- 日本で本格始動した“MISAMO”に、韓国ファンからも熱い声援が送られている。
- しかし韓国では、中国人アイドルの自国での活動に、否定的な態度を見せる人もいるという。
- 韓国内では、日本と中国のアイドルの本国活動に対する反応が大きく異なるようだ。
“MISAMO”として活躍中の、TWICE(トゥワイス)の日本人メンバー・ミナ、サナ、モモ。3人の日本での活動には、韓国の音楽ファンからも大声援が届いている。
7月26日に発売の日本1stミニアルバム『Masterpiece』のリリースに合わせ、日本で初めてのショーケースを開催した、MISAMO。
彼女たちの活躍は、日本だけでなく、多数の韓国メディアも絶賛し、3人の更なる飛躍に期待の声が寄せられている。
今やK-POPグループに、日本人や中国人メンバーは欠かせない存在になっているが、実のところ韓国では、外国籍メンバーの本国での活動を良しとしない人も多いという。
特に、韓国で人気を得た中国人アイドルに対しては、自国での活動に、懐疑的や否定的な反応が上がることもある。
しかしなぜ、日本人アイドルと中国人アイドルで、ここまで違う反応を見せるのだろうか。
ここで考えられる背景は2つ。まずは、中国人メンバーには、韓国で認知度を手に入れた後、拠点を中国に移すというイメージがあるからのようだ。
過去には、中国出身アイドルが所属事務所に対し、専属契約の解除を求める事例が度々発生しており、グループ脱退や韓国での活動を休止するといった事態も起きている。
SUPER JUNIOR(スーパージュニア)は、2009年に発表した『SORRY, SORRY』が爆発的にヒットし、大スターへと躍進したが、その年、中国人メンバーのハンギョンが、SMエンターテインメント(以下、SM)に専属契約の無効を求める訴訟を起こし、中国へ帰国。翌2010年、正式にグループを脱退した。
さらに、同じSM所属のEXO(エクソ)も、人気絶頂時の2014年頃に、中国系カナダ人のクリス、中国人のルハン、タオの3人のメンバーが相次いで事務所相手に専属契約の無効訴訟を起こしている。後にグループを去った彼らは、活動拠点を中国に移した。
続いて、本国活動に対して異なる反応が見られる、2つ目の背景は、中国人アイドルの共産党支持、歴史に関する発言が影響していると考えられる。
今年(2023年)4月、Mnetのオーディション番組『BOYS PLANET(2023)』から誕生した、ZEROBASEONE(ZB1)で、最終順位1位となったのは、中国人メンバーのジャン・ハオだった。
彼にはファンからの熱い声援と期待の声が寄せられたが、韓国オンラインコミュニティーでは、ある議論も浮上した。
それはジャン・ハオが、“抗米援朝”を主張する中国共産党の青年団体である公庁団が主催した、共産党100周年祝い行事に参加していたという、彼の過去に関する内容だった。
“抗米援朝”とは、朝鮮戦争の際、中国側が国民の愛国心を煽り、政治宣伝を行うため、スローガンのように掲げていた言葉。
1950年に勃発した朝鮮戦争は、北朝鮮の侵略によって勃発した争いとして知られているが、“抗米援朝”の思想を持つ中国共産党は、北朝鮮が侵略をしたという事実を認めず、朝鮮戦争の際にアメリカに立ち向かい、朝鮮半島の人々を救ったという考え方を貫いている。
そのため、歴史的な事実を中国側が歪曲していると反発する韓国人の中で、ジャン・ハオの過去にも、否定的な反応を見せた人がいたのである。
(関連記事)BOYS PLANET 選抜1位 ジャン・ハオ、韓国ネット上で議論となった「抗米援朝」とは
またこれまでに、韓国芸能界で活躍する中華圏出身のアイドルが、SNSで中国政府を支持する発言をし、物議を醸したことがあるため、韓国内には、彼・彼女らに良い印象を抱いていない人もいる。
しかしアイドルが、韓国で活動しながらも祖国を支持する姿勢を見せることに「仕方がない」「中国アイドルの立場を理解するべき」という擁護派もいるよう。
2021年、中国政府が、“*整風運動”を強化させ、K-POPアイドルのファンダムに様々な制約を施したことが話題になった。
*整風運動:1940年代当時、中国共産党が党内の誤った風潮を正すことを骨組みとした政治運動。現在、習近平(シュウ・キンペイ)政権が、様々な分野で規制の手綱を引き締めている。
当時、政府は、アイドルのオンラインファンクラブを取り締まり、15万件以上の書き込みや写真、映像を削除、4000個あまりのアカウントの閉鎖や一時停止を行った。
つまり中国人アイドルも、政府からの強い圧力を受けており、それに従わないと本国での活動が難しくなる。そのため韓国内にも「彼らは政府の顔色を窺う立場なのだ」と理解を示す人もいるようだ。
一方で、韓国人のアイドルファンは、日本人アイドルに対しては、真面目で誠実なイメージを持っている。
IZ*ONE(アイズワン)を生んだ、Mnetの日韓合同オーディション番組『PRODUCE 48』でトレーナーを務めたペ・ユンジョンは、番組を通じて最も実力が向上したメンバーに、当時HKT48のメンバーでもあった矢吹奈子を挙げた。
彼女は、最初のレベル評価で、ペ・ユンジョンから最低ランクの“F”を付けられている。
しかし挫けることなく、Fクラスで懸命に練習に取り組んだ結果、再評価テストではトレーナーたちから称賛をうけ、最高ランクのAクラスに昇格する快挙を遂し遂げている。
韓国の人たちには、日本人アイドルが目標に向かって努力をし、自身の夢のために韓国で頑張るんだという前向きな姿勢が感じられるようだ。
しかしかたや、中国人アイドルに対しては、過去の経験上「韓国で活動しても、軌道に乗れば本国に帰ってしまうのでは?」という懸念が拭えず、韓国を出世の土台として利用している、といった厳しい見方や勝手なイメージを抱く人もいるよう。
今回、“MISAMO”の日本活動においては、韓国内から大きな声援が寄せられた。
そのことからも、K-POP界の日本人アイドルと中国人アイドルの本国での活躍に対する反応には、韓国国内で大きな温度差があることがわかる。
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