韓国大手IT企業のカカオ(Kakao Corp)が、SMエンターテインメント(以下SM)を買収するとの報道が出た。CJによる買収を既成事実として受け入れていた韓国ネットでは、この意外な展開に驚きを隠せない。

スマートフォンメッセンジャー、カカオトークなどを展開する韓国大手IT企業のカカオ(Kakao Corp)が、SMエンターテインメント(以下SM)を買収するとの報道が出た。

スマートフォンメッセンジャー、カカオトークを展開しているカカオ

スマートフォンメッセンジャー、カカオトークを展開しているカカオ(画像出典:Google Play)

韓国の有力経済専門メディアの韓国経済TVが、本日(3月11日)カカオとSMがM&A(企業の合併・買収)に合意したと単独報道。

同メディアは、韓国投資銀行の消息筋を引用し「カカオがSMの大株主である、イ・スマン氏の保有する持分(18.7%)を全て買収する」とし「(買収条件として)現在の株価の2~3倍の価格を提示した」と解説している。

SMの総括プロデューサー、イ・スマン氏(画像出典:SMTOWN公式FaceBook)

SMの総括プロデューサー、イ・スマン氏(画像出典:SMTOWN公式FaceBook)

また「3月10日の終値を基準とすると、買収総額は1兆ウォン(約950億円)にも上る」と伝え、韓国芸能界における前例のない大型M&Aの誕生を予告した。

韓国経済TVは、韓国国内外の経済に精通している由緒あるメディアだ。それ故、カカオによるM&Aが現実味を帯びてきたと言える。

カカオがSMの株を高値で買収したのには、理由がある。

世界でシンドロームを巻き起こしているK-POPや韓国ドラマに加え、最近ではウェブ漫画も好調を見せており、IP事業(知的財産)を先占する必要が出てきたためだ。

カカオによるM&Aが実現すれば、IP事業の先駆けであるHYBE(ハイブ)を脅かす存在に浮上すると見られている。

元々SMは、CJ ENM(以下、SMとCJ)による買収が有力視されていた。

去る2月、SMの新しいオーナー候補として浮上していたCJ ENM (写真提供:©スポーツ韓国)

去る2月、SMの新しいオーナー候補として浮上していたCJ ENM (写真提供:©スポーツ韓国)

tvNやMnet、スタジオドラゴンなどを有するCJの思惑もやはりIP事業だ。今年2月には、SM買収の必要な資金調達ため、優良子会社の持分を売却するとも報じられている。

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しかし、2月中に締結すると期待されていたCJとSMの買収契約は実現しておらず、SMの新オーナーとしてカカオの名が浮上。

CJによる買収を既成事実として受け入れていた韓国ネットでは、この意外な展開に驚きを隠せない。特に、カカオは中国資本に多く占められていると主張しながら「イ・スマンさん、中国愛にも程がある」「SMの中国化が進むのか?」「K-POP・韓流の成功を中国に乗っ取られる危機が!」「売国行為は許せない」と、強く反発する声が多数あがっている。

東方神起やBoAなど、K-POP王国として君臨してきたSMエンターテインメント

東方神起やBoAなど、K-POP王国として君臨してきたSMエンターテインメント(画像出典:SMエンターテインメント)

カカオトークは、韓国のスマートフォンメッセンジャー市場の86%を占めており、国民的メッセンジャーと称されている。韓国ネットユーザーは、何を根拠に”中国資本の企業”と決めつけているのだろうか。

カカオの主要株主と持分を確認すると、確かに中国巨大IT企業であるテンセント(腾讯)と、その子会社が登載されている。が、その持分はわずか6.3%に過ぎない。

また、カカオへの経営参加のため、テンセントの役員がカカオの”社外取締役”を務めていたのだが、それも現在は全員が第一線から退いており、カカオの経営に参加するテンセントの役員はいないという。

すなわち、韓国ネットで囁かれている”SMの中国化”は、現地点では何の説得力もない。

イ・スマン氏は、過去に幾度となく「大衆文化のハブとして中国に拠点を作るべき」と訴えてきた。さらに、近年韓国社会で高まっている”反中感情”などが相まって、”SMの中国化”を懸念する声が拡大している。

韓国経済TVは「M&Aの合意に至ったカカオとSMが、公式発表のみを残している」と伝えている。




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