【韓流20周年企画-あの大御所女優の思い出】2022年は、日韓同時開催が話題となったFIFAサッカーワールドカップから20年を迎える年となる。振り返ると日本の韓流ブームの歩みも、同じようなタイミングだったのではないだろうか。そこで今回は韓流20周年、あの大御所女優の人生と思い出を追ってみたい
明るく朗らかな笑顔が印象的で、韓国を代表する”母親役”を多くこなしてきた大女優、故キム・ジャオクさん。
さらなる活躍が期待される中、残念なことに2014年に帰らぬ人となってしまった。日本のドラマファンからも愛されていた彼女の、逆転人生を辿ってみよう。
女優トロイカとして活躍した1970年代
故キム・ジャオクさんは、1970年にMBC第2期公開採用タレントとして芸能界デビュー。愛らしいルックスと声でハイティーンスターとして活躍し、この人気により、1970年代を代表する女優へと駆け上った。
当時、テレビの普及によりドラマが映画の役割を果たすようになったこともあり、故キム・ジャオクさんはキム・ヨンエ、ハン・ヘスクとともに”女優トロイカ”と呼ばれるトップスターとして大衆から多くの愛を受けている。ほかの有名女優を霞ませるほど、故キム・ジャオクさんの人気は圧倒的だったそうだ。
次世代俳優に押され、人気が下降。そこで演じたのは官能映画
中年、老年の母親役を多くこなす女優の中でも、若い頃のキャリアは抜群に輝いていた故キム・ジャオクさん。
しかし、1980年代に入ると、その人気は次世代俳優の活躍に押され気味になってしまう。
主にドラマ作品を拠点としていたのだが、人気に陰りが見えてきたこともあってか、その後、官能映画にも多く出演することになる。
そのような中でも、優秀な成績を収めた作品も数多くある。この当時、確かに人気は下降気味だったが、興行記録だけを見れば誰よりも優れた成績を誇っていた。
バラエティー番組をきっかけに、第2の全盛期へ
そして迎えた1990年代、これ以降はバラエティー番組にもたびたび登場した故キム・ジャオクさん。
1996年、MBCのバラエティー番組『今日は良い日』にて、チョ・ヘリョン、ソ・チュンファらと共演した”プリンセス病 女子高生”というコンセプトキャラクターが空前の大ヒットとなった。
故キム・ジャオクさんが演じたのは、重症の”プリンセス病”にかかった女子高生の役。
例えば、入院中の先生の元へお見舞いに行くといったシーンで、周りはお金を集めて花を買って行こうと意見に対し、故キム・ジャオクさんはこう言うのだ。「あら、お花ってお金を払って買うものなのね! 私は”男の子たちが私に持ってきてくれるもの”だと思ってたわ」と。
“プリンセス病”キャラでお茶の間を笑いの渦に巻き込んだ故キム・ジャオクさんはその後、『プリンセスはさびしい』という曲で歌手活動をしたことも。
華やかなドレスに上品な手袋、ティアラを付けた”プリンセス”スタイルで歌うなど、ギャグと猟奇コードが一緒となったコンセプトで活動し、”第2の全盛期”と呼ばれるほど人気を集めていた。
その年を代表する女優から中堅俳優となってしまった故キム・ジャオクさんは、ここで再び全盛期を迎えることになった。
『私の名前はキム・サムスン』、『コーヒープリンス1号店』‥韓国を代表する”お母さん”に
朗らかで愉快、そして可愛らしいキャラクターイメージを定着させた故キム・ジャオクさんは、そこにデビュー当時から称賛を受けていた”演技力”をミックスさせ、多くのドラマ作品に出演。愉快なお隣さん、明るくユーモアあふれるお母さんと、大衆から愛されるキャラクターを演じていく。
その代表作と言えるのが、日本でも大ヒットとなったMBC『私の名前はキム・サムスン』とMBC『コーヒープリンス1号店』だ。
『私の名前はキム・サムスン』では、キム・ソナ扮するキム・サムスンの母パク・ボンスク役を、『コーヒープリンス1号店』では、コン・ユ扮するチェ・ハンギョルの母役を演じ、作品を大ヒットへと導いている。
突然やってきた、病魔との戦い
数々のドラマで母親役を担い、お茶の間に笑いと癒し、そして共感を届けてきた故キム・ジャオクさんだったが、第2の俳優人生を謳歌していた2008年、大腸がんという病に侵されてしまう。
だが、手術と抗がん剤による治療で回復し、芸能活動を再開。着実にドラマ、映画、芸能番組に出演しながら活動をほとんど休ませなかった。
2013年にはバラエティー番組『花より姉さん』にも出演し、闘病中の心境を吐露。同年放送となったSBS『3度結婚する女』にも出演し、元気な姿を見せてくれた。しかし、『花より姉さん』の撮影と放送に続き『3度結婚する女』は、結局彼女の最後の出演番組となってしまった。
実は、以前に発病した大腸がんが肺やリンパ腺などほかの臓器に転移した状態だったそうだ。そして、状態が急激に悪化してしまい、故キム・ジャオクさんは2014年11月16日に、63歳という若さでこの世を去ってしまった。
女優として2度のブレイクを迎え、あらゆる世代から愛されてきた故キム・ジャオクさん。彼女が韓国ドラマを通して披露した”母親”のと、バラエティー番組で披露した”プリンセス”姿は、この先もきっと多くの視聴者に勇気と癒しを届けるに違いない。
彼女が他界した時、多くのファンとメディアは「キム・ジャオクさんは”永遠のプリンセス”になった」と、その死を悔やんだという。
彼・彼女たちがキム・ジャオクさんに捧げた言葉のように、彼女は多くのドラマファンの心の中で”永遠のプリンセス”として生き続け、これからもその輝かしい笑顔を見せてくれるだろう。
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