- K-POPが”売れている”指標を示す用語はますます多様化している。
- 用語があまりに複雑なので読み飛ばしがちだが、アーティストやファンにとっては生命線とも言える大切な指標。
- 今回はよく使用される用語「PAK」「RAK」について分かりやすく解説。
K-POPに関するニュースを見る際に「PAKを獲得した」「RAKを達成した」という表現を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
音楽を取り巻く環境が目まぐるしく変わる状況の中で、SNSなどではK-POPに関する新しい造語や略語が日々量産されています。
何か素晴らしい記録のようだということは雰囲気から感じ取れても、いちいち深く考えないという場合もあるでしょう。
音楽のサブスクリプションサービスの登場によって、アーティストや楽曲を評価する指標は「CD売上枚数」だけでは無くなりました。
つまり、どの楽曲が”売れた”と言えるのかが以前よりも複雑化したのです。
用語が増えたということは、音源が”売れた”かどうかを測る指標そのものが増えたとも言えます。
なぜK-POP界では音源成績が重要なのか
実際のところ、音楽そのものが楽しめれば音源成績には興味が無いという人も多いのかもしれません。
しかしアーティスト達にとっては、今後の活動に直結する大切な指標となる場合もあるようです。
韓国で2009年7月に発表された「芸能人標準契約書」によって、芸能人と所属事務所の専属契約の期間は最長『7年』までという内容が定められました。
歌手の場合は明確な制限は無いものの、7年を過ぎれば契約解除を主張できるようになります。
もちろんこれはアーティストを守るための仕組みであり、当人達が望めば再契約をして活動期間を延ばすことも可能。
(関連記事)魔の’7年目のジンクス’はもう昔話? K-POP界の新しいトレンドとは
しかし、それが出来るのはあくまでも”売れている”アーティストの話。
実際は”7年目”までに一定の音源成績を残せなければ、待っているのは結局のところ『魔の7年』です。
7年を待たずして事務所から活動できる環境を用意されなくなり、実質活動休止状態になるアーティストも。
そんなアーティスト達にとって、7年という期間は長いようで短いとも言えます。
だからこそ、音源成績はアーティスト達にとっての”生命線”。
活動を続けてほしいと思う日本のファンにとっても、一喜一憂する要素となっているのです。
RAKとは
『RAK』とは『リアルタイム・オール・キル(Real Time All Kill)』の略語。
楽曲を対象にした、ランキングチャートに関する用語です。
Melon、genie、FLO、Bugsという韓国の主要な4つのデジタル音源配信サービスの、全ての『リアルタイムチャート』で1位を獲得することを言います。
リアルタイムチャートとは、直近1時間の利用量ランキングチャートのことを指しています。
genie、FLO、Bugsの3つのサービスは、現在でもこの1時間ごとのランキングを出しています。
しかし最大手のMelonでは2020年にこの制度を廃止。
これはランキングを上げたい楽曲を再生し続ける『スミン(ストリーミングの略語)』と呼ばれる行為が過熱し、正確なランキングが出せなくなることを防ぐためとされています。
現在Melonでは、直近24時間の利用量と、直近1時間の利用量を50%ずつで算出した『TOP100』というランキングが『リアルタイムチャート』として使用されています。
PAKとは
『PAK』とは『パーフェクト・オール・キル(Perfect All Kill)』の略語です。
これを達成するには『RAK』に重ねて、さらに難易度の高い条件が必要になります。
まずひとつは、対象の楽曲が各デジタル音源配信サービスのデイリーランキング(日間チャート)で1位を獲得すること。
これにより、先述の4つのデジタル音源配信サービスに加え、YouTube Music、VIBEが条件に加わります。
次に『iChart』のウィークリーランキング(週間チャート)の1位と、1時間ごとのリアルタイムチャートの1位を同時に獲得すること。
これが『PAK』の達成条件です。
『iChart』は先述した6つのサービス(2023年4月現在)での成績を、独自のポイント換算でランキングにした総合音楽チャート。
この『iChart』が付ける『PAK』マークは、何かの公認を受けているものではありませんが、獲得する難易度が非常に高いため、楽曲の人気を評価するひとつの指標となっています。
この『PAK』が獲得できれば、間違いなく”売れている”楽曲だと証明することが出来るでしょう。
PAKを達成したアーティスト
では、これまで『PAK』を達成したのはどのようなアーティストだったのでしょうか。
『iChart』のサービスが開始したのは2010年。
初めて『PAK』を達成した楽曲は、IUと2PMスロンのデュエット曲『잔소리(チャンソリ)』でした。
IUは、2010年からこれまでの間に21もの楽曲で『PAK』を達成しており、これは次に続くBIGBANGの7曲と比較しても随一の楽曲数といえます。
IU『잔소리 (With 2AM 슬옹)』(動画出典:MBCkpop)
そして最近のPAKに関するトピックといえば、それまで圧倒的首位をキープしていたBTSの『Dynamite』のPAK達成回数記録を、超大型新人NewJeansが破ったこと。
2022年12月19日にリリースされたNewJeansの『Ditto』は、2023年2月1日、それまでのPAK歴代最多達成回数だった『Dynamite』の611回という記録を塗り替えました。
その後、IVEの『Kitsch』が4月3日にPAKを達成するまでの間、655回まで記録を伸ばしました。
この『Ditto』の655回は、現在もPAKの歴代最多達成回数記録を守っています。
NewJeans『Ditto』Performance Video(動画出典:NewJeans公式YouTube)
もはや誰にも破ることは出来ないだろうと思われていたBTSの記録。
しかもそれを破るのがデビュー1年未満の新人アイドルだとは、誰も予想できなかったでしょう。
今度こそ誰も破ることは出来ないだろうと思っていても、いずれまたそれを破る者が出てくるのがK-POPの醍醐味とも言えます。
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