Netflix(ネットフリックス)のオリジナルシリーズ『D.P. -脱走兵追跡官-』を披露し、話題の中心に立った俳優のチョン・ヘイン。アン・ジュノ二等兵を引き受け、これまでの”国民の年下男”というニックネームは過去に置き、強烈な変身を見せた。どんな思いで『D.P. -脱走兵追跡官-』に挑んだのか――ロングインタビューでお届けする。
俳優として、今まさにノリに乗っている1人が、チョン・ヘインではないだろうか。
着実にスター俳優へと上り始めたチョン・ヘインだが、チョン・ヘインといえばJTBC『よくおごってくれる綺麗なお姉さん(2018)』で、ユン・ジナ(ソン・イェジン扮)に明るくて爽やかな笑顔を向けるソ・ジュニ役のイメージが付きまとっていたのは事実である。
TV朝鮮のドラマ『百年の花嫁(2014)』でデビュー。tvNの人気ドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~(2016)』で、チ・ウンタク(キム・ゴウン扮)の初恋相手である野球部の先輩テヒオッパ(お兄さん)として登場し、大衆に知られるように。
そしてSBS『あなたが眠っている間に(2017)』、tvN(Netflix)『刑務所のルールブック(2017)』を経て、注目すべき新人俳優として浮かび上がり、『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』で一気に名実ともにメロドラマのヒット打者となった。その後、アン・パンソク監督とMBCドラマ『ある春の夜に(2019)』でタッグを組み、”メロ職人”というニックネームも得た。
映画『ユ・ヨルの音楽アルバム(2019)』と『スタートアップ!(2019)』から、自身の演技的な長所であった”明るい笑顔”や”穏やかな優しさ”とは対照的な、20代青春の底無しの不安感と胸の底から湧いてくる熱いエネルギーが混在する、反抗期に満ちたキャラクターを披露し、多彩な役柄に向けた欲望を感じさせた。
そして8月末、Netflix(ネットフリックス)のオリジナルシリーズ『D.P. -脱走兵追跡官-』(以下、D.P.)を披露し、話題の中心に立った。『D.P.』で彼は、これまでの”国民の年下男性”という肩書きは過去に置いても十分なほど、強烈な変身を見せた。チョン・ヘインは、現実から逃げるように入隊した軍隊で、ある日、陸軍憲兵隊軍務離脱逮捕組D.P.(Deserter Pursuit)になった二等兵ジュノ役を引き受け、これまでの感性演技から、さらに深みを増した内面の演技まで、歴代級の演技を披露した。
オンライン映像インタビューで、チョン・ヘインに会った。
インタビューを受けるたび、スーツ姿で登場したように、この日もネクタイまで締めて記者を歓迎してくれた。映画『ユ・ヨルの音楽アルバム』当時のインタビューで、些細な質問1つ取っても真摯に、少しでも自分の心を吐露しようというこだわりが見えたが、今回のインタビューでは、作品があまりにも称賛を受けていたからか、穏やかな笑顔を隠せなかった。
「軍隊に行ってきた男たちにとって、入隊する夢が最大の悪夢なんですが、実際の撮影時にそういう瞬間が多かったです。撮影は僕にとって”仕事”ですが、訓練所のシーンや二等兵のシーンを撮る時、まるで入隊する夢を見ている気分でした。内務班で撮影する時、とても緊張して、全ての状況が恐ろしいような、そんな瞬間がありました」
作家キム・ボトンの同名ウェブトゥーンを原作にした『D.P.』は、脱走兵を捕まえる軍務離脱逮捕組(D.P.)であるアン・ジュノ(チョン・ヘイン扮)とハン・ホヨル(ク・ギョファン扮)が、様々な事情を抱えた彼らを追って、よく知らなかった現実に向き合う話を描く。内務班のセットから、各階級別の服装、扮装など、全てが超リアルに細かく描写されてており、実際の軍生活をしているかのように没入できた、と彼は言う。
