久しぶりに『アユクデ(アイドルスター選手権大会)』が復活することになった。『アユクデ』は会場でファンが大きな声援を送るのが名物であり、そんなファンにアイドルがお弁当を差し入れすることが恒例となっている。しかし今、その”お弁当サポート”に議論が起きている。

かねてから何かと物議をかもしてきた『*アユクデ』がいよいよ復活する!

*アユクデ:『アイドルスター選手権大会(旧称:アイドルスター陸上大会)』の略称

アユクデに参加したTWICEもファンにお弁当を準備

アユクデに参加したTWICEもファンにお弁当を準備 (画像出典:TWICE 公式Twitter)

まもなく収録をむかえる中、韓国のオンラインコミュニティーでは、『アユクデ』の象徴となっているアイドルの”お弁当サポート”について議論が起こっている。

7月19日、韓国の放送局MBCは、2022年『アユクデ』のメインMCを、チョン・ヒョンム、FTISLANDのイ・ホンギ、TWICEのダヒョンの3人が務めることを発表した。

行われる競技は、陸上(短距離・リレー)、アーチェリー、フットサル、eスポーツ、そして新種目のダンススポーツ。収録は、7月30日と8月1日の2日間にわたって行われる予定だ。

『アユクデ』は、K-POPアイドルが一堂に会す運動会であり、会場に集まったファンが推しグループを熱烈に応援する光景がお決まりだ。

ファンが観覧できることには「たくさんのアイドルを見られるし、真剣にスポーツをする推しの姿も見られる、ましてやそれが無料だなんてうれしい」と安易に想像してしまうが、実際は収録時間がかなり長く、中には朝6時に入場し夜10時に終了と、14時間にも及ぶ撮影となることもあったという。

収録に参加するファンには大きな負担がかかっているようだ。ましてや1日がかりの収録となると食事も心配になるが、なんとファンにはアイドルからお弁当の差し入れがあるようだ。

これは『アユクデ』の象徴として定着し、最近では参加アイドルの大部分が、昼食と夕食、おやつまで準備している。しかし、このお弁当サポートは時が経つにつれ、問題が生じ始める。

大手事務所の人気アイドルが豪華な差し入れをする中、「うちのアイドルのお弁当はこれか・・」とグループでの格差が見え始めたからだ。

SNSにはファンのお弁当認証写真が続々と上がり「今回は〇〇のお弁当が良いね」「△△は微妙」「やっぱり大手は違うわ」など、お弁当品評会が相次いでしまったという。

OH MY GIRLはお弁当にメッセージを添えてプレゼント

OH MY GIRLはお弁当にメッセージを添えてプレゼント (画像出典:OH MY GIRL 公式Twitter)

そして先日、韓国のオンラインコミュニティーに「なぜお弁当はアイドルが買わないといけないのか?」という問題提起がされ、今ネットユーザーの間では、”お弁当論争”が巻き起こっている。

コメントを見てみると「アイドル別にお弁当を比較されてるのがすごく悲しかった」「参加者が自分で用意して参加すれば良いのに」「そこまで長時間の収録なら、途中で外に食べに行けたらいいね」「そもそも出演者が準備するのはおかしい。放送局が準備するべきでは?」などの意見があった。

中には、過去にニュースなどで取り上げられた制作側の声も紹介されている。

2017年開催時の制作スタッフは「スポーツ競技場や大型コンサートを訪れた観客に食事を提供しなければならないでしょうか?」と慎重に立場を伝え、「今回は、スポーツ競技のように自由に入場と退場が可能で、希望するなら外に出て食事をして来ることもできるシステムだった」と伝えた。

しかし実際は、収録が行われた体育館は交通が不便な上に、周辺には食事できるような施設もなく、外食するには難しい環境だったようだ。

SEVENTEENは、ファンに準備したおやつと一緒に記念ショット

SEVENTEENは、ファンに準備したおやつと一緒に記念ショット (画像出典:SEVENTEEN 公式Twitter)

また、制作側はお弁当やおやつの準備に負担を感じるアイドルがいることを理解しており、「心では制作側が全て準備してあげたいと思っているが、制作費など色々な条件が合わない」と伝えている。

このことについてネットユーザーらは、「お弁当とかを準備できないなら、違う選択肢を用意するべき」「企業の協賛を受けて観客に配るとか、その程度の協賛も受けられない放送局が力不足」「食事を準備する費用も無いなら、放送しなければ良いのに」「アイドルにばかり負担をかけ過ぎだ」と批判的な声が上がった。

中には「アイドルを人質にして、無料でファンたちの労働力を奪っている」「他の番組では観客にご飯もくれるしお金もくれるのに、アイドルが出る番組はファンが勝手に来てくれるから敢えてくれないのでは?」「『アユクデ』はアイドルのファンを良いように利用している」などの過激な声も上がっている。

ファンの負担を考え、「無観客でやれば問題が無くなるのでは?」という意見もあるが、『アユクデ』はアイドル運動会というバラエティー番組の一面もある。

TV番組では、報酬を渡しエキストラに収録に参加をしてもらう場合もあるが、『アユクデ』はアイドルがファンに向けてアピールする姿や、客席で一生懸命に応援するファンの姿、体育館に掲げられたファンお手製の垂れ幕など、全てが魅力につながっている。

実際に無観客での開催となった場合、『アユクデ』の魅力も半減だろう。

以前は、アイドルとファンの交流を伝える温かいエピソードに溢れてた”お弁当サポート”は、今や『アユクデ』の開催さえを不安視する声が増え、「そもそもなぜお弁当をアイドルが買わないといけないのか?」という”お弁当論争”まで生んでしまった。

果たして今回の収録はどうなるのだろうか。収録に参加するファンの後日談に多くの関心が集まりそうだ。

(構成:酒井知亜)






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