【韓流20周年企画-『シグナル』編】2022年は、日韓同時開催が話題となったFIFAサッカーワールドカップから20年を迎える年となる。振り返ると日本の韓流ブームの歩みも、同じようなタイミングだったのではないだろうか‥今回は、韓国でも話題となったサスペンススリラードラマ『シグナル』にスポットを当てる。この作品が日本でリメイクされたことで、”ジャンルもの”と呼ばれる韓国ドラマが広まった。日本における、韓国ドラマの転機となった『シグナル』のエピソードを見ていこう。

2016年に韓国tvNで放送された、ドラマ『シグナル』。

このドラマは、天才プロファイラー、パク・ヘヨンとチャ・スヒョンが、ある事件の真相にたどり着くため、30年という時を超えた無線機1つでイ・ジェハンと繋がり、事件を解決していく。

『シグナル』はタイムループスタイルを加味したミステリー捜査劇

タイムループスタイルを加味したミステリー捜査劇、『シグナル』(画像出典:tvN)

主演にイ・ジェフン、キム・ヘス、チョ・ジヌンを迎え、無線機を使って過去と現在を繋ぐという、タイムループスタイルを加味したミステリー捜査劇だ。

元々、地上波であるSBSにて放送される予定だったが、ケーブルテレビのtvNで放送されることになった。

一部のドラマファンからは、似たような観点で『シグナル』が地上波で放送されたとすれば、ありふれたラブラインや、泣き叫ぶようなOSTであふれた作品になっていただろうとし、ケーブルテレビ(tvN)で放送されたことを幸いだと思う人が多いという。

天才プロファイラーパク・ヘヨン役に扮した、イ・ジェフン。日本リメイク版では坂口健太郎が演じている

イ・ジェフンが扮した天才プロファイラーパク・ヘヨン役。日本リメイク版では坂口健太郎が演じている(画像出典:tvN)

『シグナル』は、韓国で社会的に大きな反響を呼んだ実際の事件がモチーフになった作品で、2018年に坂口健太郎が主演、BTS(防弾少年団)が主題歌を担当し『シグナル 長期未解決事件捜査班』というタイトルで日本でもリメイクされた。

放送前、日本の韓国ドラマファンからは、韓国ドラマの持つ独特のテイストを日本のドラマに盛り込めるのか、さらに韓国が抱えている社会問題をどのように反映させるのかなど不安要素もあったよう。

実際、オリジナル版のヒット理由は、韓国国内で実際に起きた事件をモチーフにしていることだった。

これを考慮すれば、リメイク版でも日本であった実際の事件をモチーフにした話を扱わなければならないが、こうなれば他のドラマと言えるほど多くの脚色が必要になっただろう。

日本では吉瀬美智子が演じた、キム・ヘスが演じるキャラクターを

キム・ヘスが演じるキャラクターを、日本では吉瀬美智子が演じた(画像出典:tvN)

そして何よりも、オリジナルに盛り込まれた主題意識を、日本リメイク版でうまく生かせるのと心配する声が多かった。

ドラマファンが「『シグナル』で最も重要なのは、無線機ではなく「20年後の世界はそのままですか?」と聞いたイ・ジェフンの台詞だった」と語っているように、日本リメイク版が、作品に込められた社会批判意識を表現できるか、気になる反応が多ったという。

そのような懸念も見られた中、放送はスタート。

『シグナル 長期未解決事件捜査班』は、原作と雰囲気はもちろん、メインのセリフまで似ていたため、韓国ドラマ特有の雰囲気が再現されていた。

さらに、俳優たちの好演が重なり、第1話放送後の評価は非常に好意的なものが多かった。それは、原作が韓国ドラマだと知った視聴者から、オリジナル版も見てみたいといった声が聞かれたほど。

また、ドラマはあまり見ないK-POPファンが、BTSがテーマ曲を担当することで見てみたが、第1話でハマってしまい、最終回まで視聴してしまったという人も。

これ以前、韓国ドラマと言えば、涙無くしては見られない悲しい愛のストーリーや、テンポよく展開されるライトなロマンチックコメディーなど、恋愛ドラマが主流だった。

だが、本作が好反応を得たことで、韓国で*”ジャンルもの”と呼ばれる作品が日本にも浸透していく。

※ジャンルもの:サスペンス、スリラー、ファンタジー、ミステリー、犯罪などを描いたドラマや映画のこと

チョ・ジヌンが演じたイ・ジェハン役を、日本では北村一輝が扮した

イ・ジェハン役を演じた、チョ・ジヌン。日本版では北村一輝が扮した(画像出典:tvN)

『シグナル 長期未解決事件捜査班』の人気を受け、韓国ドラマ『ボイス(2017-2021)』シリーズも日本リメイク版の制作が決定した。

2019年に『ボイス 110緊急指令室』というタイトルで制作され、『シグナル』同様に多くの人気を得ており、”ジャンルもの”ドラマへの関心が一気に高まっていくキッカケとなっていった。

この現象を見ても、日本において、韓国ドラマを語る上で欠かせない作品となった『シグナル』は、まさに歴史的第1作目と言っても過言ではないだろう。

『シグナル』や『ボイス』が日本リメイクされたことで、注目が集まった”ジャンルもの”。これ以降、連続殺人鬼、不正警察、性犯罪など、緊張感と恐怖に満ちたサスペンススリラー系の韓国ドラマが、さまざまな動画配信サービスで公開されている。

これほど多くの秀逸な作品が誕生している今、これからも数多くのドラマが日本でリメイクされていくことだろう。


『シグナル』予告編

(構成:星野沙)






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