「今回の作品に最も惹かれた理由は、ジュノというキャラクターより、”D.P.”の持つ話の力が大きかったから。僕がアン・ジュノを表現することを想像しながら読んだら、どうしても挑戦してみたくなったんです。しかも監督が、僕を念頭に置いてくださったなんて、余計に力が入りました。ハン・ジュンヒ監督は、僕のこれまでの作品を全てご覧になってくださったんだそうです。あれもこれも1つ1つ、全てにものすごく愛情を感じました。でもいざ、アン・ジュノを演じるにあたり、どのように表現しようか、心が重くなる時も多かったです」
チョン・ヘインは今回のドラマで、これまでの柔らかさを封印し、強靭な表情と、ボクサー出身という役柄らしいリアルなアクションを披露。脱走兵を追うため走るシーンも多く、1対1のリアルなバトルもしなければならない。しかし実際に彼を緊張させたのは、内務班のシーンだった。
「前作にメロジャンルがありましたが、今回は正反対の役でしたから。それに、軍隊をこんなにリアルに見せる作品もなかったと思います。内務班のセットは、小物などのディテールが半端なかったです。よく検証されていました。クァンムデ(内務班個人の物を入れる備え付けの棚)にかかった軍服の形や毛布、軍靴の位置、先輩たちの衣装の色、二等兵の服の色を見ると、長く着た服は色あせてるじゃないですか。そういうのがきちんと表現されてました。二等兵の顔が、先輩より日に焼けてるところまで出てるじゃないですか。僕は初撮影の時、あまり眠れないんですが、内務班の撮影だったので余計に緊張して‥。初撮影の雰囲気は、僕にとってハラハラした記憶を思い出させました。官等姓名(所属部隊と階級、名前)を言うんですが、本名を言っちゃって。とても緊張して”二等兵チョン・ヘイン”って言ってNGになりました(笑)。アン・ジュノに没頭したというより、チョン・ヘインに没頭したみたいです。まるで再入隊したみたいに恐怖でした」
『D.P.』がNetflixを通じて配信された後、男女問わず、軍経験者かどうかにかかわらず、熱い話題を呼び、海外でも”今日のTOP 10”に上がったのは、誰かは経験しているであろう、軍内暴力と過酷な行為などに対する容赦ない描写や、そんな不条理が、数十年間根絶されない原因について問いかけたからだろう。
『D.P.』は放送後、社会的に大きな反響を巻き起こし、実際、軍内で過酷な行為を経験したと暴露する事例も現れ、国防部と政界も『D.P.』に直接言及。現在の軍内の問題を見直すきっかけに作用している。
劇中の出来事や事例が、視聴者に大きな反響を起こすことができたのは、チョン・ヘインやク・ギョファン、キム・ソンギュン以外に、キム・ボトン作家とハン・ジュンヒ監督が緻密に組んだ設計図の中で、すさまじい演技力を見せたチョ・ヒョンチョル(チョ・ソクボン扮)、シン・スンホ(ファン・ジャンス扮)、イ・ジュニョン(チョン・ヒョンミン扮)、ソン・ソック(イム・ジソプ扮)らの活躍も大きい。
「本当に鳥肌が立つほど、僕の軍生活をたくさん思い出しましたね。あの時の人達を、そのまま再現したかのような、リアルな演技でした。5、6話の撮影はとても大変で、台本を見た時から、最も衝撃的なシーンでした。おそらくチョ・ヒョンチョル先輩が、一番大変だったと思います。撮影しながら、すごくもどかしくて悲しくて、腹が立って。いろいろな感情が、押し寄せてきました。チョ・ヒョンチョル先輩、コ・ギョンピョ先輩、シン・スンホさんにもとても感謝しています。出演者全員が息を合わせて、素晴らしいシーンを作り上げてくださいました」
チョン・ヘインは、”運転兵”だった。KBS 2『チョン・ヘインの歩み報告書』に出演した際、1/9の競争率を勝ち取り、師団長の運転兵になった理由を明かしている。
(関連記事)実に12年ぶりの二等兵! チョン・ヘインがNetflix新作ドラマで演じる’脱走兵を捕える軍人’
『D.P.』撮影期間中、自身の軍隊時代の経験が思い出されたという答えが続いた。
「軍生活当時は、運転兵でした。2.5トンの軍用トラックも運転してたんですよ。『D.P.』でジュノが、パク・ボムグ中士の目に留まり”D.P.”になって、ハン・ホヨル上等兵が面倒を見てくれたように、僕も上官たちから運転兵の教育を受けて、たくさんの事を学びました。運転技術も上達しましたし。上官たちから『D.P.』を楽しく見たと連絡も来ました」
