• 【韓流20周年企画-あの女優さんの思い出】2022年は、日韓同時開催が話題となったFIFAサッカーワールドカップから20年を迎える年となる。
  • 振り返ると日本の韓流ブームの歩みも、同じようなタイミングだったのではないだろうか。
  • そこで今回は韓流20周年、あの女優の人生と思い出を追ってみたい。

韓国ドラマとともに愛されている、俳優たち。

中でも、日韓のドラマファンから特に親しみを抱かれていたのは、女優の故チョン・ミソンさんだろう。

韓国女優 チョン・ミソン

韓国女優 チョン・ミソン(写真提供:©スポーツ韓国)

チョン・ミソンさんは、高校在学中の1986年にMBC『サンタクロースはいるのか』でデビュー。

以後、ドラマ『ファン・ジニ(2006)』をはじめ、『製パン王キム・タック(2010)』『太陽を抱く月(2012)』『雲が描いた月明り(2016)』『応答せよ1988(2016)』、映画『殺人の追憶(2003)』など、数々の話題作に出演している。

スクリーンやドラマを通して、熱心に視聴者や観客に会い、自身の仕事を心から愛している様子を見せてきた名優だ。

日本でも大ヒットとなった、パク・ボゴム主演作『雲が描いた月明り』では、王の側室である淑儀朴(スギ・パク)氏に扮し、美しく端正な外見と優しい性格で、無力感に苛まれている王を温かく見守る姿を披露。また、『恋のスケッチ ~応答せよ1988~(邦題)』では、ドクソン(Girl’s Dayヘリ扮)一家の長女、ソン・ボラの現在(48歳)の姿として登場し、お茶の間を沸かせた。

チョン・ミソンは『製パン王キム・タック』で母親を演じた

『製パン王キム・タック』で母親を演じたチョン・ミソン(画像出典:Youtube スクリーンショット)

そして、数多くの人気作に出演してきた彼女を語る上で欠かせないのは、『製パン王キム・タック』だろう。

主人公を厳しく育てる一方で、温かな心を持つ母親役に扮し、”タック オンマ(お母さん)”という愛称で親しまれるように。日本でも長きにわたり、多くの韓流ドラマファンにその存在感を見せつけてきた。

そんな一方で、1990年代に放送されていたMBCバラエティー『今日は良い日』に長い期間出演していたことから、チョン・ミソンさんをお笑い芸人と勘違いする視聴者も多かったという。

遺作『王の願い ハングルの始まり』に出演しているチョン・ミソンさん

遺作『王の願い ハングルの始まり』(映画)に出演しているチョン・ミソンさん(画像出典:映画製作社 ドゥドゥン

ドラマ・バラエティーと、大衆に愛されていたチョン・ミソンさんだったが、残念なことに彼女はもうこの世にはいない。

2019年6月29日、突然この世を去ってしまったからだ。

この日は、舞台『実家の母と2泊3日』出演のために全羅北道(チョルラブクト)全州市(チョンジュシ)を訪れており、滞在先のホテルで、チョン・ミソンさんは心肺停止の状態で発見される。

全北(チョンブク)消防本部の関係者は「発見当時、チョン・ミソンさんは無呼吸ありで心肺停止の状態であった」と知らせた。

当時、所属事務所は「チョン・ミソンは普段からうつ病の治療を受けていた」と伝えたのだが、警察の発表によると「うつ病の治療は受けていない」とされ、一時は彼女の死因が謎に包まれる。

しかし、個人の身元保護のために医療保険で処理せずに治療すれば、その記録や資料が残らないため、警察が気付くことはない。おそらくであるが、チョン・ミソンさんは医療保険を使わずに、治療を受けていたのではないだろうか。

優れた演技力で、後輩から慕われていたチョン・ミソンさんは、芸能界では上下関係を重んじることなく、誰にでも”人と人”として温かな心で接していたという。また、普段から寄付や奉仕活動といった善行をし、困っている人々のために大きな愛を与えていた。

そんな風に、周りの人に常に思いやりと気遣いを見せていた彼女だけに、誰にも心配かけまいと、病気のことを伏せていたかったのではと推測する。

帰らぬ人となった偉大な女優、チョン・ミソンさん

帰らぬ人となった偉大な女優、チョン・ミソンさん(画像出典:ボアスエンターテインメント)

俳優としてだけでなく、プライベートでも惜しみない愛を送り続けてきたチョン・ミソンさん。出演した多くの作品が、現在もなお色褪せることなく愛され続けているのは、彼女の偉大な人柄ゆえなのかもしれない。






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