24日、韓国音楽シーンのレジェンド、ソ・テジが自身のインスタグラムに近況を公開した。1992年デビュー以来、韓国の”文化大統領”と称されるソ・テジの半生に迫ってみる。
歌手のソ・テジが、ファンへ安否の報告とともに、家族との幸せぶりをアピールした。
今月24日午後ソ・テジは、自身のインスタグラムに「メリークリスマス! フォロワーたち、皆元気にしてますか?」というコメントとともに、愛娘であるジョンダムちゃんの写真をアップ。
ドラムセットの前でポーズをとっているジョンダムちゃんの手には、ドラムスティックが握られており、まるで演奏中のように見える。親譲りの”音楽的才能”に驚いたファンからは「さすがです」「大きくなったら韓国を代表するミュージシャンになって!」など、期待と祝福にあふれるコメントが寄せられている。
韓国の音楽シーンにおける新境地を開拓したと称される、ソ・テジの愛娘であるだけに、膨らむファンの期待感は当然だ。
音楽産業が一気に飛躍した1990年代以来、韓国には2人の大統領が存在する。
5年に1度、選挙により変わる国家元首の大統領と、永遠に変わらない”文化大統領”がそれだ。
もちろん、文化大統領は韓国憲法に定められたポストではない。音楽を通して人々に大きな影響を与え、思想やイデオロギーまで操れる”絶対権力”を持つ者に、自ずとなれるポストなのだ。
1992年のデビューから28年という歳月が経っても、文化大統領の座を守り続ける人‥ソ・テジ、本名 チョン・ヒョンチョル、今年で48歳。
X JAPANを愛する少年、韓国の文化大統領に
高校を自主退学したソ・テジは、X JAPANを愛する青年だった。
当時、韓国の有名バンド『シナウィ』のリーダーの目に留まり、同バンドのベーシストとして加わることになる。しかし、メンバー同士の不協和音が生じ、バンドは解散。
職を失ったソ・テジは、韓国よりバンド音楽が進んだ日本に憧れ、日本での活動を模索する。
彼の芸名である”ソ・テジ(SEO TAIJI)”の”テジ”は、X JAPANのメンバーTAIJIに憧れて作られたという説があるくらい、彼はX JAPANの”ヲタク”だった。
日本でX JAPANのようなバンドマンになるため、日本語の勉強に勤しんでいた矢先、突然、漠然と描いていた画期的なダンスグループを作りたいという計画を実行することになる。以降、半年間自分の部屋に籠り、ラップとデジタル音楽に没頭する”修行期間”を経たソ・テジは、1992年韓国大衆音楽の歴史を塗り替えたと評される『ソ・テジと子供たち(TAIJI BOYS)』を自ら作り上げ、チームの一員としてデビューする。
高い音楽性と大衆性は、瞬く間に韓国の音楽ファンを虜にし、ソ・テジ本人は、終身(?)文化大統領として慕われるようになる。
K-POP帝国の基盤を作ったソ・テジ
彼の功績の一つが、アメリカの黒人音楽の代名詞とも言われるヒップホップの”韓国化”である。
80~90年代頭の韓国音楽界が、J-POPを模倣してスケール拡大を図ったとすれば、90年代半ばからは、ソ・テジの登場により、黒人音楽をベースとするダンス音楽が主流となり、今や世界から注目されるジャンルになったK-POPの基盤を作ったと言われている。
ソ・テジが1995年に発表した『COMEBACK HOME』は、SM企画(現 SMエンターテインメント)のイ・スマン代表に大きなインスピレーションを与える。
イ・スマン代表は、ソ・テジが引退(後にカムバックする)を発表した1996年に、H.O.Tと『戦士の末裔』を世に送り出す。10代の悩みと迷い、家出のメッセージなど、『COMEBACK HOME』を連想させる同曲は大ヒットし、韓国第1世代アイドルの全盛期が幕を開けた。
そして第1世代の時代が終焉を迎え、東方神起やBIGBANGなど第2世代の時代の幕が上がると、もはやK-POPは、韓国人だけが楽しむ音楽ではなくなっていた。中国や台湾などの中華圏から日本、ひいては東南アジアまで、その勢力図を広めたのだ。
現在は、BTSやBLACKPINKを筆頭に、世界各地で大きな人気を博しているK-POP‥その始祖がソ・テジであることに異議を唱える韓国人はいないだろう。家族思いの優しいパパになった”文化大統領”の帰還は、遠くないようだ。
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