BTS(防弾少年団)、TXT(トゥモローバイトゥギャザー)などの所属事務所であるHYBEは現在、IP事業(知的財産)に力を入れている。最近発表されたウェブトゥーン漫画や小説をはじめ、今後も様々なコンテンツを展開することを予告した。しかし、所属アーティストを応援するファンは、それらが決して喜ばれるものではないと声をあげていて‥。
人気アイドルグループ、BTS(防弾少年団)のメンバーが、”虎狩”として登場するウェブトゥーン漫画『7FATES: CHAKHO』。
世界の10言語で公開されている本作は、HYBEが精力的に進めているIP事業(知的財産)の一環である。
HYBEは現在、音楽サービスだけでなく、様々な分野でアーティストのIPを駆使するという”試み”を続けている。
パン・シヒョク議長は、創業16年目にBig HitエンターテインメントからHYBEへと社名を変更し、音楽産業からの脱皮、コンテンツやサービス、流通産業への進出を見据えた”総合ライフスタイルプラットフォーム”を志向すると宣言。
昨年11月には、オンラインで開催された会社説明会で「アーティストを輝かせるストーリー作りではなく、ストーリーそのものが生命力を持つコンテンツを作っていきたい」と、コンテンツが持つオリジナリティーを強調した。
そして『7FATES: CHAKHO』の他に、BTSメンバーをモチーフにしたドラマ制作にも拍車をかけている。
もちろんこれらのコンテンツは、あくまでもBTSがモチーフなだけで、BTS7人の”ストーリー”ではないとアピールしているのだが、それを読む人も、また見る人もBTSのファンが多く、彼・彼女らは自ずとBTSを連想してしまう。
多くのファンは、ある種”BTSのストーリー”という認識を持って読んでいるわけだ。
(関連記事)HYBEはなぜこんなにも叩かれているのか‥パン・シヒョクの ’理想と現実’
そしてBTSファンは、このような動き――ウェブトゥーンやドラマ制作が、BTSのイメージを変質させると激怒している。
2020年、BTSの世界観を描いたというドラマ『YOUTH』の制作が発表された時も、登場人物の名前にメンバーの実名を使用する事に対し、ファンが猛反発。結局、制作会社は登場人物の名前変更を余儀なくされた。
このような議論――ファンの反発について、韓国メディアのハンギョレ新聞は、専門家の言葉を引用し、以下のような解釈を示している。
所属事務所は、アイドルが年を取り入隊するという現実を超越し、若くて美しい少年になってほしいと考える。だから、ウェブトゥーンやウェブ小説を通して、彼らの若かりし姿を”復活”させているのだ。
しかしこの場合、仮想キャラクターが生きているアイドルのイメージを変形させたり、壊したりするなどの恐れが生じる。ファンが批判するところが、まさにこれだ。
(2022年1月10日 電子版)
HYBEのIP事業は、今後も様々な分野でその広がりを見せていく。これらの成功的な安着により、昨年第3四半期には歴代最大の実績を上げた。
しかし、その成功の根幹にあるBTSファンは、生きているBTSを少年に”剝製”してまで、美しくて若いBTSが登場するコンテンツを見ようとは思っていない。むしろ、現実を生きる”人間・BTS”に共感し、応援しているのである。
BTS
BTS(防弾少年団)は2013年6月13日にデビューした韓国の7人組男性アーティストグループで、パン・シヒョクのプロデュースにより誕生した。
HYBE(旧Big Hitエンターテインメント)所属。
デビューアルバムは『2 COOL 4 SKOOL』、デビュー曲は『No More Dream』。グループ名の”防弾少年団”には、10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自身たちの音楽を守りぬくという意味が込められている。
ハングル表記は”방탄소년단(バンタンソニョンダン)”から”バンタン”と呼ばれることが多い。
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