ラジオDJであり、韓国大衆文化ジャーナリストであり、何より韓流ファンミーティングMCのパイオニアである古家正亨さんに、今月よりご登場いただいている『古家正亨の韓々学々』!
第2回コラムは『ファンミーティングイベント』について。
MCという立場から、涙ぐましい工夫をされているのが分かります‥(涙)。

アンニョン! 古家正亨です。前回はファンミーティングについて、その起源についてお話させていただきましたが、今回は、ファンミーティングというイベントに関するお話をしようと思います。

僕はラジオのDJから仕事のキャリアをスタートしていて、当初は韓国関連のイベントよりも日本のアーティストや俳優さんとお仕事することが圧倒的に多く、2004年にドラマ『冬のソナタ』がNHK総合(つまり地上波)で放送されるようになってから、韓流スターが続々と日本に上陸するようになり、それ以降、韓流関連のイベントの司会をすることが一気に増えたんです。そして、そんな韓流イベントの現場に行くたびに見られた、日本のイベント関係者の戸惑いは、20年近くたった今でも忘れられませんし、今も度々、そんな“戸惑い”を現場で見かけます。

日本のスタンダードは決して韓国のスタンダードではない

個人的には、韓国に留学したり現地で生活したりしていましたから、韓国と日本は似ているようで、まったく(!)非なる国であることは十分熟知していたので、現場でも「韓国では、こうだからなぁ」と思いながら仕事をしていて、それほど大きな戸惑いはありませんでした。が、日本のスタンダードは決して韓国のスタンダードではないことに、きっと同じアジアの国でありながら、その考え方の相違に日本側のスタッフさんは相当、驚かれたことと思います。では、どんなところに現場のスタッフさんたちは戸惑われたのでしょうか。その違いを知ることで、韓国と日本の違いを知り、日韓間に渡る諸問題を解決できるヒントがあるかも知れません。

そこで今回は僕が20年の経験から、個人的に感じた、ないし現場のスタッフさんが戸惑ったいくつかの違いを挙げていきたいと思います。

2017年にタイで行われたファンミーティング

2017年にタイで行われたパク・ヘジンのファンミーティング。(写真提供:©スポーツ韓国)

当日にならなければ、どんなイベントになるかわからない

もちろん、台本はあります。タイトルも決まっています。でも、韓国関連のイベント、特に僕もよくかかわるファンミーティングは、当日になってみなければ、どんなイベントになるか見当もつかないのです。これは日本のイベント主催者と韓国側の芸能事務所とのコミュニケーション不足いうよりも、アーティストのマネージメント担当者とのコミュニケーションがうまく取れていないというのが一番大きな原因ではないかと思います。

前もって強調して言っておきますが、すべてのアーティストや俳優さんを対象として言っているわけではありません。でも主人公であるスターがイベントに関して、当日の打ち合わせやリハーサルを行うまでイベントについてよく理解できていないケースも多々あります。当然、前回お伝えしたようにファンミーティングそのものが、ファンが主宰する“ファンの集い”の意味合いが韓国では強いため、日本側は“興行”として行うという意識が強くても、韓国サイドはそれほどの重みをもって準備しているわけではなく、良い意味でよりスターの素の姿を見てもらうための、特別な演出を避ける傾向があります。もちろん、イベントを命がけ(!?)で準備して、日本側も驚くほどのコンテンツを用意してくれるスターや韓国側の関係者も中にはいますが‥。

僕は司会の立場で韓国関連のイベントに携わっているが故、ファンの方からよく「どうして韓国のファンミは内容がワンパターンなのか」という質問を受けます。確かに質問コーナー、歌、料理、お手紙、抽選会‥いつもその流れは一緒です。でも、こうしたコーナーで垣間見せるスターたちの一瞬の素顔に、韓国のファンの皆さんは満足しているんだと思います。

ただ、日本側では何度も言うようですが“興行”として成り立たせるため、つまりお客様に満足していただくためには“ファンの集い”のようなノリでは、高い入場料を徴収することの難しさを十分理解しています。やはり“特別”な演出が必要なんですね。ですから、日本側がやって欲しい“特別”なことと、韓国側がそのイベントに対して思うこと、その“差”を埋め合わせることがとても難しいのです。言葉で表現するのは難しいのですが、韓国でやっていることをそのまま日本で行っても、(どう考えても)お客様が納得行くとは思えない‥そんな内容のものも少なくないのです。

2016年キム・ナムギル日本ファンミーティング

2016年キム・ナムギル日本ファンミーティングより。俳優の素が観られるのもイベントの醍醐味!(写真提供:©スポーツ韓国)

そこで重要なのは、イベント当日にいかに現場でそれを修正しつつ、韓国サイドに納得してもらい、日本側の考えに中身を寄せることができるか‥ということなんです。もちろん、うまくいかないこともあります。修正の出来ないこともありますが、韓国関連のイベントに関わっていてやりがいがあるのが、ほとんどのケースで当日に、スター自身がそれを理解して、率先して日本側の思いを汲んで、イベントにその思いを反映させてくれることなんです。

正直、日本の仕事をしていると、予定されていること以外のことをしようと思ってもほぼ不可能ですし、MCがステージで良かれと思って、強引にそれをやったところで、終わった後のクレームだけでなく、次の仕事は間違いなく来ないでしょう。

でも、韓国の場合は“良い”と思ったことを、瞬間的に取り入れ、少しでもそのイベントを面白いものにしようとしてくれる、瞬発力が半端ないんですね。これは一緒に仕事していて、本当に気持ちいい! ですから、表面的には、滞りなく行われているイベントも、裏では、日本側も韓国側も来てくださるお客様のために、真剣勝負が毎度繰り広げられているのです。作り手は“ワンパターン”と言われないように、一所懸命に努力しているんです(涙)。

最近韓国のコンテンツが世界的に人気を得始め、K-POPスターや俳優さんたちが、ワールドツアーと銘打って、ライブ以外にもファンミーティングを世界規模で行うようになってきてから、韓国側もファンミーティングを“興行”として行うことが当たり前のようになりつつあり、状況は変わってきていますが、ある意味その自由さ、臨機応変さは、むしろ無くなりつつあるのかなぁ‥と。僕にとっては、それが韓国と仕事をしていての面白さの1つであり、気持ち良さでもあったので、少し寂しいなぁ‥と。

たった1つのトピックでも相当な文字数になりましたが、次回も、このお話の続きをしていこうと思います。

『古家正亨の韓々学々』の筆者-古家正亨

コラム『古家正亨の韓々学々』の筆者-古家正亨

古家正亨(ふるやまさゆき)
ラジオDJ /テレビVJ /MC /韓国大衆文化ジャーナリスト
レギュラー:
NHKラジオ第1「古家正亨のPOP★A」(毎週水曜 21:05 – 21:55 生放送)
FM northwave「Colors Of Korea」(毎週土曜 11:00 – 11:30)
CROSS FM「深発見!Korea」(毎週土曜 18:30 – 19:00)
InterFM897「TALKIN’ ON SUNDAY」(毎週日曜 朝7:00 – 8:00)

Twitter:@furuyamasayuki0

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