tvNドラマ『応答せよ1997』が放送されてから、今年で10年という年月が経つ。このドラマは、青春と家族愛を描いたストーリーで多くの共感とときめきを呼び、ケーブルコンテンツながら驚異的な視聴率をはじき出した。その後シーズン2が制作され、さらなる人気を誇ったtvNは、地上波に負けないほどのドラマ王国へと成長。『応答せよ』シリーズは、そのスタートを切った記念すべき作品と言えるだろう。
ヒョンビンとソン・イェジンが主演を務め、2020年最大のヒット作となった『愛の不時着』、コン・ユが再ブレイクした『トッケビ~君がくれた愛しい日々~(2016)』と、数々の名作を世に送り出した韓国のケーブルテレビ局”tvN”。
今でこそ韓国ドラマ界をリードしている放送局だが、その株を一気に上げたのは、2012年からスタートした『応答せよ』シリーズだ。
『応答せよ』シリーズは、2012年から2015年までに3シリーズが制作されており、ヒロインの未来の“夫探し”が共通のテーマとなっている。
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各シリーズを通して同姓同名の登場人物がいたり、当時の時代背景に合わせたストーリーで話が展開されるという、他の韓国ドラマとはひと味違った作風で、今でも根強いファンが存在。
そして、これまで代表作のなかったtvNドラマの、”全盛期の始まり”を告げた作品でもある。
tvNが開局した頃、お茶の間ではテレビをつけても、無意識に”ご贔屓チャンネル”を選んでしまうという”リモコンの押し癖”も手伝い、ケーブルテレビのコンテンツは苦戦を強いられていた。
そんな中スタートした『応答せよ1997(2012)』は良い意味で周囲の予想を裏切り、高視聴率をマーク。
ケーブルテレビで視聴率5%を越えれば、地上波ドラマの30%に匹敵すると言われており、同作の最終回視聴率は平均7.6%、最高9.5%という驚異的な数字を出している。
そして、この翌年に後続作が制作され、ケーブルドラマ史上最高の視聴率を記録。前シリーズ続いて、”応答せよシンドローム”を巻き起こした。
この快挙こそ、地上波ドラマに対抗するケーブルドラマの土台を作ったと言われている。
『応答せよ』シリーズが人気を博した理由として、当時流行していた思い出の名曲を積極的に使用したことが挙げられる。懐かしのメロディーは、視聴者に当時の記憶や甘酸っぱい思い出を呼び起こさせ、その感情とドラマを重ねることに成功。
この手法は、後に様々なドラマに影響を及ぼしている。その代表と言えるのが、『賢い医師生活』シリーズだ。
主人公である医大同期生5人の男女、”99’s(ククズ)”の回想シーンがたびたび登場するが、その時代の楽曲が、OST(オリジナルサウンドトラック)として挿入されている。『応答せよ1997』の放送後、このようなコンセプトドラマは増加傾向に。
また、『応答せよ』シリーズに出演した俳優、ソン・ドンイル、イ・イルファ、コ・アラなどが、次のシリーズでは別の役で出演するなど、ファン心をくすぐった。シリーズが同じ世界観でつながっているという、画期的なコンセプトも、人気の秘密だろう。
『応答せよ1997』の大ヒットに続き、翌年にはコ・アラ主演の『応答せよ1994』、そしてパク・ボゴムの出世作として有名な『恋のスケッチ~応答せよ1988(2015)』が制作され、全ての作品が韓国国内に留まらず、海外の韓ドラファンからも愛される名作になった。
熱狂的なドラマファンを生み出した『応答せよ』シリーズ。この3作でピリオドを打ったかのように見えるが、もしかすると、まだシリーズは終わってないのかもしれない。
一部ファンの間では、タイトルに西暦が盛り込まれていることもあり「ひょっとしたら新シリーズが‥」と願いのこもった噂が囁かれている。
『応答せよ1997』では アイドル第1世代ファンを主な素材として扱い、『応答せよ1994』では、1994年のバスケットボールブームを素材に。韓国の現代史における、ビッグイシューを取り上げていることから、次回作にも期待がかかるという訳だ。
例えば、1980年5月18日に起きた光州事件(5.18民主化運動)、2002年に開催された日韓ワールドカップの奇跡的勝利など――大衆の記憶に残っている出来事は、数多あるのだから。
『応答せよ』シーズン1の初放送から10年が経った現在も、多くのドラマファンからラブコールが届いている『応答せよ』シリーズ。
果たして新シリーズは制作されるだろうか。海外の韓ドラファンからも、その行方が注視されている。
(構成:星野沙)
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