韓国ドラマ界に衝撃を与えた、SBS『朝鮮駆魔師』の歴史歪曲論争。これを受け、歴史学界や放送学界からは批判する声が届けられている。
現在、韓国ドラマ界に起きている危機。それは”歴史歪曲論争”により創作活動に制限がかかるという懸念だろう。
事の発端は、わずか第2話で放送終了という異例の事態に見舞われたSBSドラマ『朝鮮駆魔師』。初回放送で登場した数々のシーンについて、視聴者から「ドラマの中の設定と内容が歴史を歪曲している」という批判が殺到してしまった。この影響で、6月に放送を控えているJTBC『雪降花』も”歴史歪曲の懸念がある”とし、放送前にもかかわらず議論に巻き込まれている。
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第2話を持って放送終了となってしまった、ドラマ『朝鮮駆魔師』(画像出典:SBS)
このような状況に対し、歴史学界や放送業界では”行き過ぎた愛国主義”や”作家の想像力を制限する”などの批判の声が聞かれている。
韓国メディアの中央日報では、「カトリック大学韓国史学科のキ・ギョンリャン教授が、自身のブログを通じて”ドラマ『朝鮮駆魔師』は歴史歪曲と見ることは難しい”とし、”今回の件は今後、創作活動の萎縮など韓国社会に大きな傷として残るだろう”と主張した」と報じた。
フィクションをフィクションとして受け入れられない?
中央日報によると、キ・ギョンリャン教授は今回の歴史歪曲論争について「小道具などのディテールをファンタジーというジャンルの裏に隠れて雰囲気だけが出るようごまかしており、ドラマ側に全く問題がないわけではない」と前置きをした上で、劇中に登場したキャラクターやセリフについては「いかなる再構成や再解釈も許されないということは理解できない」と語っている。
続いて、「アメリカでは国民から偉大な指導者として仰がれているリンカーンだが、彼を吸血鬼ハンターという設定で小説と映画が制作されたことがある。しかし、自由民主主義社会ではこれを”歴史歪曲”だと批判するのはあまりに滑稽である」と説明した。
つまりキ教授が言わんとしているのは「創作物でこの程度のキャラクター設定もできなければ、その方がさらに問題だ」ということだろう。
さらに「ドラマ『風の絵師』では、朝鮮時代を代表する画家、シン・ユンボクを女性として描いており、映画『天軍』では、国民的な英雄、イ・スンシンをろくでなしと表現している。これらも明白な歴史歪曲である」と、キ教授は付け加えている。

2008年制作・放送された人気韓国ドラマ『風の絵師』金弘道(キム・ホンド)と、張承業(チャン・スオプ)を含めて「三園」と称されている申 潤福(シン・ユンボク)を女性として描いている(画像出典:SBS)
『朝鮮駆魔師』で爆発したのは、中国に対する不満?
では、ここまで大きな問題に発展してしまった理由は何なのだろうか。

登録者数1400万人を誇る人気中国Youtuber 李佳佳氏。彼女はキムチの作り方を紹介しながら、キムチを中国伝統の食べ物と紹介している(画像出典:Youtube スクリーンショット)
それは”中国に対して積もりに積もったものが原因”という見方がされている。
最近、キムチや韓服(ハンボク)、高句麗など、韓国の歴史と文化を奪っていくような印象を与える言動をしている、中国。さらに、中国資本が韓国のコンテンツに投入され、PPL(間接広告)など中国の影響力が断続的に現れているが、それによってコンテンツの質を下げるケースが多い。
『朝鮮駆魔師』でも中華料理を食べ、中国式の小道具が登場し、本来であれば韓国の食べ物や文化を表現すべきなのに、こうしたものが出てくると論理的ではないが「中国が関与し韓国のコンテンツを壊した」というフレームが組まれてしまっているという。
創作を邪魔する歪んだナショナリズム
今回、『朝鮮駆魔師』で生じた問題については、考証をしっかりすれば良いし、それが間違っていたら批判すればいいだけの話だ。しかし、大統領府に請願するなどし、実力行使を通じて存在すらできなくしてしまった。
自身が持っている倫理的当為と嗜好に合わないと判断したコンテンツに対して、愛国精神に基づいて非難するという姿は、韓国が批判している中国の一部の態度と大差はないだろう。彼らも愛国精神と言いながらも、実は危機感からそのような行動をしているからだ。
キ教授は「『朝鮮駆魔師』に突きつけたものさしを使えば、韓国で生き残れる歴史ドラマはない」と語った。
時代劇や歴史物語は様々な解釈を加えてこそ面白さが増すものだが、現在のような状況が続けば、今後、仮想世界をベースにした時代劇以外の作品を制作するのは難しくなるだろう。
これは韓国コンテンツの可能性を排除し、自ら足かせをはめている状態だ。韓国コンテンツ界において、これがとてつもない損失であることを早く理解すべきではないだろうか。
***
このように報じた中央日報以外にも、似たような批判をする韓国メディアも多い。創作する人を守り育てるために、ひねくれたナショナリズムを抑えるような報道も多く見られている。ドラマ批判を続けている一部の大衆に、この声が届くことを願う。
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