放送スタートから約1年がたった現在でも根強い人気を見せている、tvNドラマ『愛の不時着』。ヒョンビン扮するリ・ジョンヒョクの母親を演じた往年のスター女優、チョン・エリの異彩を放った演技が再注目されている。

ドラマ『愛の不時着』で北朝鮮の軍人リ・ジョンヒョクの母親役キム・ユンヒを演じた、女優のチョン・エリ。

劇中、美しい微笑みを見せるキム・ユンヒは穏やかで思慮深く、夫の意思に従い献身的に支えているが、息子であるリ・ジョンヒョクのこととなると真正面から立ち向かう芯の強い母親を演じていた。

出演分量は控え目なものの、没入感を高める優れた演技力を披露した彼女は、ストーリーに華を添え、さすがの存在感を放っていた。

女優チョン・エリ(写真提供:©スポーツ韓国)

それもそのはず、彼女は今年で芸歴48年を誇る、韓国ドラマ界には欠かせないベテラン女優だからだ。

1978年に女優デビューしたチョン・エリは、華やかなビジュアルと演じる度に増す演技力から、ドラマ主演の常連として活躍していた。当時、美人女優だけが出演できると言われた化粧品モデルにも選ばれ、ウォン・ミギョン、イ・ミスクとともに1980年代の女優トロイカとして芸能界に君臨したことでも知られている。

1980年代の女優トロイカとして活躍

“80年代の女優トロイカ”と呼ばれた3人は、それぞれのカラーを持っていた。

チョン・エリのグラビア写真

80年代、女優トロイカの一人、チョン・エリのグラビア写真 抜群のスタイルで世の男性を虜にした(画像出典:ファンコミュニティー)

トロイカのリーダーとして、ドラマとスクリーンを縦横無尽にし、数々の受賞歴を誇るレジェンド女優ウォン・ミギョン。
洗練された感覚とセンスで座中を圧倒するカリスマ性を持った女優であるイ・ミスクは、ペ・ヨンジュンと映画『スキャンダル(2003)』で共演し、大人の色気を漂わせた妖艶な姿で観客を魅了している。

映画『スキャンダル』に出演したイ・ミスク

ヨン様ことペ・ヨンジュン主演の映画『スキャンダル』で妖艶な演技を披露好評をうけたイ・ミスク(左からの1番目))(画像出典:映画『スキャンダル』

彼女たちと肩を並べるチョン・エリも、1984年に放送されたキム・スヒョン作家のドラマ『愛と真実』で、自身最高となる人気を築き上げた。
出生の秘密によって入れ替わった運命を生きることになる主人公を演じたチョン・エリは、このドラマで1985年『第21回百想芸術大賞』のテレビ部門最優秀演技賞をはじめ各種賞を総なめにするほど、国民からも絶大な支持を得ていたのである。

日本でも人気のドラマへ出演

優れた演技力で数多くのフィルモグラフィーを重ねた彼女は、日本で人気を博したドラマにも出演している。

SKYキャッスル~上流階級の妻たち~(2018)

高級住宅街”SKYキャッスル”に住むセレブな家族たちの熾烈な受験戦争と複雑な人間関係を描き、中毒性のあるセリフで視聴者を魅了したドラマ。

強めの母親像を演じたチョン・エリ(画像出典:JTBC)

チョン・エリは劇中、ハン・ソジンの夫、カン・ジュンサンの母親役ユン女史に扮している。
息子に対し24時間以上の教育熱と情報力を発揮し、息子を学力テスト全国首席にさせ、さらにソウル大学首席合格の栄光を手にした医師に育て上げた。子どもに対する自分の欲と執着を持つ、ハン・ソジン一家の悲劇の種でもある人物だ。

よくおごってくれる綺麗なお姉さん(2018)

ソン・イェジンとチョン・ヘインを主演に迎え、ただの知り合いだった2人の男女が恋に落ち、本当の恋愛になっていく様子を描いた純愛ストーリー。年下彼氏と年上彼女という恋人関係と、リアルに描いた恋模様に視聴者からは多くの共感が届いた。

弁護士イ・ギュミンの母親として登場したチョン・エリ。この親にしてこの子ありと思わせる、家父長的な考え方を持った役どころだ。

『愛の不時着』での良き母親役のように多くのドラマで良妻賢母を演じていたチョン・エリだが、このように悪女も多く演じている。
良い役も悪役もすべて演じられる彼女は、同時期に対極のキャラクターを演じたのだが、両作品を見た視聴者には同一人物だと気づかれなかったというエピソードも持つ、演技派女優の代表的な存在である。