【韓流20周年企画-韓流天王編】2022年は、日韓同時開催が話題となったFIFAサッカーワールドカップから20年を迎える年となる。振り返ると日本の韓流ブームの歩みも、同じようなタイミングだったのではないだろうか・・。そんな韓流ブーム、過去幾度なく危機が訪れたことをご存じだろうか?そこでこれまで韓流ブームを支えてきた韓国ドラマを一部紹介する。

日本における韓流ブームは、“ブーム”という一過性のものではなく、一部の人にとってはもはや日常に深く溶け込んでいる。

しかし、ここまでの道のりは順調ではなく、何度か危機が訪れたことがある。では、落ち目となった時期に人気を支え、’救いの手’となったものは何だったのだろうか。それには、話題作と言われる韓国ドラマの数々が関係していると言われている。

第1次韓流ブームに訪れた陰り

2004前後に、『冬のソナタ(KBS2/2002)』がブレイクし、同作で主演を務めた俳優のペ・ヨンジュンの“ヨン様ブーム”が巻き起こったことで訪れた“第1次韓流ブーム”。ペ・ヨンジュンを筆頭に、イ・ビョンホン、チャン・ドンゴン、ウォンビンが“韓流四天王”と呼ばれ一世風靡したのを覚えている人も多いだろう。

しかし、韓国ドラマを放送するテレビ局が少なかったことなどが関係してか、徐々に陰りを見せはじめる。そんな時期に、大ヒット作の『私の名前はキム・サムスン(MBC/2005)』と、『ごめん、愛してる(KBS2/2004)』が登場する。

『私の名前はキム・サムスン』は、自分の名前とぽっちゃり体型にコンプレックスを持つ30代の独身女性キム・サムスン(キム・ソナ扮)が、傲慢な年下のイケメン御曹司ヒョン・ジノン(ヒョンビン)と恋に落ちるラブストーリー。ヒョンビンがこれをきかっけに韓流スターとなったほど、日本で人気を得た作品だ。

『私の名前はキム・サムスン(MBC/2005)』

『私の名前はキム・サムスン(MBC/2005)』(画像出典:MBCドラマ)

『ごめん、愛してる』は、ドラマのことが頭から離れず何も手につかなくなってしまう“*ミサ廃人”を生み出すなど、社会現象にもなる程の高い人気を得た作品。生母を探し、オーストラリアから韓国に戻って来たムヒョク(ソ・ジソブ扮)の切々とした物語は、日本人視聴者をブラウン管に釘付けにした。

*ミサ廃人:韓国タイトル名『미안하다 사랑한다(ミアナダ、サランハンダ)』の頭文字をとって”미사(ミサ)”

『ごめん、愛してる(KBS2/2004)』

『ごめん、愛してる(KBS2/2004)』(画像出典:KBS)

また、その後『朱蒙 -チュモン- Prince of the Legend(MBC/2006)』や、『コーヒープリンス1号店(MBC/2007)』なども、“第1次韓流ブーム”の命綱となった。

『朱蒙 -チュモン- Prince of the Legend』は、高句麗の初代王とされるチュモンの一代記を描いたファンタジードラマ。日本では2007年4月に、衛星チャンネルのBSフジで放送され、全81話という長編にも関わらず、視聴者からの強い要望で8月からは地上波のフジテレビで放送されたほどだ。

『朱蒙 -チュモン- Prince of the Legend(MBC/2006)』

『朱蒙 -チュモン- Prince of the Legend(MBC/2006)』(画像出典:MBC広報部)

『コーヒープリンス1号店』は、主人公ウンチャン(ユン・ウネ扮)が、男性のフリをして“コーヒープリンス1号店”に勤務し、そこで出会った店長ハンギョル(コン・ユ扮)と繰り広げる恋模様が、コミカルに描かれている。主人公2人のテンポ良い掛け合いや、恋に進展していく様子が、視聴者を楽しませた。

『コーヒープリンス1号店(MBC/2007)』

『コーヒープリンス1号店(MBC/2007)』(画像出典:MBC)

その他、同じ頃にはMBC『イ・サン(2007)』なども、日本で放送され人気を博していた。

2010年代前半 冷え込んだ日韓関係

2010年前後からは、“第2次韓流ブーム”が巻き起こる。東方神起(TVXQ)や少女時代(SNSD)、KARAなど、主にK-POPアイドルの活躍が目覚ましかったと言われている。

しかし同時に、政治的、歴史的イシューにより日本人の韓国離れが大きく進み、自ずとブームも衰退し、韓流ブーム史上最大の危機と言っても過言ではない時期を迎える。

それを支えたのが、『シークレット・ガーデン(SBS/2010)』と『華麗なる遺産(SBS/2009)』だった。

『シークレット・ガーデン』は、デパートオーナーのジュウォン(ヒョンビン扮)と、夢を追いかける男勝りのスタントウーマン、ライム(ハ・ジウォン扮)の魂が入れ替わったことから巻き起こる奇跡の恋を描いたファンタジー・ラブコメディー。2人のコミカルな掛け合いを楽しみ、ヒョンビンの胸キュン必至な演技にハマった人が多かった。

