【韓流20周年企画-MBCドラマ『悲しき恋歌(2005)』ドラマ編】2022年は、日韓同時開催が話題となったFIFAサッカーワールドカップから20年を迎える年となる。振り返ると日本の韓流ブームの歩みも同じようなタイミングだったのではないだろうか。そんな時代に話題を集めた『悲しき恋歌』を振り返り、少々残念さの残るキャスティング秘話に触れる。

KBS2『冬のソナタ(2002)』のブレイクにより、かつて日本に韓流ブームが訪れた時代、注目を浴びたMBCドラマ『悲しき恋歌(2005)』をご存じだろうか。

『悲しき恋歌』

『悲しき恋歌』(画像出典:MBC )

当時既に、映画やドラマにおけるヒットメーカーと言われていた俳優クォン・サンウに、人気絶頂期だった俳優ソン・スンホン、韓国を代表する美貌を持つと評された女優キム・ヒソンが出演するとあって大きな話題に。

キャスティングが公開された時点で、本国はもちろん海外メディアに大きく取り上げられ、放送開始前から大ヒットを予感させていた。

クォン・サンウ(左)、ソン・スンホン(中央)、キム・ヒソン(右)は、『悲しき恋歌』にキャスティングされた

『悲しき恋歌』にキャスティングされたクォン・サンウ(左)、ソン・スンホン(中央)、キム・ヒソン(右)(写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)

日本での反応もまた然りだ。当時クォン・サンウは、SBS『天国の階段(2003)』が人気を博し、劇中、涙する姿が美しかったことから“涙の貴公子”と呼ばれ、多くの女性を虜にしていた。それだけに、彼の新作ドラマのニュースに喜んだファンも多い。

またソン・スンホンは、一大シンドロームを巻き起こしたKBS2『冬のソナタ(2002)』の四季シリーズ、KBS2『秋の童話(2000)』がブレイクしたことで、一躍韓流スターの仲間入りを果たし、日本人ファンは彼のさらなる活躍を期待していた。

ちなみに、クォン・サンウとソン・スンホンは、2002年公開の映画『ひとまず走れ』で一度息を合わせており、それがきかっけで毎日顔を合わせるほどの親友になったそうだ。彼ら自身も『悲しき恋歌』で共演できるのを楽しみにしていたのではないかと思われる。

こうして、世界中の韓ドラファンから大きな期待を背負って放送が開始された同作。

俳優陣の演技はもちろんだが、中でもジュニョン(クォン・サンウ扮)が涙を隠そうと帽子を深くかぶる仕草が印象的で、ドラマの名場面となった。

ジュニョン(クォン・サンウ扮)が帽子を深くかぶる仕草は、ドラマの名シーンとなった

ドラマの名シーンとなったジュニョン(クォン・サンウ扮)が帽子を深くかぶる仕草(画像出典:「ラジオスター」キャプチャー)

韓国のネット上では“やどかり演技”の愛称で親しまれ、バラエティー番組などでは真似をする芸能人が多くいたほど。

また最近も、『愛の不時着(2020/tvN)』に当該シーンのパロディーが登場して注目を集めたかと思えば、6月19日に放送されたSBSの音楽番組『人気歌謡』で、BTS(防弾少年団)のメンバーRM(アールエム)が曲のエンディングを“やどかり演技”で締めくくり、視聴者から熱い反応を得た。

BTS(防弾少年団)のRM(アールエム)が、SBS『人気歌謡』で“やどかり演技”を披露した。

SBS『人気歌謡』で披露したBTS(防弾少年団)のRM(アールエム)の“やどかり演技”(画像出典:YouTube SBS K-POP映像キャプチャー )

放送終了から約17年という長い年月を経てもなお、今日まで人々の記憶に深く残る『悲しき恋歌』の人気ぶりには驚かされる。

しかしその一方で、一部からは、遅いストーリー展開が視聴者の没入を妨げ、見所といえば華やかなキャスティングと、異国情緒漂う映像が全てだという評価を受けた。

これが理由だったのかは不明だが、日本でも『天国の階段』の視聴率と比較すると、芳しくない結果を残している。

また、冒頭で取り上げたソン・スンホンのキャスティングは幻となり、出演を期待していたファンにとっては肩すかしを食らったような残念さが残る作品となった。

彼が、尿検査を操作する手口で兵役を逃れようとしたことが発覚、最終的に入隊が決定し、ドラマから降板したことが原因である。

ちなみにソン・スンホンが担当するはずであったイ・ゴウン役は、俳優のヨン・ジョンフンが務め、ジュニョンとの友情を見事に描き出してドラマの見所の1つとなっていた。

ヨン・ジョンフンは、『悲しき恋歌』でソン・スンホンの代役を務めた

『悲しき恋歌』でソン・スンホンの代役を務めたヨン・ジョンフン(画像出典:MBC)

万が一、キャスティングの変更がなかったら、ソン・スンホンはイ・ゴウンをどのように演じただろうか。

プライベートで親友同士である韓流スター2人のケミストリーが、どのようなシナジー効果を生み出すのか、気になる韓ドラファンは多いだろう。

(構成:西谷瀬里)






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