現在放送中のtvN『スタートアップ』では、”韓国のシリコンバレー”と呼ばれるサンドボックスで、成功を夢見てスタートアップに飛び込んだ青春の始まり(START)と成長(UP)が描かれている。11月15日の放送回では、ナム・ジュヒョクの”涙のシーン”が多く見られ、話題となったようだ。

ナム・ジュヒョクの涙が話題だ。

理系男子を演じているナム・ジュヒョク

『スタートアップ』で理系男子ナム・ドサンを演じているナム・ジュヒョク。(画像出典:tvN)

現在tvNとNetflixで同時放送中のドラマ『スタートアップ』で、ソフトエンジニアのナム・ドサンを演じているナム・ジュヒョク。放送開始当初から、ドサンは喜怒哀楽シーンでよく涙を見せていたのだが、それは瞬間的な感情であり、視聴者もそれほど気に留めていなかった。

しかし、第9話と第10話だけで8回も流した涙は、心に迫る”涙”だった。

近年は男女平等という価値観が世の中に浸透し始めているが、”男らしさ・女らしさ”が問われていた時代、「男が人前で涙を見せるなんて」と誰しもが思っていた。”らしさ問題”は薄れつつあるものの、それでもこれだけ男性が泣いているシーンが登場するのは、ちょっと珍しい。

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*この記事にはネタバレが含まれています、ご注意ください。

小学生時代、神童と言われていたナム・ドサンは、数学オリンピックで金メダルを手にするのだが、カンニングして手にした優勝だったという事実を両親に言えずにいた。自宅居間に飾られた過去の栄光、父の喜ぶ顔を目にするたび、胸が締め付けられる。

両親も、ダルミも泣かせたくなかったドサンだったが‥。

両親とダルミの悲しい顔が見たくなかったドサンだったが‥。(画像出典:tvN 公式Facebook)

そして、ハン・ジピョン(キム・ソンホ)にソ・ダルミ(スジ)の文通相手と初恋相手を演じてほしいと頼まれ、1日だけのつもりで引き受けたはずが、運命のイタズラでダルミと再会、恋心を抱く。

自分に経営者としての才能がない事をジピョンに指摘されたドサンは、父に出資してもらった会社”サムサンテック”のCEOをダルミに託すが、サンドボックスに入所した息子を嬉しそうに見つめる父に、やはり打ち明けられずにいた。

1つ嘘をつくと、その嘘を隠すために別の嘘をつく‥負のループは止まらない。家族と初恋相手に塗り固めた嘘は、ドサンの心を苦しめた。事実を打ち明ける勇気のない自分の不甲斐なさに、涙が出る。その涙は、彼の苦しみの心情を切実に表現し、視聴者の心に沁み込ませた。

お酒を飲んでも、抱くのは罪悪感ばかり。

お酒を飲んでも、考えることは嘘の罪悪感ばかり。(画像出典:tvN YouTube 動画キャプチャー)

ついに両親に本当の事が知られ、とうとうダルミにも自分は文通相手ではないナム・ドサンであることがばれてしまった。

結局、どちらにも自分の口から事実を打ち明けることができなかったドサンは、これまで以上に罪悪感に苛まれ、泣きながら全身で悲しみを表す。

感情より理論で生きてきた理系男子、ナム・ドサンにとって、これだけ感情を揺さぶられることは戸惑いであり、初めてのことではないだろうか。

時に静かに、時に嗚咽する8回もの涙のシーンを見せたナム・ジュヒョク。10話の最後まで、笑い方を忘れてしまったかのような彼の目のまわりは、ひどく赤みを帯びて腫れていた。これは本当の涙を見せてきたという、揺るぎない証明だろう。

10話のほとんどが泣くのを我慢する表情だった。

10話のほとんどが、泣くのを我慢している表情だった。(画像出典:tvN YouTube 動画キャプチャー)

余談だが、11月17日に映画『ジョゼ』のオンライン制作記者発表会が行われたのだが、そこで流れたティーザー映像を観たナム・ジュヒョクは、メイク直しが必要なほど泣いてしまったという。本人曰く「(映像を)観ていたら、物語に入り込んでしまったみたいです」とのこと。

“憑依型俳優”という言葉を時折耳にするが、『スタートアップ』で見せるナム・ジュヒョクの演技は、まさにナム・ドサンが憑依しているように見える。

かつて、女優のチェ・ジウが”涙の女王”と呼ばれ、日本で親しまれていたように、ナム・ジュヒョクが本作をきっかけに、”涙の王子”と呼ばれる日が来るのだろうか‥。

(関連動画)『スタートアップ』第9話 ナム・ジュヒョク、涙シーンハイライト



ナム・ジュヒョク

モデルとして活動後、2014年ドラマ『インヨ姫』で俳優デビュー。

以降、ドラマ『恋はチーズ・イン・ザ・トラップ』(2016)『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』(2016)でバイプレーヤーとして活躍して頭角を現し、同年『恋のゴールドメダル〜僕が恋したキム・ボクジュ』では女優のイ・ソンギョンとダブル主演を務め、人気を博す。

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