マーケティングの成功例と失敗例が分かれた『夫婦の世界』と『ザ・キング:永遠の君主』。果たして『夫婦の世界』はどのようにしてドラマの中にPPL(間接広告)を入れ込み、成功へと導いたのだろうか..

製作費が大きなドラマであればあるほど、スポンサーも多く、やむを得ず付いてくるものがPPL(間接広告)だ。

露骨なPPLに対して視聴者や消費者の拒否感が大きくなっている昨今。

ほとんどのドラマは画面に商品をさりげなく露出させるが、現在放映中のSBSドラマ『ザ・キング:永遠の君主』は、製作費の回収のためなのか果敢にPPLを挿入し始めた。

露骨なPPLで批判が相次ぐザキング

露骨なPPLで批判が相次ぐザ・キング(画像出典:ザ・キング キャプチャー)

視聴者からは、「露出が露骨なうえに俳優が直接商品の特徴と効果をセリフで伝えているため、ドラマの流れを止めてしまう」「今見ているシーンがCMなのかドラマなのか分からない。まるでホームショッピングのようだ」などと言われ、行き過ぎたPPLの批判が続いている。

しかし、その一方でPPLを好材料とし成功ケースに導いたドラマがある。

夫婦が愛憎の関係に変わっていく過程を繊細に描いたJTBCドラマ『夫婦の世界』だ。

高い視聴率を記録し、ハンドバッグ、コート、ジャケット、ドレス、家具、ジュエリーなど、『夫婦の世界』の劇中に登場した商品が完売の列を成しているが、その中で最も高いPPL効果を得た製品を挙げるならば、誰でも購入できる低価格のリップスティックとワインではないだろうか。

『夫婦の世界』の中のPPLはスムーズに展開され、視聴者はほとんど気付かなかったほど。

だが、シーンごとに重要なポイントとして使用され、実際に商品の配置に基づいてドラマが構築されている。

女優キム・ヒエが演じるチ・ソヌの夫イ・テオ(俳優パク・ヘジュン)のコートのポケットから落ちるリップバームは、浮気相手ヨ・ダギョン(女優ハン・ソヒ)が使っていたものであり、のちにソヌが拾ったことで最終的に夫の浮気の疑いに繋がるが、実際は“Siero Cosmetic”がスポンサーとなっている商品で価格は21,000ウォン(約2100円)ほどだ。

物語に沿って重要なポイントとしてさりげなく商品を見せる夫婦の世界

物語に沿って重要なポイントとしてさりげなく商品を見せる夫婦の世界(画像出典:夫婦の世界 公式HP、Siero Cosmetic)

また、『夫婦の世界』では劇中毎回ワインが登場するといっても過言ではない。

第8話でキム・ヒエがワインをラッパ飲みするシーンが話題となり、ネットユーザーの間ではワインに貼ってあるラベルの解読が始まった。

ラベルに書かれていた名前は“Chateau Maison Blanche(シャトー・メゾン・ブランシュ)”。商品によって価格は違うものの、フランス・ボルドーで生産された2~3万ウォン(約2千~3千円)台の中低価格のワインだ。



このワインを輸入している業者は「『夫婦の世界』のおかげで、1ヶ月で2000本余りが売り切れて驚いた」と嬉しい悲鳴を上げており、一銭も出さずとも広告効果の恩恵を受けているという。(ドラマに登場するすべてのワインは実際には存在しないワインだという。)

思ってもいない所で恩恵を受けたワイン輸入業者

思ってもいない所で恩恵を受けたワイン輸入業者(画像出典:夫婦の世界 キャプチャー)

俳優たちが商品に関する決まり文句を発する訳でもなく、番組を見て視聴者たちが自発的に関心を寄せるよう、物語に沿ってPPLを自然なかたちで繊細に見せたことで『夫婦の世界』の制作チームへの称賛が続いており、価格・シーズン・年齢などに関係なくヒットさせたPPLの成功ケースとして注目を浴びている。