『シークレット・ガーデン(SBS/2010)』

『シークレット・ガーデン(SBS/2010)』(画像出典:SBS)

『華麗なる遺産』は、主演にハン・ヒョジュとイ・スンギを迎え、食品会社の御曹司ファンと、元社長令嬢ウンソンが偶然に出会ったことから描かれる、愛と笑いに包まれた感動ラブストーリーだ。日本では平日の午後2時からの”昼ドラ”と呼ばれる枠で放送されたにもかかわらず、予想外とも言える高い視聴率をはじき出し、多くの視聴者を楽しませた。

『華麗なる遺産(SBS/2009)』

『華麗なる遺産(SBS/2009)』(画像出典:SBS)

その他、『製パン王キム・タック(KBS/2010)』や、『トンイ(MBC/2010)』、『トキメキ☆成均館スキャンダル(KBS/2010)』、少し後には『星から来たあなた(2013)』が人気を支えた。

第3次韓流ブームの渡来

“TTポーズ”が話題となっていたTWICE(トゥワイス)が日本デビューし、BTS(防弾少年団)の日本7thシングル『血、汗、涙』が、海外アーティスト歴代最速で週間売上げ20万枚を突破するなど、彼らの人気が非常に高まっていた。またSNSを通して、韓国の化粧品やファッション、食品などが人気を牽引した頃でもあると言われている。

この際は、韓流ブームの危機を救ったというよりは、共にブームを支えたのが『トッケビ~君がくれた愛しい日々~(tvN/2016)』や『太陽の末裔 Love Under The Sun(KBS2/2016)』だった。韓国ドラマのクオリティーやスケールがアップし、見直されるようになった時期だと言える。

『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』は、不滅の命を生きるキム・シン(コン・ユ扮)と女子高生チ・ウンタク(キム・ゴウン/以下、ウンタク)のロマンスに、男同士の友情を加え、輪廻を題材に謎が解けていくストーリー。役者の演技はもちろんだが、映画のような映像美が群を抜いている。どの場面を切り取っても“美しい”の一言に尽き、多くの視聴者の心を捉えた。

『トッケビ~君がくれた愛しい日々~(tvN/2016)』

『トッケビ~君がくれた愛しい日々~(tvN/2016)』(画像出典:tvN)

『太陽の末裔 Love Under The Sun』は、医師モヨン(ソン・ヘギョ扮)と軍人シジン(ソン・ジュンギ扮)の2人が、海外派遣の地で様々な局面に立ち向かいながら愛を深めていく物語。仮想の国ウルクの異国的な風景を込めるためギリシャに渡り、エーゲ海などまるで絵画のように神秘的な映像が見る者を圧倒した。

『太陽の末裔 Love Under The Sun(KBS2/2016)』

『太陽の末裔 Love Under The Sun(KBS2/2016)』(写真提供:©スポーツ韓国、画像出典:KBS)

その他、『雲が描いた月明り』(2016)などもブームを支えた。

以降、OTTやVODの普及により、韓国ドラマをスマートフォンなどから視聴できる環境になっていき、冒頭で触れたように、ブームというよりは日常生活の一部となった人も。第2次韓流ブームの頃までとは、日本での韓国ドラマのあり方が変化していったといえる。

当初、視聴手段といえば、テレビやDVDのみだったものが、好きな時に、好きな作品を選択できるOTTやVODの登場で、韓国の作品の数々がさらに身近な存在となった人もいるのではないだろうか。リアルタイムで楽しめるようになったのも大きなポイントだろう。

また、取り扱われる作品数が多いことから、これまで日本では知名度の低かった俳優を知る機会にもつながり、来日してファンミーティングが開催される機会が増加。加えて、配信ラインナップにはバラエティー番組なども含まれ、新たな楽しみ方を見つけた人もいる。第2次韓流ブームの頃までとは、韓国ドラマがブームを支える方式が多少変化したと言えるかもしれない。

ちなみにこの時期には、JTBC『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~(JYBC/2018)』や、『100日の郎君様(tvN/2018)』などが人気を得ていた。

そして、コロナウイルスの蔓延により、人々の生活様式が急激に変化した2020年。

お家時間が増え、“第4次韓流ブーム”が到来した。落ち着きを見せていた“第3次韓流ブーム”の後、韓ドラファンでなかった人まで夢中にさせたのが、『愛の不時着(tvN/2019)』と『梨泰院クラス(JTBC/2020)』だ。

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こうして、韓流ブームが終焉を迎えると思いきや、人気を確保するのに一役買ってきたドラマの数々。現在もVODなどを通して視聴可能な作品がいくつかある。この機会にご覧になられてはいかがだろうか。

(構成:西谷瀬里)






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