KBS2『法に則って愛せ』が、好調な滑り出しを見せている。ドラマを盛り上げている出演者の1人がチャン・ヘジンだ。彼女といえば、韓ドラ界に欠かせない女優。しかし意外にも演技に自信が持てず、芸能界を離れた時期があった。
KBS2『法に則って愛せ』が、9月5日に初回放送を迎えた。
視聴率は第1話で7.1%を獲得。以降、多少下がるも最新話である第4話で6%を記録しており、多くの視聴者を楽しませている。
主演はイ・セヨンとイ・スンギで、2人の好演が注目されているが、脇役として登場するチャン・ヘジンもストーリーを盛り上げている出演者の1人。
キム・ジョンホ(イ・スンギ扮)が所有するビルの向かいにある、スーパーのオーナーに扮している。
小説家という肩書きを持つキム・ジョンホに対し、「お金を稼いでこそ職業と言える」と一喝する現実主義の平凡なおばさん役だ。
韓ドラファンなら名前までは知らなくても、顔を見ればピンとくる人も多いだろう。
チャン・ヘジンは『法に則って愛せ』以外にも、数多くの作品に携わってきた名バイプレーヤーの1人だ。
中でも、映画『パラサイト 半地下の家族(原題 기생충/2019)』での活躍が有名で、半地下家族のお母さん役を演じ、“一般の人を採用したのかな”と思わせるほど親近感のある演技が高い評価を得た。
そしてその後、tvN(Netflix)『愛の不時着(2019)』では、北朝鮮・平壌(ピョンヤン)最大規模のデパート社長で、愛する娘ソ・ダン(ソ・ジヘ扮)の幸せのためなら手段を選ばず滑稽な行動を見せる母親コ・ミョンウン役を務め、見事な平壌(ピョンヤン)マダムぶりはストーリーを豊かにしていた。
これ以外にも、『赤い袖先(原題:袖先赤いクットン/MBC/2021』では、東宮の至密尚宮(サングン)で、ドクイム(イ・ソラ/イ・セヨン扮)が幼い時には訓育尚宮を。
『女神降臨(tvN/2020)』では、イム・チュギョン (ムン・ガヨン扮)の母親役で、近所のおばさんたちの心をつかんでいるホン・ヒョンスクに扮した。
また今年放送の『グリーン・マザーズ・クラブ(JTBC)』では、我が子との精神的な共感に重きを置く母として登場。
その他、『椿の花咲く頃(KBS2/Netflix/2019)』や『賢い医師生活(tvN/2021)』シーズン2には特別出演していた。
この経歴から分かるように、韓国ドラマ界において欠かせない女優であるチャン・ヘジン。
しかし彼女には、約9年に渡り演技から離れた時期がある。
それは、デビュー作である映画『クリスマスに雪が降れば(1998)』に出演した後のことだった。
演技に対する自信がなく、幸せも感じられなかった彼女は、機械的に演じる自分の姿を見て女優を辞めることにしたのだという。
そして故郷に帰り、なんとスーパーの職員として働きはじめるのだった。売上げ№1になり表彰金をもらったこともあるほど、仕事がよくできたそうだ。また、デパートの販売員としてスカウトまでされたのだとか。
そんな中、ポン・ジュノ監督から連絡があり、映画『殺人の追憶(2003)』のオファーを受ける。
結局は断ってしまうのだが、一通の電話が彼女の心境に変化をもたらし、数ヶ月後にデパートを辞職、演技と少しでも関わっていたかったのだろうか、この間には演技スクールで広報マーケティングチームのチーム長として勤務した時期がある。
こうして女優という職業を離れて約9年が経った頃、ユ・アイン主演の『バーニング 劇場版(2018)』を手掛け、『オアシス(2002)』で第59回ヴェネツィア国際映画最優秀監督賞を受賞するなどの経歴を持つ、韓国映画界の巨匠イ・チャンドン監督から、『シークレット・サンシャイン(2007)』に出演しないかとの提案を受けた。
その際、「あなたはもう、(女優としての)感性は出来上っているよ」と言われたのだとか。
監督の言葉が決め手となったのかは分からないが、チャン・ヘジンはこれを機に再び役者の道を歩むことになった。
以降、スクリーンをメインに活動を繰り広げ、2018年からはお茶の間でも活躍するようになり現在に至る。
こうして長い空白期間にピリオドを打った彼女だが、本人は芸能界を離れたことがむしろ演じるのに大きな助けになったという。実体験を通して、日常の演技が磨かれたのだとか。
それはイ・チャンドン監督も感じたようで、「他の女優が持っていない感情を得た」と評価したという。
どうやら、9年という間に何気ない生活を送ったことが、彼女の高い演技力を作り上げたようだ。
(構成:西谷瀬里)
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