- “K-POP帝国”と呼ばれるSМエンターテインメント。創業者イ・スマン氏は、現在のK-POPの基盤を築いた人物。
- 彼が誕生させたのは、BoA、東方神起、EXO(エクソ)など、各世代を代表するアイドルばかり。
- 30歳を超えた今も変わらずパワフルなパフォーマンスで魅了するアイドルが多いSMは、まさに“K-POP帝国”である。
韓国の大手芸能事務所SМエンターテインメント(以下、SM)で、経営を巡る内紛が起きている。
2月10日、HYBEがSM創業者であり大株主であったイ・スマン氏の所有する株全量を買収したことが大きく報道された。
韓国メディアのスポーツ京郷(sports.khan.co.kr)によると、一部の業界関係者の間で「“HYBE+SM”という巨大恐竜の誕生で、SMが持っているカラーが失われ、K-POP全体の多様性も失うのではないか」との懸念の声が上がっているという。
また、ある大衆音楽評論家は「SMがK-POPのオリジナリティーを築いた最も歴史のある会社という点で、彼らが持っている象徴性が害を受けた」と話す。
SMのカラーや象徴性とはどのようなものなのだろうか。
SMは“K-POP帝国”とも言われているが、その所以はイ・スマン氏が現在のK-POPの基盤を作り、K-POP人気に大きく貢献した”立役者”だから。
長年、総括プロデューサーとして指揮を執ってきた彼は、1990年代半ばから韓国で流行り始めていたヒップホップと、日本のアイドルシステムを一早く取り入れ、ダンスミュージックやラップを駆使する新しいアイドルグループを誕生させた。
それが1996年にデビューした、SM最初のアイドルグループH.O.T.(エイチオーティー)。彼らは韓国でシンドロームを巻き起こし、K-POPの根幹を成した”第1世代アイドル”として活躍した。
その後は、BoA、第2世代の東方神起(TVXQ)、少女時代(SNSD)、SUPER JUNIOR(スーパージュニア)、SHINee(シャイニー)、第3世代のEXO(エクソ)、Red Velvet(レッドベルベット)と各世代を代表するアイドルを輩出してきた。
顔ぶれを見てもわかるように、SMにはいまだ現役で活躍し続けるメンバーが揃っている。これが“K-POP帝国”と呼ばれるSMの特徴でもある。
昨年(2022年)K-POP界は大型新人グループが続々とデビューし、第4世代グループが目覚ましい活躍を見せた。
アイドルのデビューはどんどん低年齢化しており、第4世代は2019年以降のデビューで、主に1990年代後半~2000年代生まれの若いメンバーで構成されている。
そのため20代後半ともなればベテラン。男性アイドルは入隊を迎え、除隊後の活動は“第2幕”として位置づけられる。
しかし、SM所属のアイドルらはどうだろうか。30歳を超えても変わらずステージに上がり続け、エネルギー溢れるパワフルなパフォーマンスを魅せている。
“K-POPの*ビッグ4”を見ても、SMほど“平均寿命の長い”アイドルを抱えている事務所はない。
*HYBE、SM、JYPエンターテインメント、YGエンターテインメントの4社
例えば、14歳という若さで日本デビューを果たした第1世代のBoAは、今36歳(以降、記載年齢は2023年2月現在の歳)。
第2世代、東方神起のユンホは37歳、チャンミンは誕生日の2月18日を迎えると35歳になる。少女時代はリーダーのテヨンが33歳、SUPER JUNIORの最年長イトゥクは39才。
SHINeeでは、俳優としても活躍中のミンホと、2月13日に2ndフルアルバムを発売したキーがともに31歳。
第3世代のEXOは、2月5日に軍服務を終えたベッキョンが30歳、昨年初めてのソロアルバムを発売したシウミンは32歳。Red Velvetは、最年長でリーダーのアイリーンが31歳。
ここで全員を紹介することはできないものの、他にも“オーバー30”のメンバーはまだまだいる。
30代になった彼・彼女らが、今も変わらずアイドルを続けられていることがSMを象徴する特徴でもある。
K-POP界で囁かれる”魔の7年目のジンクス”を通り抜け、いまだ現役で活躍するSMのベテランアイドルたち。
息の長い活動を続けているアイドルを多く抱える“K-POP帝国”には、“オワコン”は存在しないようだ。
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