『D.P.』ヒットの立役者であるチョン・ヘインとク・ギョファンの息の合った演技もはずせない。厳しい家庭状況から逃げるように軍に入隊して寡黙を極めるアン・ジュノと、初登場シーンから名前が大きく書かれた軍用パンツで現れ、ふてぶてしく、なのに親しみやすい、社会性を見せたハン・ホヨル、2人の息の合った演技は、重く緊張感吹き荒れる『D.P.』にささやかな笑いと楽しさを与えた。
「ク・ギョファンさんも僕も人見知りなんです。だから個人的にも、演技的にも、ギョファンさんの話をよく聞きました。ジュノは二等兵だから、無条件に先輩にリアクションしなければならないんですよ。反応しないとだめなんです。そしたらギョファンさんが本当に喜んでくださって。今回の作品は、脱走兵たちの話がメインで、僕が目立とうとしてはいけないと思いました。だけど、ギョファンさんがハン・ホヨルを通じて、重苦しい雰囲気をかなりリフレッシュしてくれました」
アン・ジュノを演じながら、これまでの作品との違いを見せるため、かなり努力したという。家庭不和の中で育ち、社会や人にあまり好意的ではないジュノが、たまたま”D.P.”になり、様々な事情で脱走する兵士たちを逮捕するという過程を経験しながら、成長し、覚醒していく。実際、チョン・ヘインも、演技する中で様々な感情と気づきを得たという。
「台本の中に、いつも答えがあると考えています。ジュノは罪意識を持った人物ですが、脱走兵を捕まえる中で感じるものがあるんです。ホ・チドのエピソードで、自ら覚醒する状況を迎えるようになりました。母と会話を交わさないのに、後で電話をするじゃないですか。アン・ジュノを表現しながら、チョン・ヘインという人間の持つ”憂鬱さ”を振り返ることができました。そして僕自身が憂鬱な時、どう表現するのかを振り返ることができました。全体的には、チョ・ソクボン一等兵の話が最もグッときましたね。僕が軍隊にいた当時より、今、軍隊も大きく変わったでしょうが、5~6話の台本を読んで、それを実際に映像で見たら、この作品は軍隊の話を描きましたが、軍隊だけを描いたのではないと思います。この社会の、ある不条理に対して、また、人間の内面にある悪意も扱ったんだと思います。僕たちの多くが、傍観者ではなかったか? とメッセージを投げかけた部分が心に響きました」
“代表作が誕生した”という評価を得たチョン・ヘインだが、しばらくは休みなく走る予定だ。『D.P.』の直後、BLACKPINK(ブラックピンク)のジスと撮影したJTBC『雪降花:snowdrop』(以下、雪降花)の放送が控えており、また俳優イ・ジェフンの監督デビュー作『Unframed(アンフレームド)』も間もなくリリースされる。
「冬に公開される『雪降花』では、『D.P.』とは違う姿をお見せします。少し休息が必要なタイミングでしたが、『雪降花』も『Unframed』も台本を見たら、やらずにはいられなくなって。僕がシナリオや台本を見る時、最も重要視するのは”共感”で、一人でも多くの人が共感できるかどうかが、最も重要です。イ・ジェフン監督が、デビュー作に僕を思って台本を書いてくださったというので、とても感謝の気持ちで臨みました。この時代を生きていく青春の男女の話です。どうぞ期待してください」
本記事は韓国MEDIA NETWORKが運営するスポーツ韓国の記事内容の一部あるいは全部 及び写真や編集物の提供により作成されております。Danmeeは読者様からフィードバックを大切にします。記事に関するご意見や情報提供はこちらのフォームをご利用ください。
編集部おすすめ記事
-
【視聴率】1強1中3弱‥今韓国で最も話題の新作ドラマ5作 肝心な滑り出しとは
-
韓ドラVODの2強!NetflixとDisney+が送る2025年の「切り札」主演カップル 4組
-
「脂乗った」今年話題の新作ドラマを次々とゲット!U-NEXTが放った人気韓国ドラマ16選
-
女心をくすぐる妙な魅力‥44歳の韓国俳優 キム・ナムギル「代表作」ドラマ5選
-
さすが年男!「88年生まれ」韓流スター5人の2024年の活躍を振り返る
-
パク・ボゴム、日本のファンが選んだ韓国No.1「えくぼ男性スター」調査で1位!
