• “韓ドラ復讐劇”では、悪者が見事なまでの悪役っぷりを披露するのがお決まり。
  • しかし最近は、登場人物の“善”と“悪”が曖昧なものも増えており、“ピカレスク”という言葉も使われるようになった。
  • そこで今回は、主人公が“善”とは限らない「ピカレスクドラマ」、おすすめの5作品をご紹介する。
Netflixオリジナルシリーズ『マスクガール』

Netflixオリジナルシリーズ『マスクガール』(画像出典:Netflix)

韓国ドラマのお家芸とも言われるドロ沼劇は、登場人物における“善”と“悪”がわかりやすく、悪役はこれでもかというくらい、徹底的に悪さを繰り返すのが定番。

韓国ドラマには、“復讐劇”というジャンルも確立されているが、最近そのような類の作品は、犯罪サスペンス、ノワール、ピカレスクなどと表現されている。

“ピカレスク”とは、15~16世紀のスペイン発祥の文学ジャンルで、数人の悪人が主人公として登場する作品を指す。

韓国ドラマや映画では捉え方が少し変わり「それらしき理由、事情のある悪人、悪事」を描く作品を指す言葉として使われることが多い。

さらに「善悪の境界が曖昧」「正義を守るため、悪人と同じ手法で断罪する」「善と悪、どちらが正しいかという評価を拒否する」「社会的悪党だが、人間味を持っている」といったストーリーの重要な主題を強調する、物語の総称として使われる傾向が強まっている。

現在、話題沸騰中のNetflixオリジナルシリーズ『マスクガール』も、ジャンルの説明には“ピカレスク”が含まれており、主人公キム・モミは、外見至上主義と分別のない人たちによって人生を壊された被害者であると同時に、“犯罪者”としても描かれている。

つまり、ドラマの主人公が“善”であるとは限らず、視聴者に主人公のモラルを問わせない作品も増えているのだ。

そこで本記事では、主人公の善悪の両面性が垣間見られる、見応えのある作品をピックアップ。韓ドラの新たなトレンドとなっている「ピカレスクドラマ」5つをご紹介する。

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ザ・グローリー (2022)

まずは、2023年最初の大ヒット作となった、Netflixオリジナルシリーズ『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』。

高校時代に残虐ないじめによって心も身体も傷つけられた被害者ムン・ドンウン(ソン・ヘギョ扮)が、加害者たちに残忍な方法で復讐する様子を描いた作品。

壮絶ないじめの末、退学に追い込まれた主人公が、長い年月をかけ、緻密に計画した復讐を実行していく様は圧巻。彼女の復讐に加担する、チュ・ヨジョン(イ・ドヒョン扮)、カン・ヒョンナム(ヨム・ヘラン扮)の活躍も物語を盛り上げる。

『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』

Netflixオリジナルシリーズ『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』 パート1・2 (画像出典:Netflix)

●出演:ソン・ヘギョ、イ・ドヒョン、イム・ジヨン、パク・ソンフン 他
●現在視聴可能な動画配信サービス:Netflix

『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』

ヴィンチェンツォ (2021)

イタリアマフィアのコンシリエーリ(組織の相談役)であり、冷酷な弁護士のヴィンチェンツォ・カサノ(ソン・ジュンギ扮)が、悪事を働く財閥や法律家を断罪していく物語。

組織の裏切りで、イタリアから韓国へ渡ることになった主人公は、悪徳弁護士と共に悪党らしいやり方で正義を実現していく。

「そっちが汚い手を使うなら、こっちはさらに卑劣な方法で‥」という図式が成り立つ、“ダークヒーロー”ものとなっている。

『ヴィンチェンツォ』

tvN(Netflix)『ヴィンチェンツォ』 (画像出典:tvN)

●出演:ソン・ジュンギ、チョン・ヨビン、オク・テギョン(2PM)、ユ・ジェミョン 他
●現在視聴可能な動画配信サービス:Netflix

『ヴィンチェンツォ』

グリーン・マザーズ・クラブ (2022)

子どもたちの交通安全のための旗振り当番「緑の母の会」。この小学校コミュニティーを舞台に、ママ友という“母性愛”と“友情”が衝突する女性たちの物語。

“友情”は人間の領域、“母性”は動物の領域とされ、互いを観察するママたちの腹の探り合いは想像を絶する世界。

「大人も目的なしに友達になれるだろうか」子どもを介して出会ったママ友たちの関係性から、その疑問に迫る。

JTBC(Netflix)『グリーン・マザーズ・クラブ』(画像出典:JTBC)

●出演:イ・ヨウォン、チュ・ジャヒョン、キム・ギュリ、チャン・ヘジン、チュ・ミンギョン 他
●現在視聴可能な動画配信サービス:Netflix

『グリーン・マザーズ・クラブ』

弱いヒーロー Class1 (2022)

勉強しか知らなかった男子高校生が、初めて友だちになった2人と共に学校内外の暴力に対抗していく過程を描いた、アクション成長ドラマ。

天性の頭脳を持ち、勉強以外に興味がないヨン・シウン(パク・ジフン扮)は、同級生から執拗な嫌がらせを受けていた。

そんないじめの被害者シウンが、ついに反撃に出る。彼は、卓越した頭脳と洞察力で加害者を断罪していくが、その根幹には善よりも受験勉強の邪魔になる存在を消すという悪の本性が隠れていた。

『弱いヒーロー Class1』

Wavve『弱いヒーロー Class1』(画像出典:Wavve)

●出演:パク・ジフン、チェ・ヒョヌク、ホン・ギョン 他
●現在視聴可能な動画配信サービス:Hulu

『弱いヒーロー Class1』

悪魔判事 (2021)

仮想のディストピア(逆ユートピア)の韓国を背景に、全国民が参加するライブ法廷ショーを通じて、正義に対するメッセージを投げかけるストーリー。

チソン演じる主人公のカン・ヨハンは、人間を嫌悪するスター判事で、示範裁判部の裁判長。悲惨な幼少時代を経験した彼は、自分に“やり返す力”があることを悟り、長い間その力を隠しながら、誠実で優秀な判事の仮面をかぶって生きてきた。

「正義なんてない! ゲームしかない。裁判がゲームだ! 立証しないと負けるゲーム」と主張する彼は、皆が望む正義のヒーローなのか、それとも裁判官の仮面をかぶった悪魔か‥。

『悪魔判事』

tvN『悪魔判事』(画像出典:tvN)

●出演:チソン、キム・ミンジョン、ジニョン(GOT7)、パク・ギュヨン 他
●現在視聴可能な動画配信サービス:U-NEXT

『悪魔判事』

酒井知亜

韓国のデパ地下が大好き、酒井知亜です。韓ドラファン歴が長いですが、主にK-POP関連の記事を発信しております。韓国SNSで話題の最新イシューやスターの気になる素顔などを、読者のみなさんにわかりやすく伝えることをモットーに奮闘中です。

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