- Netflixオリジナルシリーズ『マスクガール』が、日本をはじめアジアで人気となっている。
- 本国韓国でも1位を占めたが、視聴者の反応は、好評と酷評に分かれているという。
- 好評なのは役者陣の演技、一方でドラマのストーリーは原作の魅力が死んでしまったと厳しい声が聞こえる。
8月18日に全7話が一挙配信された、Netflix(ネットフリックス)オリジナルシリーズ『マスクガール』。
同名のウェブトゥーンを原作にしたドラマは、日本でもすぐに話題となり、本日(8月22日現在)のNetflix“今日のTV番組TOP10(日本)”で1位を占めている。
他にも、韓国をはじめインドネシア、マレーシア、フィリピン、台湾、タイ、ベトナムなどで1位に上がり、Netflixが配信しているほとんどの国で10位圏内に入る人気を見せている。
本作は、人気ライブ配信者、華やかなショーガール、さらに囚人という3つの異なる顔を持った女性キム・モミの壮絶な人生を描いた作品。
平凡な会社員のキム・モミは、外見にコンプレックスを持っており、毎晩マスクで顔を覆い、インターネット上でライブ配信を行っていた。そして、ネット配信者(BJ)として人気を確立した彼女が、予期せぬ事件に巻き込まれることでストーリーが展開していく。
キム・モミは整形手術を行い、顔が複数回変化するため、ドラマでは3人1役という斬新な設定が組まれている。
1つの役柄を演じ分けるのは、新人女優のイ・ハンビョルと、AFTERSCHOOL(アフタースクール)のナナ、コ・ヒョンジョンの3人。
イ・ハンビョルは人気BJとなる会社員のキム・モミ、ナナは美しいビジュアルで新たな人生を生きるショーガールのアルム役、コ・ヒョンジョンは監獄に収監された囚人のキム・モミを演じている。
*以下の内容には、ドラマのネタバレが含まれています。
配信前から関心が寄せられていた『マスクガール』だが、本国の反応はどうかというと、好評と酷評の真っ二つのよう。
好評な点は、役者たちの演技力。韓国ネットでは「演技は歴代級」という評価が多いのだという。
特に、主人公モミとして”マスクガール”を演じる新人イ・ハンビョルの、原作とのシンクロ率と演技力が高く評価されている。そしてモミの職場の課長チュ・オナム役を務めるアン・ジェホンの演技には「原作を超越した」という反応が上がるほど。
また、キャスティング発表当時には心配の声が上がったナナも、キャラクター設定にふさわしい美しいビジュアルとカリスマあふれる演技を披露している。
一方で、酷評されているのは、ストーリーの部分。ドラマ化のため脚色されるのは当然だが、その脚色に対して厳しい意見が上がった。
原作ファン曰く、ストーリー展開は早くなったが、物語上必要とされる描写がカットされたことで、登場人物の関係性も原作とは違うように脚色されているのだとか。
また、登場人物の悪行や見苦しい行動が原作より和らぎ、悪人が主人公として描かれる“ピカレスク”の雰囲気が大幅に減ったことで、「作品固有の魅力が消えてしまった」という意見も。
特に変わったのは、主人公モミのキャラクター性。原作のモミは、外見至上主義と分別のない人たちの手によって人生が壊された被害者であると同時に、いかなる正当性もない明白な殺人犯=加害者として描かれている。
原作はその設定が立体的で面白いのだが、ドラマでは、モミの行動や犯行に正当性を持たせてしまったがために、他のドラマと変わらない、ごく在り来たりな“犯罪者”となる主人公が出来上がってしまった。
さらに『マスクガール』の核心テーマである、外見至上主義を極端に批判する描写も減り、キム・モミの整形中毒のくだりも出てこない。そのため、原作のモミを期待してドラマを視聴した人は、原作と異なる雰囲気にガッカリだったよう。
また、原作ファンが魅力を感じていた“ピカレスク”の要素が死んでしまったことで、主人公キム・モミが『*嫌われ松子の一生』の主人公・松子に似ているという反応もあり「作品を見間違えた」といった批判の声も上がっている。
*『*嫌われ松子の一生』:山田宗樹の小説で、主人公・川尻松子の悲劇の人生を描いた物語。2006年には中谷美紀主演で映画化され、後にテレビドラマ、舞台化もされた人気作品。
原作ファンが多い本国では、ドラマ化に対して厳しいコメントも見られる『マスクガール』。
日本では好評だが、原作が気になっている方も、まずは先にドラマの世界観を楽しんだ方が良さそうだ。
Netflixオリジナルシリーズ『マスクガール』
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