こちらも投票お願いします!
こちらの検定もチャレンジ!
この記事と関連度が高いトピック
現在読まれています!
最新記事
-
女心をくすぐる妙な魅力‥44歳の韓国俳優 キム・ナムギル「代表作」ドラマ5選
-
パク・ボゴム、日本のファンが選んだ韓国No.1「えくぼ男性スター」調査で1位!
-
「脂乗った」今年話題の新作ドラマを次々とゲット!U-NEXTが放った人気韓国ドラマ16選
-
RIIZEが1位!2024年日本で最も知名度を上げた「新人K-POP男性アイドル」トップ6
-
さすが年男!「88年生まれ」韓流スター5人の2024年の活躍を振り返る
-
【視聴率】1強1中3弱‥今韓国で最も話題の新作ドラマ5作 肝心な滑り出しとは
-
X:IN「2024年秋版 K-POP新人女性グループ人気決定戦」で1位に!
-
日本ファン530人が選定!BTS ジンに似合う”最強彼氏ルック”は「カジュアル」
-
韓ドラVODの2強!NetflixとDisney+が送る2025年の「切り札」主演カップル 4組
-
RIIZE ショウタロウ、11月のカレンダー一面を飾ってほしいK-POP男性アイドルの1位に!
-
aespa、世界最大級のK-POP授賞式「2024 MAMA AWARDS」に出席するため日本へ出国!(PHOTO7枚)
-
ビョン・ウソク、世界最大級のK-POP授賞式「2024 MAMA AWARDS」に出席するため日本へ出国!(PHOTO5枚)
-
L5ST、12月に2度目の長期来日公演「L5ST LIVE in JAPAN 2nd scenario ~FREEFALL~」の開催決定!
-
韓ドラVODユーザー要必見!Netflix 他 12月配信終了予定の韓国ドラマ15選
-
韓国版「半沢直樹」はどれ?サラリーマンの奮起を描いた日本配信中の良作ドラマ5選
-
CS視聴者なら要必見!24年12月放送開始予定 韓国ドラマスケジュールまとめ
-
おかえりなさい!2024年除隊俳優の出演確定 韓国ドラマ5選
-
12月 WOWOW放送!「韓国社会の闇」が垣間見える良作映画4選
-
SAY MY NAME、プロモーションのため日本へ出国!(PHOTO2枚)
-
2025年の韓ドラを盛り上げる「演技ドル」は誰!? 来年公開予定 注目アイドル&作品10選
-
Red Velvet ウェンディ、SBSパワーFM「ウェンディのヤングストリート」の収録に参加!(PHOTO6枚)
-
NewJeans ハニ、スケジュールのため日本へ出国!(PHOTO2枚)
-
1位は日韓共演のあの話題作!今秋、日本の韓ドラファンが最も興味を示した作品トップ6
-
早くも日本に上陸!12月CSで初放送予定の最新韓国バラエティ4選
RECENT TOPICs
COMEBACK & DEBUT
-
BTS JIN ‘The Astronaut’ MVALICE ‘DANCE ON’ MVATBO ‘ATTITUDE’ MVEPEX ‘恋歌’ MVグループ名がT1419からTFNに! ‘AMAZON’ MVNCTテン ‘Birthday’ MVCLASS:y ‘ZEALOUS’ MVCLASS:y ‘Tick Tick Boom’ MV
ご意見を自由にコメントしてください!
記事に関するご意見や情報提供はこちらのフォームをご利用ください。