テレビ朝日で放送中の『六本木クラス』が、視聴率に陰りを見せている。これ以前にも、韓国原作の日本版ドラマは残念な結果を残してきただけに、今後の行方が懸念される。しかし、その逆もまた然りで‥。本記事では、日本のドラマを韓国リメイクし、その結果惨敗したケースに触れる。
テレビ朝日『六本木クラス』が、視聴率の低下に悩まされているようだ。
同作は超人気韓国ドラマ、JTBC(Netflix)『梨泰院クラス(2020)』の日本リメイク版として、制作段階から視聴者の関心を集めていた。
初回放送は9.6%という視聴率でスタート、以降第2話が8.6%、第3話が7.0%と、回を追うごとに下降線を辿っている。
これまでにも『梨泰院クラス』同様、いくつかのドラマが日本版として制作されてきたが、思わしくない成績となる傾向が強く、一部では“呪い”とまで表現されるように。
今回の成績はまるで、その“呪い”に信憑性を持たせるかのような状況だ。
例を挙げるならば、チャン・グンソクが主演を務め、本国はもちろん日本でも大ヒットを記録した『美男ですね(2009/SBS)』ではないだろうか。
キャストに女優の瀧本美織や、Kis-My-Ft2のメンバー玉森裕太、藤ヶ谷太輔を迎え、2011年にTBSで『美男ですね』という題名で放送されるも、特に注目を浴びることなく終わっている。
しかし、実はこの逆も然りだということをご存じだろうか。その代表的な例に、フジテレビ系『リーガル・ハイ(2012)』が挙げられる。
同作は、俳優の堺雅人が主人公を務め、視聴率14.5%という好成績を残した作品だ。ところが、韓国リメイク版の『リーガル・ハイ(JTBC/2019)』は、最高視聴率が3.3%で原作人気には及ばず、ひっそりと最終回を迎えた。
ある韓国メディアは、演技力に定評のあるチン・グと、期待の新星であった女優のソ・ウンスがダブル主演を務めたにもかかわらず、低視聴率を招いたことに言及し「ひどい結果だと言わざるを得ない」と報じたほどだ。
では、なぜ失敗に終わってしまったのだろうか。それには、いくつかの理由が存在していたと言われているが、代表的な意見には、“メッセージ性のなさ”が挙げられている。
原作の場合、第1話からテーマを視聴者に伝えようと、明確な表現、早い段階で主題の大部分を把握することができた。
これに対して韓国版は、2話まで見てもどのようなメッセージを伝えようとしているのか、作品の意図を理解するのに困るレベルだったという。
どうやら、今後の視聴率を左右する重要な初回放送で、多くの時間を登場人物の背景説明に費やしたことが起因となったようだ。これは作品本来の良さをもってしても、大きな損失であったと評価されている。
その他、韓国の視聴者に受け入れられやすいよう、キャラクターに説得力を持たせられなかったことが、視聴者の没入を妨げたという見方も。
『最高の離婚(2013/フジテレビ系)』や、『空から降る一億の星(2002/フジテレビ系)』、『リッチマン、プアウーマン(2012/フジテレビ系)』の韓国リメイク版も、日本での人気には及ばず仕舞いだった。
中には、『白い巨塔(2003/フジテレビ系)』の韓国版がMBCで放送され、最高視聴率20.8%を記録して好評を得たこともあるが、比較的、日本原作ドラマは成績不振という結果を残している。
ヒット作であるという理由だけでは、他国の作品を題材に成功を収めることは並大抵のことではないようだ。
(構成:西谷瀬里)
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