『太陽を抱く月』『キルミー・ヒールミー』など、多数の名作ドラマに出演し、長年にわたって韓国芸能界を支えてきた国民的女優キム・ヨンエさん。彼女は2017年4月、すい臓がんで帰らぬ人となった。悲報から5年が経った今、キム・ヨンエさんの逝去が韓国で注目を集めているという。その理由とは?

故キム・ヨンエさん(享年66才)の逝去が、韓国で再び注目を集めている。

キム・ヨンエさん

故キム・ヨンエさん(画像出典:太陽を抱く月 公式HP)

故人は、『愛の群像(1999)』『太陽を抱く月(2012)』『キルミー・ヒールミー(2015)』など、数々の名作ドラマに出演し、長年にわたって韓国芸能界を支えてきた国民的女優だが、2017年4月、すい臓がんで帰らぬ人となった。

当時、日本の韓ドラファンの間でも、大御所女優の逝去を惜しむ哀悼の声がたくさん寄せられたほど。

ではなぜ、悲報から5年が経った今、話題になっているのだろうか。

まず、故人のもう1つの肩書を知ってもらおう。

故キム・ヨンエさんは、女優として精力的に活動をしていた一方で、美容用の黄土パックを生産販売する企業、株式会社チャムトウォンの代表でもあった。

キム・ヨンエさんは株式会社チャムトウォンの代表でもあった

美容用の黄土パックを生産販売する企業、株式会社チャムトウォンの代表でもあったキム・ヨンエさん(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)

彼女の高い知名度を利用した事業は軌道に乗るも、2007年ある不祥事に見舞われてしまう。

何と、黄土パックから重金属成分が検出されたという衝撃的なニュースが報じられたのである。

これを報じたのは、食品と医薬品の有害成分を調査し、それを公表する事で有名なイ・ヨンドン氏(当時、KBSプロデューサー/以下 イ氏)。当時イ氏は、自分が制作していた『イ・ヨンドンの消費者告発』という番組で「チャムトウォンの黄土パックから、有害物質(鉄の粉)が見つかった」と報道。

チャムトウォン側は、製品から見つかった鉄の粉は、黄土の固有成分であると主張し、法的対応に踏み込むも、相手は大手テレビ局。しかも、製品の信頼度も地に落ちてしまい、故キム・ヨンエさんは黄土パック事業の廃業を余儀なくされてしまった。

それだけに留まらず、女優としての好感度も大きく下がり、約3年間の空白期を迎えざるを得なかった。

この時、故キム・ヨンエさんは想像を絶するほどのストレスに襲われたと伝えられるが、当時すでに彼女の身体からガンが見つかり闘病生活を送っていたことが後に明らかに。

いまだに彼女の逝去を悼む多くの人は、廃業と長引く裁判、窮地に立たされた女優生活が、彼女の症状を悪化させたと信じている模様だ。

結局、チャムトウォンの主張どおり、鉄の粉は黄土の成分であることが判明。しかし司法は、イ氏の報道に対してチャムトウォンの名誉を棄損する意図はなく、消費者の共益を守るための行為と判断。最終的に無罪判決を言い渡した。

故キム・ヨンエさんの逝去後、イ氏も番組制作を自粛していたが、思わぬところで故キム・ヨンエさんとイ氏の名前が登場する。

実は現在、韓国野党の国民の力党が、イ氏に政界入門を打診しているが、一部の反対党の議員がイ氏に対し「フェイクニュースを作り、韓国中が愛した女優を死に追い込んだ」と名指しで批判をしている。

これにイ氏も憤慨。自身が運営するYouTube(ユーチューブ)チャンネルに登場し「故人の死と私は関係がない。民事と刑事での責任を問われたが、すべて無罪で終わった」と反論。それとともに、誹謗中傷を繰り返すネットユーザーに対して告訴を行うことを知らせた。

すなわち、韓国政界の思惑や、イ氏本人の汚名返上への意欲が複雑に絡み、天国に旅立った大御所女優を召喚しているのである。

故キム・ヨンエさんはかつて、闘病中にもかかわらず、ドラマ撮影に挑み多くの人に感動を与えていた。

その時残した言葉は、いまだに多くの人に語り継がれている。

「死を前に惜しむことはありません。でも演技は惜しいです。これだけの俳優に成長するには40~50年かかりますから。それ以外は未練も惜しさもありません」

「俳優が素晴らしいと思いますか? いいえ。良い俳優、良い役は皆さんで作るものです。ですから、いつも周囲に謙遜しなければなりません」

「できるなら来世でも、もう一度俳優になりたい。生きていれば、泥に埋まったり、石につまずいたりすることもありますが、そのつど立て直してくれたのが演技でした」

大女優の名前が再び聞こえるのは、嬉しいことだが、ドラマの中で輝いていた姿ではなく、辛い想いを強いられたあの時の出来事にスポットライトが当たることに対しては、残念でたまらない。






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