• 現在、Netflix(ネットフリックス)で話題のドラマ『良くも、悪くも、だって母親』は、韓国の地方にある村が舞台。
  • 最近の韓国ドラマは、自然溢れる田舎町が設定の作品が増えている。
  • その理由は、単純に癒しを求める視聴者が増えているからだけではなく、ドラマを製作する側の切実な理由もあるようだ。
『椿の花咲く頃』と『海街チャチャチャ』

地方の同じ港町で撮影されたドラマ。『椿の花咲く頃』(画像出典:KBS2)と『海街チャチャチャ』(画像出典:tvN)

最近の韓国ドラマは、都会ではなく、地方の田舎町を舞台にした作品が増えている。

2019年の大ヒット作、KBS2(Netflix)『椿の花咲く頃(2019)』は架空の海辺の街が舞台だったが、実際の撮影地は慶尚北道の浦項(ポハン)市にある九龍浦(クリョンポ)。

実は、人情味溢れる田舎の港町が舞台のtvN(Netflix)『海街チャチャチャ(2021)』も、同じ浦項で撮影が行われた。

レトロでどこかノスタルジックな雰囲気の街並みには、“日本人街”と言われる日本風の建物が残っている場所もあり、ドラマに登場したロケ地は、観光客が聖地巡礼に訪れる人気スポットとなっている。

他にも、自然豊かな済州(チェジュ)島を舞台にしたtvN(Netflix)『私たちのブルース(2022)』には、海の町ならではの活気溢れる人々が登場する。

IU(アイユー)とパク・ボゴムが共演する新作ドラマ『本当にお疲れ様でした』も、済州を背景にした時代劇だという。

また、現在Netflix(ネットフリックス)で話題のJTBC『良くも、悪くも、だって母親』も、地方の慶尚北道の軍威(グヌィ)郡にある村が舞台となっている。

このように、最近の韓国ドラマは、地方都市や田舎を設定にした作品が増えているのだ。

『私たちのブルース』と『良くも、悪くも、だって母親』

田舎が舞台のドラマ『私たちのブルース』(画像出典:tvN)と、『良くも、悪くも、だって母親』(画像出典:JTBC)

では、なぜそのような作品が多くなったのか? その理由の一つは、やはり生活に“癒し”を求める人が増えたからだろう。

殺伐とした都会の生活ではなく、自然溢れる田舎の風景や地方ならではの素朴な雰囲気が漂うドラマは、視聴者に癒しを提供してくれる。

また、田舎町の設定となると、登場人物も地元ならではの特有の雰囲気を持ち、個性あふれる面白いキャラクターが多くなる。

そうなると、作品にはコミカル要素が追加され、名バイプレーヤーの多い韓国俳優たちの演技も光る。

つまり、“田舎モノ”ドラマは、背景となる舞台と登場人物の魅力的な役柄による相乗効果が期待でき、作品自体をさらに魅力的に見せてくれるのである。

しかし、ちょっと現実的な視点で考えると、田舎を設定にした作品が増えた理由は、“ドラマの制作費をまかなうため”でもあるようだ。

今や韓国ドラマは世界的な人気を集めているが、韓国国内では、オンライン動画サービス(OTT)会社やテレビ局などが、景気低迷を理由にコンテンツ投資と放送を減らしており、コンテンツ市場の状況は芳しくないのだという。

ある業界関係者は「テレビ局は景気低迷の影響で広告収入が減り、ドラマ編成を減らしている。OTTも購読者減少などで危機論が出てきており、費用節減に乗り出したところが多い」とし「以前ほど、ドラマ契約が活発ではない状況だ」と明かす。

2020年のコロナ禍以降、世界中の視聴者に認知されるようになったケーブルチャンネルのtvNも、数々の人気作を誕生させてきた「水木ドラマ枠」を中断し、ドラマの編成を減らす決断を下した。

(関連記事)韓国ドラマ「新興王国」tvNも断念か・・由緒ある「放送枠」の廃止が決定

そこで、制作費をまかなうための策として最近増えているのが、ドラマの製作陣と地方自治体の業務協約(MOU)である。

これは、収益が減り、少ない製作費でなんとか賄わなければならない製作側と、観光客を呼び込み、地域を活性化させたい自治体の狙いが合致する。

去る5月19日には、MBCが新ドラマ『夜に咲く花』の製作のために、慶尚北道にある青松(チョンソン)郡と業務協約を結んだことが伝えられた。

この協約により、製作会社らはドラマを通じて、青松郡の観光地や特産品などの広報強化に協力することになる。

ドラマのエピソードには、特産品である青松リンゴや、青松白磁を盛り込み、広報効果を狙う計画だという。

KBS2『ジンクスの恋人』は慶尚南道の晋州(チンジュ)市でオールロケ

KBS2『ジンクスの恋人』は慶尚南道の晋州(チンジュ)市でオールロケ (画像出典:KBS)

2022年6月から韓国で放送されたKBS2ドラマ『ジンクスの恋人』は、慶尚南道の晋州(チンジュ)市でオールロケした作品。

少女時代のメンバーで女優のソヒョンとナ・イヌが共演した本ドラマは、約5カ月の間、晋州の論介市場をメインに撮影された。

市場の他にも晋州城など、代表的な観光名所が登場するのはもちろんだが、晋州出身の俳優や晋州市に住む子役がエキストラ出演するなど、地域の俳優や演技志望者にも良い機会となったそう。

また、撮影期間中には、俳優を含め80人余りの製作陣が市場や近隣の食堂を利用。撮影に必要な小物も管内の業者を利用するなど、コロナで難しい時期の地域経済の活性化を手助けした。

このように、地方の田舎町がドラマの舞台になると、なかなか観光客が足を運ばない地方都市でも、SNSなどで話題に上がるようになる。

つまり、製作側は地方自治体から支援を受けてドラマを製作でき、結果、地方のロケ地は観光地化し、多くの人が訪れるようになる、という大きなメリットがある。

それが今、韓国で“田舎モノ”のドラマが増えている理由である。

酒井知亜

韓国のデパ地下が大好き、酒井知亜です。韓ドラファン歴が長いですが、主にK-POP関連の記事を発信しております。韓国SNSで話題の最新イシューやスターの気になる素顔などを、読者のみなさんにわかりやすく伝えることをモットーに奮闘中です。

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