回は、現在の韓国社会をより理解するために、おすすめしたい90年代が舞台の映画作品3作を紹介しよう。

『国家が破産する日(2018)』

1作目は韓国の厳しい競争社会のきっかけと言われるアジア通貨危機を描いた『国家が破産する日(原題:国家不渡りの日)』を紹介しよう。

『国家が破産する日』

キム・ヘス、ユ・アインらが出演、映画『国家が破産する日』。(画像出典:movie.naver)

1997年12月、韓国が国家破綻の危機に直面し、国際通貨基金(IMF)からの救済を受け入れるまでを描いた社会派作品。2001年、IMFの支援体制が終了し、韓国は初めて世界の先進国の仲間入りを果たす。しかし多くの失業者を生み、不況を味わったこの出来事は、国民にとって苦い出来事となった。

本作は、誰もが経済の好況を疑わなかった時流に、経済破綻をいち早く予想した韓国銀行のチーム長と個人投資家、小さな町工場の社長という、3者の目線で描かれた群像劇となっている。

Netflixでヒット中のドラマ『地獄が呼んでいる』で、ミステリアスな教祖を演じたユ・アインは、国家破産で一儲けを目論む投資家を熱演。社会派俳優としてのポジションをより高めている。数少ないアジア通貨危機と、IMFの韓国救済についてを描いた作品は一見の価値あり。

『国家が破産する日』予告編(動画出典:YouTube シネマトゥデイ)

『ザ・キング(2017)』

2作目は、韓国映画の定番ネタである”権力者の悪事”を痛快に描いた『ザ・キング』を紹介。

一人の男の人生をエネルギッシュに描いた『ザ・キング』

チョ・インソンが一人の男の人生をエネルギッシュに演じた映画『ザ・キング』。(画像出典:movie.naver)

観客動員数530万人以上の大ヒットとなった本作は、田舎町出身の青年が検事となり、やがて権力の波に溺れていく様子を描いたコミカルかつ重厚な内容だ。

物語の特徴は、単なる定番の成り上がりムービーではなく、1980年代~2010年代といった激動の韓国現代史を全面に打ち出しながら展開するストーリーにある。弁護士出身で、第16代大統領となった廬武鉉(ノ・ムヒョン/2003~2008)就任時の検察の舞台裏を描くなど、当時の政治的局面を反映したエピソードが、存分に盛り込まれている。

主演は、韓国を代表する俳優の一人、チョ・インソンが務めた。田舎の不良少年から検察社会へと駆け上がるエリート、さらには権力に立ち向かう政治家時代まで、一人の男の人生をエネルギッシュに熱演。クライムムービーでは終わらない、激動の韓国現代史に触れることのできる痛快な仕上がりとなっている。

『ザ・キング』予告編(動画出典:YouTube シネマトゥデイ)

『サムジンカンパニー1995(2020)』

3作目は2020年、韓国でスマッシュヒットを記録した、女性たちの活躍をコミカルに描いた新感覚社会派エンターテインメント『サムジンカンパニー1995(原題:サムジングループ英語TOEIC班)』を紹介したい。

3人の高卒女性社員たちが、会社の不正に立ち向かっていく姿を描いた『サムジンカンパニー1995』

大企業に勤める3人の高卒女性社員たちが、会社の不正に立ち向かっていく姿を痛快に描いた『サムジンカンパニー1995』(画像出典:movie.naver)

経済成長期にあった90年代、実際に起きたという大企業の環境汚染問題を題材にしている本作は、国際化の波に乗り始めたと同時に、女性の社会新進出が進み始めた1995年が舞台。日頃から雑用ばかりを担わされている同期の女性社員3人組は、ひょんなことから会社の不正に気付き、真相を追いかけて奮闘する。

作品に登場する女性たちは「ちっぽけな自分たちにも、会社を変える力があるはず」と信じ、苦境に立ち向かう姿が生き生きと描かれている。コ・アソン、イ・ソム、パク・へスといった若手実力派女優3人の演技と、見る者に勇気を与えるストーリーも観劇ポイントだ。

『サムジンカンパニー1995』予告編(動画出典:YouTube シネマトゥデイ)

***

以上3作品は、政治経済、会社経営の話は難しくて苦手という人にも楽しめるはず。

これを機会に、現在の韓国社会の厳しい背景と、苦境にめげずに立ち向かう人々の奮闘に触れてみてはいかがだろうか。きっと熱い何かが感じられるはずだ。

ナム・ジュヒョク

モデルとして活動後、2014年ドラマ『インヨ姫』で俳優デビュー。

以降、ドラマ『恋はチーズ・イン・ザ・トラップ』(2016)『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』(2016)でバイプレーヤーとして活躍して頭角を現し、同年『恋のゴールドメダル〜僕が恋したキム・ボクジュ』では女優のイ・ソンギョンとダブル主演を務め、人気を博す。

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