ハン・ヒョジュ、Wonder Girls出身ソヒ、チョン・リョウォン、ムン・チェウォン、シン・ミナ‥そうそうたる韓国女優陣が、かつて”理想の男性”として名を挙げた人物をご存じだろうか。彼の名は、パク・ヘイル。最近、パク・チャヌク監督作『別れる決心』に出演し、話題を集めている彼のハートを射止めたのは一体誰だったのか。
“復讐三部作”や『お嬢さん』を手掛けたことで知られる、パク・チャヌク監督の最新映画『別れる決心』が、第75回『カンヌ国際映画祭』コンペティション部門で、監督賞を受賞した。

“善と悪が共存する男”と称される俳優のパク・ヘイル。(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)
ある山で起きた、変死事件を捜査することになった刑事が、死者の妻に会った後、疑いと関心を抱きながら始まる物語だ。
死亡した夫の妻ソレに、中韓合作映画『レイト・オータム(2010/原題:晩秋)』で、ヒョンビンとの“ロングキス”が話題となったタン・ウェイ。そんなソレを、容疑者として疑いながらも、彼女自身に関心を持ってしまう刑事ヘジュンをパク・ヘイルが演じる。
舞台から俳優人生を開始したパク・ヘイルだったが、現在はフィールドのほとんどをスクリーンに移し、活躍中だ。

韓国で6月29日より公開となる映画『別れる決心』。(画像出典:movie.naver)
ここでは、45歳(日本年齢)となったパク・ヘイルのフィルモグラフィーを、少しだけ覗いてみたい。
大学中退後、アルバイト生活で出会った俳優の道
パク・ヘイルは、特に俳優を目指してたわけではなかったという。
友達と遊ぶことが好きで、将来のことなど考えることのなかった彼は、*スヌン受験前にバイク事故を起こし、“異色の受験生”として新聞に載ったそうだ。
*スヌン:대학수학능력시험(テハクスハクヌンリョクシホム) / 大学修学能力試験 の略。
大学へは進学したものの、父親が事業に失敗。そのため、幾度かの休学を経た末に退学する。そしてアルバイト生活をする中で、児童劇団のミュージカルに出合い、俳優を志すように。

映画俳優に進むきっかけとなった『ワイキキ・ブラザーズ』ポスターとスチールカット(右端)。(画像出典:movie.naver)
この時期、貧乏生活を共に過ごしていたのが、チョ・スンウとリュ・スンボムだった。交通費がなく、3人で家までの長距離を延々と歩いたり、なけなしのお金で買ったパンと牛乳を、分け合っていたんだとか。
そんな彼が、俳優として浮上するきっかけとなったのが、主演を務めた舞台『青春礼賛(2000)』だった。
本作を観劇した業界スタッフが、パク・ヘイルの演技力と外貌に魅力を感じ、映画『ワイキキ・ブラザーズ(2001)』の出演オファーを受け、そこからするするとオファーが舞い込むように。
2003年に出演した映画『菊花の香り ~世界でいちばん愛されたひと~』では、一人の女性だけを愛し続けるという純情な青年を演じ、女性ファンの心を掴むことに成功。
そして同年、ポン・ジュノ監督がメガホンを取った『殺人の追憶』(韓国で累積526万人を動員)で、3番目の容疑者パク・ヒョンギュを演じ、その名が大衆に知られることとなった。

『菊花の香り』(上)から『殺人の追憶』まで、顔つきがまるで別人だ。(画像出典:movie.naver)
清涼感溢れる役から、猟奇的な役柄まで違和感なく演じる彼は、シン・ハギュンと共に“善と悪の共存する俳優”と呼ばれ、ある映画評論家に「パク・ヘイルは、俳優として神が下した顔をしている」とまで言わしめた。
その甘い風貌と柔らかい雰囲気を持つことから、大衆はもとより、韓国芸能界にいる女性からも“理想の男性”として非常によく名を上げられた。
女優のハン・ヒョジュをはじめ、Wonder Girls出身のソヒ、パク・ハソン、チョン・リョウォン、ムン・チェウォン、ユ・ダイン、ユ・ソヨン、シン・ミナ、チャン・ユンジュなど、トップ俳優がメディアで彼の名を口にしており、“韓国芸能界一のモテ男”という称号(?)を、手にすることとなる。
番外編となるが、ポン·ジュノ監督までもが「もし自分が女性だったら、パク・ヘイルをちょろちょろと追っかけていただろう」と話していたそうだ。
結婚相手は支え続けてくれた一般女性
そんな彼が、生涯の伴侶として選んだのは、無名時代から支え続けてくれた、3歳年下の放送作家として働く女性だった。

パク・ヘイルは『別れる決心』でパク・チャヌク監督とタン・ウェイとともにカンヌへ。(画像出典:SWマネジメント)
俳優としての稼ぎが、ひと月たったの5万ウォン(約5000円)だった時も、ずっとそばで見守り、支えてくれていたという。
パク・ヘイルという俳優は、実生活では『菊花の香り』のように、一途に一人の女性との愛を貫き、有名になっても、町の飲み屋でお酒を飲むなど、普通の感覚を失わない、稀有な存在であるようだ。
彼自身に“業界人”らしさはないかもしれない。しかしそこが、“カメレオン俳優”ゆえの、どんな顔や姿にもなれる武器であり、特徴なんだと納得。
何はともあれ、韓国映画界にはなくてはならない存在であることは、確かである。
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